彼は死者の声を聞く (ショコラ文庫)

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著者 : 佐田三季
制作 : 梨 とりこ 
  • 心交社 (2013年3月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778114404

彼は死者の声を聞く (ショコラ文庫)の感想・レビュー・書評

  • 佐田センセの作品をちょうど読みたくなってきたいい頃合いに、久々の新作!分厚かったですけどね、一気に読ませてくれました。
    ラブラブ胸キュンだけではもの足りないと思っている時にぴったりな、重めの作品です。
    これまで読んだ作品も、すべて暗くて重くて、主人公が罪の意識にさいなまれる姿を描き出したものばかりでしたが、こちらもその流れに属したものになっています。

    主人公の斎木は編集デザイナーでかなりの美形。でも、かなり人間くさいキャラで嘘もつけばずるいところも持ち合わせている、あまり褒められた性格じゃありません。
    そんな彼が怯えて嫌って憎んでいるのが、幼馴染みの才能溢れるイラストレーターである神成。彼もまた斎木に対する態度が鬼気迫るかんじで、ほんとに怖い。斎木の黒子エピとか、脅迫まがい、ストーカーまがいの言動が畳み掛けるように描かれていて、恐怖心を煽ってきます…
    なかでも、無理強いHシーンは圧巻。生々しい。ただ、屈辱的ってわけじゃなく、執着と甘えが透け見えているのがまた怖い。

    粘着質な執着愛をぶつける攻と、相手の才能への嫉妬を抱えた受の間には、憎しみしかありえないはず。さらには、死んでしまった斎木の双子の姉が「霊」として話に絡んできます。
    ホラーテイストも加わって、かなりのドロッドロ感。
    しかし、面白い。
    お世辞にもいい性格とは言えない攻受なのに、なんだか読んでいてすごくのめり込んじゃうんですよね…
    やはり、「イヤな敵国の王から逃げまくって、あげくに無理矢理手篭めにされるツンな姫」というシチュエーションぽいのが、私的萌えツボだからでしょうか…?

    後半神成の本音が見えてくるので、だんだん甘さも加味されていき読後感がいいので安堵できます。
    それより、社内の妬みや両親との気持ちの行き違いに焦れ焦れさせられました。亡くなった者より、生きている者の方がこわかったりやっかいだったりする様子もリアルに描かれているんですよね。
    かと言って、世の中悪意ばかりじゃなく、助けてくれる人達もいるんだって、救われる場面もあったり。深いです。
    ページ数があるだけに、主人公たちの様々な背景がぎっしり詰め込まれているので、散漫な印象を与えてしまうのがちょっと惜しいです。
    でも、広がりすぎて拾いきれないほどのエピソードがあるからこそ、神成や斎木が現実味ある人間として受け取れるのだという気がします。

    「restart」では、その後の二人の様子がよーくわかります。そして、「あの日、校舎の階段で」の遠藤が幸せなのもちらっとわかります。
    カミングアウトは大変。でも、斎木の吹っ切れた感じがすごく爽快で、見直しました。神成は「待て」ができない大型わんこでした。

    次回作も楽しみです…

  • 幼なじみの攻めと知的な障害がある姉の絵の才能に嫉妬し歪んでしまった受け。
    BLとして読まなければ面白かったと思う。受けが全く愛されキャラとして描かれてないから…。死者の姿が見える受け。自分のせいで姉が亡くなっているのに、利己的で、ずるい生き方を続けているのが共感できなかった。

    色の名前を淡々と言葉にしているシーンが印象的だった。

  • 衝撃的な分厚さだけど、順調に少しずつ読み進められる本でした。もう一度読もうっと…。

  • 手に取った分厚さに思わず怯み積ん読してましたが、
    勢いで佐田さん作品3冊目。
    今回も凄まじい執着攻でした……というか、この執着攻は
    もう佐田さんデフォなんでしょうか。
    読んだ作品が全て同じ傾向だったので、正直食傷気味
    というか、またこのパターン??
    という気持ちではありましたが、悔しいかな読み
    始めるとあっという間に惹き込まれてしまいます。

    内容はもうとにかく重い。
    知的障がいでありながら類い希なる画才のある双子の
    姉を持ち、隣家の幼なじみもまた天才的な画才を持つ。
    そんな受は健康体だけれども画才はなく、プロの画家
    であり絵画教室を開く父は才能のある姉と幼なじみ
    である攻ばかりを溺愛。
    そして母もまた姉にばかり愛情を向け、寂しい気持ち
    を抱えながら受は姉と攻に対して激しく嫉妬する。

