クライ、くらい夜の終りに (ショコラ文庫)

著者 :
  • 心交社
3.60
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本棚登録 : 137
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778111267

感想・レビュー・書評

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  • 何故か色々なことが上手くいかない須田と、そんな須田のことを何故か放っておけない寺岡。自分が覚えていない過去の友達って、どう考えればいいんだろう。と思ってしまった。しかも、何故記憶がないのか分からないのなら余計に怖いし。須田に思い出して欲しいのか、思い出して欲しくないのか、自分でも分かっていなさそうな寺岡を見るのが悲しかった。「普通の関係」じゃないかもしれないけれど、2人で一緒にいた方がいい方向に進みそうな気がした。

  • なんか微妙な感じで終わったけど、タイトル通りcry暗い昏い終わらない夜に終わりを告げる、小さくても優しい蛍の光でした。
    受けが記憶喪失になるくらいの事件なので、かなりの覚悟をしないと読めない。しかし一回でよくないか(T-T)二日も…。攻めもあの事件がなかったら果たしてそこまで受けに執着しなかったんじゃないかなと思うけど、これもまた運命なのか。でも真相を知ってから改めて読むと攻めもよく手を出せたもんだなぁ怒。攻めザマァ展開は生ぬるかった…あえて自分がボロボロになってしまったほうが、こういう場合は精神的に救われるものと思うんだ。
    そしていじめた側が何事もなかったかのように接してくるのが…ね。現実もこんな感じなんだろうけど。

  • じーんわりいいお話だった。記憶がないところは気になったし、寺岡の世話焼き具合もだし、須田の葛藤具合も良かった!最後はウルっとしたなぁ。

  • memo: 番外編ペーパー封入

  • 佐田さん2作目です。
    前回がとっても良かったので期待値高すぎたのかも……。
    とはいえ、とっても楽しく読むことができました。
    トラウマに記憶喪失と、BLでも使い古されたこの設定を
    どう消化するのかと読み始めたものの、序盤から受の
    過去について何となく分かってしまう……。
    そしてその過去に絡んでくる攻の執着っぷりが怖い。

    執着攻とほだされ受を書かせたら、本当に凄い作家さん
    だと思います。
    受が過去にどんな眼にあったか知っておきながら、
    強引に迫るという攻のアホっぷりが、何だか腹が立つ
    といいますが、受じゃないけどぶん殴りたい衝動に
    駆られます。

    中盤までそんな感じで攻にイライラしてたんですが、
    後半戦に突入すると立場が逆転。
    全てを知って記憶を取り戻した受が、攻に対して
    強請って集って、攻の身ぐるみ剥がしちゃいます笑。

    攻ざまぁw

    と思いながら最初は読んでたんですが、何だか途中
    から攻のボロボロっぷりが哀れに……。
    な、なにこの感情。
    前作でも感じましたが、受の方が被害者であるはず
    なのに、気がつけばほだされてます。
    読んでる私もなんかほだされてしまって、畳みかける
    ようなラストにあれれれれ?と……。

    何だか奇妙に惹きつける魅力のある作家さんです。
    次に期待して★3つ。

  • 記憶喪失、過去のトラウマ、全体に陰鬱な雰囲気の漂うBL要素のあるサスペンスという感じ。凄く引き込まれました。ところどころに散りばめられた記憶の断片やホームレスの存在が後半でじわじわ効いてくる。かなり受の過去が悲惨で辛く、それが原因で二人の関係は歪んでいくのだが、攻の愛情が揺るぎないのでそれほど痛さは無く感情移入出来ます。ラストが少し駆け足だったけれど、最後までラブラブな雰囲気でないところがよかった。佐田さん実は初めて読みましたが、タイトルが語るような仄暗さが凄く好きです。他の作品も読んでみたいです!

  • ◎「俺のこと、覚えてない?」―大学の教室で須田にそう聞いてきたのは、見たこともない男だった。幼なじみだと言いはるその男・寺岡を人違いだと突っぱねたものの、実は須田には子供の頃の記憶がなく、その後遺症のように悪夢を見続けている。その後も人懐こい笑顔でやたらと構ってくる寺岡に押し切られるように親しくなるが、寺岡の好意がただの友情ではなかったこと、そして須田の「過去」が二人の関係を歪ませていく―。
    出版社: 心交社
    発売日: 2011/5/10

    *.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*

    とにかくイイ!です。
    BL本にハマるきっかけになった本かも。
    受けの辛い過去が、記憶がないが故に少しミステリー仕立てぽくて暴かれてく過程にドキドキハラハラしました。
    何回繰り返して読んだことかw
    最初電子書籍で買いましたが、イラスト見たさに文庫版も購入しました(´゚ω゚`)

