こんな日本をつくりたい

  • 太田出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778313258

作品紹介・あらすじ

ただ「失われた二〇年」を嘆くより「こうしたい」というビジョンを語ろう。「ノンポリのオタク」にして若者代表・宇野常寛と政治家・石破茂が全力で考え抜いたニッポンの未来。

感想・レビュー・書評

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  • 政治家と評論家の対談集。
    こういう時期に特定の政治家の思想ばかりを読むのはどうかなあ、と思いつつも、宇野常寛の熱い前書きに触発されて購入。

    国民主権の意味と、自助・共助・公助の原則。とっくに賞味期限の切れたOSさえ変えられない日本の体質。

    石破の発言で、「一つ言えるのは、人は自分に余裕がないと決して人に対して優しくなれない、ということです。環境が整わないと、利他性というのは生まれない」というところは、まさにその通りと思った。
    「共助」の精神を原則とするためには、特に支える側に余裕がないと。
     金銭的、人的、システム的余裕。社会保障と雇用、保育園などの現物給付。

    政治家の発言は二枚舌を前提にして、またメディアのフィルタを通してメディアの意図を読み取りながら吟味して行く必要はあるが、現時点でここまで自らの意見を語りきれる石破氏の今後の動向には注目して行きたい。

  • 自民党の異端児石破氏。日本の政治家は国民に正面から真実を語らずに甘い夢を語るばかり。国家独立の仕組みを持つ憲法に改正する。国家とは一定の領土・帰属意識でまとまっている国民、排他的統治体制。言い方を変えると、警察と軍隊という実力組織を合法的に独占する主体が国家。国民主権と言いながら国民も本当に国のことを考えているか。ただ「税金負けろ」「戦争反対」と言うだけでは主権者とは言えない。歴史には学ぶべき。クリスチャン。

  • 再読。

    宇野常寛、石破茂との対談。
    田中角栄『日本列島改造論』、小沢一郎『日本改造計画』に続く三度目の改造計画。
    新しいこの国のかたちのための3つの柱、13の提案。

  • 「こんな日本をつくりたい」
    優しい心を持つ国民を増やしたい。


    本書は、石破茂と宇野常寛の対談集である。石破茂が作りたい日本のビジョンを宇野氏が聞いてみたいと思い、実現したとのこと。宇野氏が行政改革、経済、教育等を石破茂にぶつけ、石破茂はそれに答えていくのだ。


    私は、今の政治家の中で石破茂はまともな政治家だと思っている。よく言えばポーカーフェイス、悪く言えば仏頂面な人で、政治家らしい言い回し、時にごまかしはあるにせよ、考え方自体は聞くべきものだと思う。


    もちろん、納得出来るかどうかはまた別の話だが、少なくとも1人の政治家としての意見として成り立っている。他の政治家、とりわけテレビ番組や会見に登場するタイプ、と比べれば、随分上だと思う。


    さて、そんな石破茂と宇野常寛の対談集だが、比較的読み易く、勉強になった。


    例えば、日本は所得再分配が機能していないと言う事は知らなかった。日本では、お金持ちに払った年金の多くは貯金に回り、子供に相続されるらしい。自分達に払われたお金なのだから、どう使うかは自由なのだが、それでは社会はどうなるのかと考えると、石破茂の言う事も良く分かる。


    欧米でも、多くの高齢者が退職した時に一番資産を持っているが、亡くなるまでにそれを使ってしまうが、日本の高齢者はほとんどの資産を消費に回さない事を考えると、彼が日本は終わってしまうと言っちゃうのも十分説得力がある。


    また、引き算の考え方が日本に浸透し切っていると言う指摘と若者は政治家に意見を言う為にも選挙に投票するべきだと言う意見は、ずっと言われている事ではあるが、まさにその通りだ。


    しっくりしない主張もあった。例えば、石破茂は、小沢氏の「日本は普通の国になるべき」と言う主張に対してこう言っている。


    “小沢氏が普通の国になるべきだと言った時、違和感があったのは、普通の国ってどこにあるのかと言う事だ。アメリカは普通の国ではない。中国もそう。イギリスもフランスも同じ。


    それなのに普通の国になるとは何なのか。どこかの国をモデルにしようとしてもどこにもモデルは無い。北欧の福祉国家を目指すべきだと主張する人がいるが、これらの国は高齢化のピークは過ぎている。だが、日本には、ピークはこれから来る。既に、北欧のような福祉国家を創る選択肢は無い”


