あいのはなし (ショコラ文庫)

著者 :
  • 心交社
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本棚登録 : 346
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778115234

作品紹介・あらすじ

愛する男を失くした岸本波瑠は、彼の9歳の息子・桐島椢とあてのない旅に出た。奇妙なことに、椢は自分の中に父親がいると言い、そして時おり本物の彼のように振る舞った。不思議で幸せな三人の生活。だが、幼い椢と他人の波瑠が長く一緒にいられるはずもなく、逃避行は悲劇的な結末を迎えた-。それから10年、あの日姿を消した波瑠を、椢はずっと捜し続け…。時をかけ、三人の想いが絡み合う不思議な愛の物語。

感想・レビュー・書評

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  • あ~これすっごい感想難しいわ! かなり暗い話ではあるんだけれど、その中でずっと同じ想いを持ち続けている椢の一生懸命さに救われる作品ですよねぇ。よく、波瑠に引き連られることなく大きくなったな~と・・・。 めちゃめちゃいい男なんだけれども!やっぱり祐也はずるいよねぇ、あんなに息子はいい男なんだけれど、祐也のがいいな~。最後のあれは要らないんじゃ?と思いながらもあの台詞で大泣きしちゃいましたからねぇ。 これで心置きなく前に進めるっていう感じの終わり方ですごく良かったです。

  • この作品の前に『まばたきを3回』を読んでいましたので、
    正直なところ、

    また死ネタかい……

    とちょっとお腹いっぱいな感じで読み始めました。
    暗く重い話の中で、攻の明るさに救われる感があります。
    盛り上がり方も上手だったし、切なくもなりました。
    前作は完全にファンタジー属性と思って読んだので、
    もの凄く感動できたのですが、こちらに関しては
    完全にリアルと思って読み進めておりましたので……


    山登りをしてて、もう少しで頂上だって時に、ずるっと
    足を滑らして崖下に滑落したような気持ちに……。


    あのエピは正直いりませんでした。
    携帯を二人で捨てた時に、時間は掛かっても二人で
    その穴を埋めて乗り越えていくんだ、と感動していた
    ので、ラストで興ざめ。
    安直な決着の付け方に、最高に盛り上がってた気持ちが
    がく~ん!!! と。
    ここまでリアル描写続いて、最後にそれ!? と。
    それなら攻が、受と日々を過ごす中で、最近父ちゃんの
    気配みたいなのを感じることがなくなった、みたいに
    してくれた方がよかったんですけど……。


    ラストのがっかり感が尋常でなかったので、★-1で。
    このエピさえなければ文句なしに★5でした。
    あと余計なことかもしれんですが、初犯略取誘拐罪で
    傷害も猥褻な行為も身代金要求もないような状態、そして
    罪を全て認めて否認もなにもしてないのに執行猶予無し
    実刑4年って……どんな裁判だよ、情状酌量の余地ないの?
    とちょっとツッコミたくなります。

  • 確かにベタなストーリーではあるけれど私は好き。愛する男性の子供と恋に落ちるという設定は、男女の関係だと私見が絡むからかあり得ないと思うけど、男同士だと俄然萌えますw年の差さえもポイント高いです。全体に切なさの漂う作品ですが、破滅への逃避行的な話でなく再生へのスタートになる話でよかった。ムクさんの挿絵も本当内容と合っていて素敵です。

  • ええ話しやったけど、最後のあのくだりは私的には蛇足だったかな・・・。ああいうのが好きな人が大多数なんだろうけど。不思議なお話ってのがもともと守備範囲外だしな。ええ話しやったけど。なにがなのかを書きたいがネタバレになるから書けない。

  • 好きな人の息子椢×波瑠。椢の執着というか波瑠を一途に想う気持ちが強かった。うーん…感想書くの難しいな…。思った以上に裕也の存在感があって、10年かけて二人ともようやく気持ちと向き合えた感じかな。これからも困難はたくさんあると思うけど二人で乗り越えていってほしい。ラストは好みが分かれそうだけど、わたしは嫌いじゃないです。

