おいしいコーヒーの経済論(「キリマンジャロの」苦い現実)

著者 :
  • 太田出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778311711

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  • その一杯のコーヒーを、いったい誰がどのようにして、生産しているか考えた事があるだろうか。そこには、南北問題はじめ、様々な問題がある。辻村教授が通う、タンザニアのある村の様子や村人の話も交えながら、分かりやすく書かれた良書。

  •  初めて本格的なレギュラーコーヒーを購入したのは、キリマンジャロのコーヒーだった。その時飲んだのは、今となっては入手も難しい高級品種の「タンザニア・スノートップ」で、封を開けた瞬間の"花"のような甘い香りを強烈に覚えている。

     そのキリマンジャロのコーヒー農家が、これほど生産性が低く、老木化が進み、トウモロコシへの転作が進むなど、危機に瀕しているとは思わなかった。
     日本で売られているキリマンジャロの販売価格のうち、生産者の取り分は0.9%にしかならないという。
     タンザニアの農家の努力に関係なく、ブラジルの生産量と基準価格(ニューヨーク先物)という、二つの大きな外部要因によって、世界的なコーヒーの販売価格は決まってしまうからである。
     遠い日本で美味しいスペシャルティ・コーヒーが飲める幸せと、この品質を維持する仕組みとしてのフェアトレードの重要性を感じた。

著者プロフィール

辻村 英之(つじむら・ひでゆき)……1967年生まれ。京都大学大学院農学研究科修了(農学博士)。金沢大学経済学部助教授を経て、現在、京都大学農学研究科(農業食料組織経営学分野)教授。おもな単著に『キリマンジャロの農家経済経営』(昭和堂)、『農業を買い支える仕組み』(太田出版)、『おいしいコーヒーの経済論』(太田出版)、『コーヒーと南北問題』(日本経済評論社)、『南部アフリカの農村協同組合』(日本経済評論社)。

「2023年 『季刊『農業と経済』2023年夏号(89巻3号)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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