    この主張を読んでこんな疑問が生じた。


    “高齢化のピークが来る前に福祉国家を目指すべきである。しかし、日本には、既に高齢化のピークが来てしまったので、もう手遅れだと主張するなら分かる。ところが、石破茂は、ピークはこれから来ると言っている。であるならば、北欧をモデルとして、彼らの福祉制度を取り込み、日本に適応させる時間はあるのではないのか。また、全てを取り込むのが無理ならば、必要となる所だけを制度に応用する時間だけでも稼げないのか"と。


    ようは、「日本の高齢化のピークはこれからだから、既に福祉国家の国を創る選択肢が無い」と言う理屈が、よく分からないのだ。


    ピークはこれからだと言っても、既に手遅れに限りなく近いから、もう福祉国家を目指すのは不可能だと主張しているのだろうか。


    文章の前後を読んでも、いま一つ納得がいかなかった。


    最後に、オススメ出来るかどうかだが、私としてはオススメ出来る。様々なテーマを広く浅く扱っているし、石破茂も宇野常寛も基本的に意味不明な発言もしていなく、勉強になるからだ。本書を読み終えてから、ちょっと堅めの本に行くのもありかと思う。

  • このふたりかみ合ってるのかいないのか。

  • 政治家は次の世代を考えるが、政治屋は次の選挙だけを考える。
    そもそも日本には本当の意味での国家主権はない。サンフランシスコ条約でアメリカに押し付けられただけ。
    外国人労働者を受け入れることと選挙権を与えることは別。与えるべきではない。

  • 宇野常寛の切り込みにきちんと応えている石破さんの姿勢に好感が持てた。社会問題を分かりやすい言葉で広く浅く扱っているので読みやすい。

  • 2013/09/11に紹介された本

  • 石破さんとオタク文化評論家の対談本。石破さん、「オタク」っていうワードを媒介すると謎に若者との親和性が高まるな。

    内容の大半が議論のための議論(今明確なビジョンを示す必要性うんぬん)に終始して、この本の謳い文句の「こうしたいというビジョン(を語ろう)」自体にあまり踏み込まれてなかった印象。石破さんが単独で出した本の方がよっぽど濃密に彼のビジョンが書かれていて、かつ分かりやすいと思う。とはいえ、自分にとって新鮮な考えをいくつか発見できたので、読む価値はあった。

  •  昨年の衆院選前に購入して、今さら読み終わった。さて帯にはタイトルと一緒に「<日本のOS>をアップデートせよ!」と斜め書きされている。アップルのiOSをアップデートしたときはいつも不満が渦巻いているよなーと思う。とりあえず、この言葉を目にするようになったのは、NHKで「ニッポンのジレンマ」が放送されてから。そこでこの本で石破さんと対談をしている宇野さんが語ったように記憶している。当時は深く感銘を受けたけど、その具体像がわからないまま、放送から2年経ち、衆院選も終わった。アップデートて何すんの?という問いに、石破さんが具体的な構想を提示していく、というのがこの本の主旨でしょう。どんな日本をつくりたいのか?宇野さんは成熟した民主主義を確立した「普通の国」を挙げ、石破さんは確固とした主権を確認した上での「独立国家」を志向しているように感じた。そのためになぜ憲法改正が必要なのか、選挙制度をどう活用するべきなのか、国民は何を考えるべきで、政治家はどう行動するべきかを説いている。

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著者プロフィール

1957(昭和32)年鳥取県出身。慶應義塾大学卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)に入行。1986(昭和61)年、29歳で衆議院議員初当選、以来9期連続当選。農林水産政務次官、農林水産総括政務次官、防衛庁副長官、防衛庁長官を経て、2007(平成19)年に防衛大臣、2008(平成20)年に農林水産大臣。自由民主党では過疎村対策特別委員長、安全保障調査会長、高齢者特別委員長、総合農政調査会長代行、政務調査会長等を歴任。2012(平成24)年から自由民主党幹事長を務める。主な著書に『職業政治の復権』、『国防』、『国難』、共著に『坐シテ死セズ』、『軍事を知らずして平和を語るな』、『こんな日本を作りたい』など。

「2013年 『国防軍とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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