2119 9 29 (ショコラ文庫)

著者 :
  • 心交社
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本棚登録 : 265
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778122355

感想・レビュー・書評

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  • 「ショートケーキの苺にはさわらないで」のスピンオフ
    ショートケーキの2人の選択とはまた違う、今回の阿部とドール高嶺の選択。それぞれの選択に考えさせられるけれど、どちらもそれぞれの愛の形を貫いたのだと思う。
    ドールの高嶺が阿部に愛され一緒に生きていくことに幸せを感じ、阿部を見送り自分にもその時が訪れるのを、阿部のことを思いながら迎えるのが感動的だった。

  • 「ショートケーキの苺にはさわらないで」に登場する阿部ちんのスピンオフ。南里とシンも登場するので、本編を読んでから読むのがおすすめ。

    凪良先生の書くオタクキャラはとても好き。阿部ちんは心優しく清く正しい正統派オタクなので、家電のスタンスとか言って恋人を混乱させたりしないので安心して読める(笑)。

    ドールというアンドロイドとの恋。アンドロイドをテーマにした作品はいくつもあるけど、限られた命を生きる人間と、長く存在するアンドロイドとの時間の差はいつも残酷で悲しい。

    自分たちの幸せは(世間がどう言おうと)自分たちで決める、という精神は凪良先生の作品にずっと受け継がれている。


  • ショートケーキの苺…に続いて再読。

    2017年の作品で凪良ゆうデビュー祝10年という
    めでたくもあり、凪良さんらしいお話(〃ω〃)

    デブでオタク、ドールをこよなく愛する俺氏阿部ちん
    もう設定からしてblの王道を外してます笑       

    相変わらずこんなにエロ場面少なくて大丈夫なの?
    と変な所に脱帽m(_ _)m
    300ページ超えをノンストップで読ませる筆力は
    流石です。

    オタクの純愛に泣けました(〃ω〃)

  • ショートケーキの苺にはさわらないで、の続編! 世界観については前作で把握していたので、その点についてはすんなり受け入れることができました(前作でわりとフワフワした設定だった戦争が、すでに終わっていたことも大きかったかもしれない)
    読み始める前は、「あのおかしな喋り方する阿部ちんがBL小説の主役……? 正気か……?」などと思っていたが(大変失礼である)、途中からまったく気にならなくなったどころか、めちゃくちゃ愛しくなっていた。阿部ちんは最高の男だ。最高だ……!
    前作のラストは、どんでん返しが突飛すぎて気持ちが追いつかないところがあったけれど、今作は、まさにそのラストを待っていた、という感じだった。前作が愛し合う二人が永遠を生きる話なのだとしたら、今作は、愛し合う二人が一緒に眠りにつく話だったのかな。個人的には今作のほうが好きでした。
    阿部ちんの美優ちゃんへの気持ちの移り変わりもすごくよくて、中盤以降美優ちゃんがでてきてからずっと泣きっぱなし。いやぁ、美優ちゃん、あんたは良い子や……。それになにより、高嶺が可愛くて可愛くて可愛くて。システムとは違う『何か』で阿部ちんと共にいたいと願う高嶺に、涙なしでは見られなかった。BLではあるけど、ドールである高嶺を人間の性別に当てはめるのもおかしな話なのかもしれない。読めてよかったです。おススメしてくれた友人、ありがとう!

  • 凪良さんの小説ということであらすじを読まずに購入。
    アンドロイドものか~、食指が動かないなあと思いながら読んでみると、
    そこはさすがの凪良さん。さすがの筆力でグングン引き込まれました。
    高嶺くんがとってもかわいい。阿部ちん優しい。
    南里くんの話は読んでないので詳しいことはわからないけど、
    賛否両論分かれるのは分かります。私は受け入れられなかったけど、
    無難に万人に受け入れられる内容にしなかったことは支持したいと思います。
    結末はハッピーエンドだけど、萌えというよりは胸が苦しくなる終わり方です。
    個人的には芝さんに興味を持った。芝さんのスピンオフも出るのかな?

