- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778311254
作品紹介・あらすじ
東京に生まれ育ち、雑誌『東京人』の編集者となり、その後、書き手として東京に言及し続けてきた著者が、少年時代からニート時代、そして現在、それぞれの時代の東京を描く。思い出の風景。人生のある時交差した忘れられない人々。歩き、触れ、見た、体感的東京二十四景。北島敬三がゼロ年代の東京を撮り下ろす。
感想・レビュー・書評
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この1月に61歳の若さで亡くなった坪内祐三が2005年に発表した東京の24の街と自らの記憶を重ね合わせる自伝的エッセイ。各章には写真家の北島敬三が撮影した当時の街場のモノクロームの写真も収められており、読みながら自然と当時の風景が浮かんでくる仕掛けになっている。
本書に惹かれたのは冒頭の「有楽町マリオンと六本木WAVE」であった。首都高速の上を走りながら、今は亡き伝説のレコードショップWAVE(現在の六本木ヒルズに位置)を過ぎ、出来たばかりのアークヒルズが目の前に迫ってくる・・・という文章を読んで、今は存在しない当時の東京の風景をもっと知りたい、という痛切な思いに駆られた。
選ばれた街は東京23区内から万遍なく選ばれており、主に坪内祐三自身の幼年~青春時代の幸福な記憶がまぶされることで、失われたノスタルジアが伝わってくる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2015/10/23購入
2021/6/15読了 -
著者よりも下の世代に属するが、東京のど真ん中に生まれ育ち至る自分にとってはとても馴染み深い風景で、バブル以降の画一化され表情を失った今の東京にいてもふとした隙に嘗ての風景が甦ることが辛うじてある。だから私はまだ東京を見捨てることができない。坪内祐三×北島敬三がスケッチする東京には、産業廃棄物と化した都市に立ち上る幽かな抒情が匂い立つ。いかに著者がそれを打ち消そうとしてもだ。故に坪内が反対しても北島が押し通し使用した見返しの13号埋立地から見た東京タワーと裏見返しの新宿都庁の写真は象徴として俄然生きてくる。
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昔の東京
知らないはずなのに情景が浮かんでくるようなエッセイ
人の思い出話なんて興味ないはず
なのに引き込まれちゃうのは坪内さんのエッセイ力と
東京という街自体が持つそれぞれの歴史が色濃いものだから
北島さんの写真見たさに借りた本だったけど、
総合的に良かったなぁ
気に入りました -
何だか、東京を嫌いにさせる本のよう。元々好きでない東京だけど、いいところも数多くあるので魅力を感じさせる本にしてほしかった。
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学年はおそらく四年下。住んでいたところは同じ区内。大学は全く別。というわけで、同時代に同じ街を体験したとは言い切れないけれど、読んでいて懐かしさを感じた部分がかなりありました。