    姉を疎ましく思うあまり、とんでもない過ちを犯して
    しまった受は、自分を取り巻く環境の全てに苦悩し
    逃げるように東京で生活をしてたんですが、なんか
    もうこの受の環境が完全に蟹工船状態でBLではない。
    再会した攻からは過去のことや学歴詐称を引き合いに
    脅迫され関係を持つんですが、今回も同じ展開。
    ステレオタイプの攻で、同じように受が毛嫌いし
    拒絶しまくりでも最後にはほだされる、という流れ
    なんですけど、評価を高くしたのはBLを抜きにした
    部分に凄く共感したから。

    就職難や過酷労働、才能の限界に、嫉妬や羨望と
    いったどす黒い感情に振り回される人間。
    そして障がいを持った家族をとりまく環境。
    決してきれい事でなく、目を背けたい部分をガンガン
    ついてくるお話に胸が痛みます。
    そしてラストが個人的にとても好きでした。
    過去の姉と攻の日常のワンシーンを、受が攻と一緒に
    その場面を再現するかのように演じる。
    とても美しく、映画の中のようで、透明な光がキラキラ
    と降り注ぐようなあたたかいものを感じました。

    霊としてそばにいた姉が消えていくシーンは、涙なし
    には読めませんでした。

  • 佐田さんの本2冊目です。
    重いとは聞いていたんですが、BLとして読むなら確かに重いでしょう。そういうジャンルを外して読めば「登場人物を葛藤させるお話」の設定としては、ちょっと多めに盛った?くらいの重さです。
    まだ、本数の少ない作家さんですが、厚いページ数を一気に読ませる力量はすごく楽しみ。(ですが、今後明るいお話もぜひ書いて欲しいなぁと思うのは私だけではないはず)

    BLなら入れなきゃ、、という扱いになってるエロシーンですが、話の中でファンタジーにならず、ちゃんと生きてる。だからこそ、BLというジャンルにしても読めるとも思います。
    作者さんによっては似たような描写が続くことが多々あるBLのエロシーン。普段そこをサクッと飛ばして読んじゃうことも多いのですが、この作品に関しては、シーン数がそこそこあった割にどのシーンも話の中にあるべくしてあったし、飛ばさずに読むことが出来ました。

  • 作家さんと絵師さんのグッドゴラボ。芸術系な話。大好き。

  • ★3.0。ひたすら重く殺伐とした内容に、読むのが非常にしんどかったです。幼い頃から隣にいる天才や障害者の妹に親の関心と愛情を持っていかれてしまう…そういう受の苦悩が理解出来たので、最初は攻にも受の両親にも苛立ってしまいました。全体的には受の仕事や家庭問題のウェイトが大きく、ヤンデレ執着愛要素を期待した割に物足りなかったので、BLとしての萌えはあまりなかったです。最後のSSは萌えたので、本編も二人の関係をがっつりメインにしてあればなあと。ラストの朋のくだりは泣いたんですが…。

    番外編ペーパーSS「青、八号キャンバス」読了。実家から持って来た攻の油彩画をこっそり見ようとしたところを攻に見つかっちゃった話。浮気を疑う攻の執着ワンコっぷりに萌える!本編でもっと見たかったなあ。

  • 苦悩する斎木が可哀想でたまらなかった。
    泣いた。

  • 450ページありますw
    出だしの食いつきができず、少し寝かせてしまいました。

    表紙とタイトルからして、その辺のBLとは違うだろうな、とは思っていました。
    てか、角川ホラーあたりならこのまま出せるんじゃないか?セックスシーンも、お耽美な雰囲気ないし、昔から同性のシーンもいやらしくなければ一般でもあったし。


    ただ、カッコウの卵の話とか、左目が死者をみるとか、いくつかのエピソードや設定は以前違う小説でよんだな〜というかんじで、そこは残念。このあたり、この作家の作品をいくつか見ればまた違った感想をみれるーでしょうかどうでしょうか。

    あと、いくつか回収できてないエピソードがあり、振ったままで終わってるのもいささか残念。あと、排他的で乱暴なはずのキャラがベタベタ甘えキャラに変わるのもうーん、こちらは彼以外にはもともとそうらしいとあるので、それが彼の正体とするなら、まあいいのですが、主人公にしてみるとエラいデレ期がきたな、おい、って、ちょっと違和感。



    他の作品も、また見てみたいです。

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彼は死者の声を聞く (ショコラ文庫)の作品紹介

グラフィックデザイナーの斎木が取引先で紹介されたのは、画家として成功した幼馴染みの神成だった。斎木が羨望してやまない才能を持ち、今は亡き斎木の姉・朋と魂で繋がっていた男。朋の死は斎木に罪の意識を、神成には斎木への憎悪を植えつけていた。そして死者が見える斎木の左肩には、今もなお朋がいるのだ。十年ぶりの再会は、斎木を過去に-まだ神成が斎木を慕い、姉が生きていた葛藤の日々へと引きずり戻していく-。

彼は死者の声を聞く (ショコラ文庫)のKindle版

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