  • ショートケーキの苺は〜の番外編。
    阿部ちんと裏ドール高嶺のお話。

    ショートケーキの阿部ちんとは別人のように思いながら読みました。ぽっちゃりドールオタと、町の洋食屋さんの痩せた阿部ちんは、なんだか結びつかなくて…。喋り方はそのままだけど。

    裏ドールの高嶺もシン同様かわいいです。
    健気で、まっすぐ。
    最初は不信感から心を閉ざしていたけれど、阿部ちんの愛に触れて次第に心が溶けていく様子に泣けました。
    阿部ちんの愛の深さに感嘆!
    愛のお話でした。

    ショートケーキからは少し未来のお話で、戦争は直ではなかったけど、それでも、いつまでも傷は癒えず、深い悲しみが消えない。
    ドールは機械で、だけど心を持つような描写は、読んでいる私のキャパオーバーでした…色々ムダに考えてしまって。
    高嶺が機械なのか、人なのか、混乱しました。
    芝にも驚いたし。芝がどういう経緯でそうなったのか、そして、どうなったのか。

    終わり方は、ショートケーキより断然好き!こういう永遠の方が好みです。

    しかし、最近は文芸作品の方を多く書かれているし、少し前のBL作品を読むと、凪良先生はBL的ハッピーエンドをめちゃくちゃ意識して書かれているんだなぁと感じます。
    またBLの新作、書いていただきたいなぁ。

  • 最後の最後でウッと来ました…
    凪良先生はSFまでカバーしているのか…
    内容としては、そうだねちょびっツだねっていうアレなんですけど
    BLだとこうなるのか…
    人間である相手と共に生きるためにロボットの容貌も老化させていくのが凪良節だな…あとこれ続編だったんか…

  • 「ショートケーキの苺には触らないで」のスピンオフ

    「ショートケーキの苺には触らないで」の南里とシンは最後に南里の不慮の事故を経て南里のドール化で命を取り止め互いにドールとして歳をとらず共にアメリカで生きていくという選択をする

    「2119 9 29」の阿部ちんとドールの高嶺は限りある命と共に互いに老いていき不自由のある日本で生きていくという選択する
    阿部ちんと高嶺はドールとマスターというある意味主従関係な繋がりではなくお互いに心のある同士として愛し合い時を重ねていく

    どちらが幸せでどちらが正しいかなんてなくて
    この2組の選んだ道にあるのは互いへの限りない思い遣りと深い愛情だけだ

    阿部ちんの最期を看取って何もかもを清算した高嶺が永い眠りについた時に見る夢は阿部ちんとの幸せな思い出だけだといいな
    早く壊れたいと願っていた高嶺の最期に訪れたのは優しく温かな甘い眠り
    きっと安倍ちんは側で高嶺を待っていただろう

    物語の内容と離れるのだが凪良ゆう先生はオタクを描写するのがかなり好きなのではないか?
    読んでいて凪良先生がノリノリで書いてるような雰囲気がすごく伝わってくる
    だから読んでいてとても自然に阿部ちんや高嶺の気持ちに感情移入できた

    どんな形であれ自由に自然にいろんな生き方や愛し方ができる世界、受け入れられる成熟した世界がきて欲しいと心から思う
    幸せの在り方は他人ではなく自分達だけがきめる事なのだから

  • 読んだ後は悲しみに近い切なさで胸がいっぱいになって
    本を閉じた後も『悲じぃ…』と言いながら、もう一度最後を読み返してしまった。

    ショートケーキの苺には〜のスピンオフで
    あの阿部に春がくんのか?大丈夫か?!って思ったけど
    歳もそれなりにくっているし痩せていた。
    そんなうめー話が…と思いながら読んでいたけど
    全体的にショートケーキより好みだし何より阿部を好きになった…
    彼の誰に対してもフラットな考えを通そうとする誠実さがとても愛くるしいぃぃ
    そりゃ彼と過ごす高嶺は素直で伸び伸びとなるよね
    そして愛していくわな。
    あと何より美優のところでもう涙がとめられんかった。

    私はアンドロイド肯定派でいつか生身の人間ではなく
    アンドロイドのパートナーが欲しいと切に思う。
    だから南里や阿部が羨ましい。
    は!あとあと!芝さんのスピンオフがみてえ…

  • ショートケーキの苺にはさわらないでのスピンオフ。前作と違い阿部と高嶺はマスターとドールの関係ではないので、よりロボットの心に焦点を当てていてとってもよかった!
    阿部ちんは最高にいい人だなあ…。高嶺の心が動かされるのも無理はない。甘えるシーンは最高に可愛かった。
    個人的には前作の2人よりドールと人間の純愛なのではないかなと思う。2人なりの幸せを歩んだことが嬉しい。
    ラストは思わず泣いてしまった。幸せなのに悲しいこの感情は何…。

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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