  • すごく良かったけど、父ちゃんにもう少し存在感があれば良かったかと。
    早々に退場する人だけど、要になる人やしねえ。
    あと、エピローグは蛇足。あれがなければ、☆5つかなあ。

  • 突然愛する人をなくしてしまった波瑠と、なくなった男の息子の椢との10年愛。
    ただの惚れた腫れたの話ではありませんでした。深く切ない、魂の再生に涙です。

    読み始めは正直、9歳と21歳ってアブナイ!と一瞬引いたんですが。
    そういう話じゃなくて安心できました。
    でも真面目に、二人の関係って少なくとも9歳の方には恋愛感情がありますから。幼いながらにも一生懸命お父さんと張り合っている椢。いじらしさの中にも男としての矜持がすでに芽生えてるんです。
    波瑠がぐらっときて、逃避行しちゃった気持ちがわかります。
    でも、あくまでも精神的なプラトニックな絆なんですよね。そこが、ほっとする。そして、苦しいほどどうにもならなくて切ない関係です。

    二人にとっての逃避行も、世間にとってはまったく違うものとして奇異な目で見られてしまう、常識の怖さが胸に刺さりました。何にも悪いことなんかしていないのに、うわべだけを見て判断されてしまうのは辛かったですね。
    離れ離れになってしまった二人が、その後どんな道を選び、どんな人生を送るのか?すごく興味深くて、夢中で最後まで読みきってしまいました。

    二人の間には、裕也という共有できる記憶があるからこそ、互いを求め合い共に生きようと決意できたのだと思えました。裕也なしでは生きていけないとまで思いつめていた波瑠の魂を救ったのは、一途に波瑠を追い求めてきた椢の執着ですね。
    椢もまた、波瑠という愛する存在があったから物事に前向きに取り組めている感じがします。
    絡みは最後にあっただけですが、萌えました。まったくぐらい経験無しのひとまわり年上の美人、というのは色気がありすぎます。ツボど真ん中でした。

    ラストのまとめかたは泣かされた後に、ちょっとベタかなと。でも、引きずるのは良くないので、わかりやすく潔かったです。
    小椋ムクセンセは、素晴らしい感性の持ち主ですね。ストーリーの主題を見抜いたイラストで、ぱっと見ただけで切なくなります。表紙なんてテーマそのものですね。

  • 今回も服役です。
    これは、重苦しくなりますね、どうしても。

    大切な人と生きて行けるのは幸せではあるのですが、ただでさえマイノリティであるのに、何の陰りも無く前に進めるわけでは無いのが、ハッピーエンドでも悲しい。

  • う〜ん。凪良さんだなぁ。
    ぐいぐい引き込まれるように読んだんだけれど、凪良さんだった。
    もうね、エロシーンとかなくていいと思うよ。
     
     
     
     
    ところで、
    手紙っていうアイテム。好きだよね?
    アレ若干、あざとさを感じてしまったりもするんだけれど、
    今回は実体のない方だったので、手紙以外では伝えようもなかったか……でも、あざといw
    私はまだ幸せなことに「大事な人(もの)」との永遠の別れを体験してないし、
    生きていくのに精一杯で、消えゆくものに心を向けられないから、そう思っちゃうのかもしれないなぁ……。

    とにかく、残った二人が一緒に歩いていけますように。

  • 夏の海辺で繰り広げられる年の差トライアングル・ラブ…確かに嘘じゃないんですけど、涙ぐみながら読了後、あとがきで笑ってしまって思わず泣き笑い(笑) みんな椢が大切だっただけなのに…起こってしまったことがやるせなかったです。でも椢が変わらずに、ただひたすら波瑠を求めていて、救われたかなぁ。ラストのエピソードは賛否両論あるかとは思いますが、あって良かったと思います。繊細な波瑠が一歩踏み出せたことを象徴しているような気がするので。また読み返したいです。

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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