  • 「俺のこと、覚えてない?」
    大学の教室で須田にそう聞いてきたのは、見たこともない男だった。幼なじみだと言い張るその男、寺岡を人違いだと突っぱねたものの、実は須田には子供の頃の記憶がない。その後も人懐こい笑顔でやたらと構ってくる寺岡の優しさに、須田を少しずつ心を許していくが・・・。
    (出版社より)

  • 【観点別評価】文章表現☆4、展開☆2、作品としての質☆3~4、個人的嗜好☆4

    【総合評価】中盤までは完全に引き込まれる。しかし終盤、駆け足で物語を収めようとしたためやや消化不良に。☆3

     読んでいてここまで怖くなったBL小説は初めてかも。
     中盤までは「謎」パート。時折挿入される断片的な過去の不穏さや、攻の言動の不気味さもさることながら、何よりいちばんぞっとしたのは、受がホームレスに対して理由なき殺意を吐露する場面。とにかくおぞましいものを書くのが上手な方なので、この辺りは本当に素晴らしいと思う。

     終盤は「恋愛」パート(あまり適切な表現ではないけれど)。事件の真相は悲惨ではあるものの、わかりやすい暗示が続くのと、謎が少しずつ明らかになっていくこと、そして受がこの事実を割と冷静に受け止めていることで、読み手にとっては恐ろしいものとしては機能せず(もちろん被害者たる受は凄まじい恐怖を感じたのだが)、衝撃的な内容である割に衝撃は少ない。そして中盤以降は、謎が明らかになったため、不穏さ・不気味さ・恐ろしさは薄れ、受と攻の関係へと物語の中心は移動する。

     問題はこの終盤の「恋愛」パートで、「謎」パートが孕んでいた、不穏さ・不気味さに由来する圧倒的な引力のようなものに準ずる力が、こちらでは非常に稀薄だといわざるをえない。ここで扱われているのは普通の小説であればメインを張るようなテーマなのに(あるいは実際にこれがこの作品のメインテーマなのかもしれない……)、「謎」パートに比べると明らかにページ数が足りていないのだ。

     この「足りなさ」は、程度は違うものの、同作者の『あの日、校舎の階段で』や『彼は死者の声を聞く』においても感じられた。受にどれほど嫌われてもみっともなく追い縋る執着攻、という設定である以上、「物語の収束」=「受が攻を受け入れる(愛の自覚)」というパターンが不可避的にこの手の作品の定型になるのは事実で、その枠に収まること自体は悪くない。ただ、その受の心理が変化する過程の描き方が、他の部分(攻のおぞましさの描写や受の感じる恐怖・嫌悪などの描写)に比べ薄い。読めば確かに納得できる流れになってはいるし、恋愛の不条理性という言葉で解釈することも可能ではあるのだが、それでもやはり中盤までの濃密さや、読み手を否応なく引きつける力が欠けていることもまた事実。中盤までは作品に入り込んで夢中になって読んでいたのに、終盤は読みながら「あ、回収に走ってるな」と冷静に感じてしまった。

     このテーマを持ってくるのなら、攻と受のドロドロごたごたぐるぐるをもっともっと突っ込んで書いていただきたかった……!と思わずにはいられないのですが、しかし同作者の最新作『彼は死者の声を聞く』において大変素晴らしいドロドロ愛憎劇が展開されているので、あれが☆5ならこっちは☆3かな……という同一作者内相対評価をしてしまいました。でも嫌いじゃないです、好きです。

  • ★4.0。これが噂の「攻ザマァ」か…!攻の酷さと情けなさは予想以上だったけど、記憶喪失・執着攻・トラウマ受好きとしてはこのサスペンス風味の陰欝さがツボだった。攻の行い、過去よりも再会後の方が罪深いような(笑)序盤は典型的リア充で快活な攻と思いきや、その実不格好な執着攻で、終盤は殴られて鼻血を垂らし、金をせびられながらも受に尽くす攻の哀れな姿がアッパレだった。一方で、最後のSSで想いが通じた二人も見れて良かった。吃るような台詞が多かったのは作風なんですかね?

    番外編ペーパーSS『きみの手と手と』読了。夜中に目覚めた受が合宿中の攻にメールしてみる話。なんか、憑き物が落ちたようにすっかり普通の「甘やかし攻×ツンデレ受」に(笑)甘い。ラブい。そうか、こういうカップルになるんだな…。

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