BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす

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著者 : 溝口彰子
制作 : 中村明日美子 
  • 太田出版 (2015年6月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778314415

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BL進化論 ボーイズラブが社会を動かすの感想・レビュー・書評

  • アインシュタインの有名な「常識とは18歳までに身につけた偏見のことをいう」という言葉を、何度も読書中に思い出しました。
    ある時代では「普通」だったものが、数世紀経ってあるいは数十年だって「普通」ではなくなることがあると知っているはずなのに、いつのまにか、昔からあるものはすべてこれからもあるはずだと思っている感覚が怖いなと思いました。
    家父長制度やミソジニー、ホモフォビアに男尊女卑。
    そういうものに真っ向から勝負を挑むと、「だから女は」「女のくせに」なんてことになりがちです。
    そういうことではないんだけどなあ、とニュースだったりを見て思っていたところ、ふと、BLの中には、私がこうだったらいいなと思う平和的で愛に溢れた世界があるし、恋愛観がある。それはなぜだろう?どうしてBLじゃないとダメなんだろう?と思ったのが、この本に出会うきっかけでした。

    どこぞのレビューで「本の紹介がわかりづらい」とありましたが、これはBLの本を紹介する本ではなくて、BLという有機体(この言い方・考え方が好きです)を分析・評論したものです。
    何度も、そうだったのか!と膝を打ち、何度も、そこまで考えていなかったけど、そうかもしれない!と目からウロコを落としました。

    気持ち良い、好きだ、を原動力にして、好きなキャラたちがどうすればもっと素敵な人生を送れるかと考えた(つまり愛を注いだ)結果、BLという世界が現実世界の先取りをし始めた、という説はとても納得がいくものであり、同時に鳥肌が立つくらい感動するものでした。

    ただ好きで読むだけでも、きっと問題はないのだと思います。でも、一度でも、「どうして私が好きな世界はBLに多くあるのだろう?」と疑問に思ったひとは、この本で視界が開けるのを感じると思います。

    余談ですが、カバーの二人が、カバーを外すと老人?カップルになっていて、涙しました。これが愛でなくてなんだというのでしょう?と思って……。

  • 先日読んだ「オトコのカラダはキモチいい」は女性が(というかふじょしが)知りたかった男性の身体の神秘を紐解く内容だったが、これは私たちの愛する「BL」というジャンルがいかにして起こり、どう進化し、そして私たちを癒していったのかが体系的に、様々な事例と愛をもって書かれている。森茉莉の「恋人たちの森」、24年組少女漫画から2015年の商業、ゲイ映画までを網羅しているので、社会的、文化的側面のみならず自分だけの1冊を見つけるための格好のガイドブックでもあると思う。
    作中で挙げられていたやる気の民法や成層圏の灯を10数年ぶりに読んだ。当時は男男の恋愛ウッヒョーとしか思っていなかったのだが、今読むと様々な社会的事項を内包し問題提起がなされており、作中で彼らが報われることで知らずうちに私もまた救われていたんだな、と改めて感動し、BLの神様に感謝した次第です。

  • BLを好む理由について一度でも考えたことのある人はこの本を読むべき!!

    BLって、ジェンダーフリーな社会のパイオニアなんじゃないかな?!って。

  • 長年BLを学術研究してきた著者による本。

    当初は女性たちが安全な場所で性愛の物語を楽しむだけだったのが、ゲイの目線を意識し始めたことで、女性も含めてあらゆるマイノリティに優しい物語へと進化している!という話です(雑に要約すれば)。感動的。

    自分たちのつくるものが誰かを傷つけているかもしれないと自覚したときに、開き直るのではなく新しい方向性を模索していくという姿勢が素晴らしいし、面白いです。
    いまある痛みを叫ぶよりも、とにかく自分自身が楽しむことによって、ちょっとずつ自分や周りの価値観を変えていくという方法は、どんな問題にも有効だと思う。


    BLの何が女性にとって楽しいのか。自覚していたこともあれば、していなかったこともあって、頷いたり、へぇと呟いたりの読書でした。
    ぐだぐだと書いてますが、素直な感想は三浦しをんさんのおっしゃる通り「これからもBLを愛していこうと改めて決意しました!」の一言に尽きます。


    最近はBL出身の作家さんが一般誌で、進化した価値観をもった作品を描いてくれることも多くてうれしい。「家父長制度と異性愛規範にはうんざりしてるけど、性愛も別にいらないんだよなぁ」っていう人に向けて、BLからはみ出したような作品が今後増えてくれたら有難いなぁ。

  •  私自身は、小説や漫画を読んでも掛け算は起きないが、BLも読む位のレベル。
     ずーっと疑問に思っていた「なぜ男同士じゃないといけないのか」ということの一つの答えがここにあるように思う。

     性的ファンタジーとしてのBL。しかし、実際のゲイに対して女性は気遣いを持つという。女性らの夢物語でゲイの性を弄んでいるん じゃないかと。
     それも確かになーって思いつつ、じゃあなんで男性用のポルノとかAVはあそこまで女性を卑下した上に気遣いもないんだろうか。ア レも相当気持ち悪いものなのかもしれないなーっと気づいたのが印象深い。
     女性にとってのBLは(性的な意味で)まさしく想像の上でのファンタジーだけど、男性にとってのAVは、性的指向に基づいたファンタジーだと考えるとより一層気持ち悪い。いや。脳内で考える分には別に犯罪じゃないとは思うけど、コンピニなどで当たり前に視界に入りやすいという社会はちょっと怖い。
     うーん。男性がセクハラを意識しないのも無理はないと思うとともに、女性性が抑圧されるわけだ。
     ……と、しかしながらここまで書いて、本当にそんな乱暴に断言していいのかな、と迷う。男性にとっての性的ファンタジーがフィクションなのか現実よりなのか、判断は保留にしておく。

     進化系BLというのは、ほぼSFな訳で、SFってなんなのっていうと、私の中では「ある仮定のもとに今を超える物語」というイメージである。それが科学的なのが一般的なSFだけど、性的な意味合いでいうとBLもSFだなあぁと。
     既存の概念の枠組みを超え、より軽やかに前に進む物語。
     いつか、科学の進化により性差を超える事ができたら、文化としての性差になるのかもしれないね。それが生物として正しいあり方なのか、それは倫理の問題になるんだろうけれども。

     話は変わるが、私がなぜ本を読むのかというと、自分の知らない知識を得るためでもあるが、「知らない観点」を得たいという方が大きい。
     「なぜ」と思わない限り知ろうとも考えようともしないから。
     そして考えることで見えてくるものもあるから。視点が増えると世界が豊かになる。
     そういう意味で、いろいろなことに気づかされるきっかけになる良い本。面白かった。

  • 図書館より。
    ようやく読了。長かった...。

    深い!90年代辺りの考察とか、リアル世代だから分かるし面白いんだけど、何でか読みにくかったんだよな~。
    まぁ、まとまった時間もとれず、途切れとぎれで読んだ自分も悪いんだと思うが。
    納得の部分も多々あり、BLにはまったことのある人には読んで損なし!と伝えたい1冊。

  • 熱さと同時に率直さを感じる。

  • いくつかのやおい論は読んだことがあります。しかし、どれも釈然としなかった。そこに論じられていることは、確かにただしいかもしれないが、私の実感からは遠く、もう一歩踏み込んで欲しいと思うことばかりであった。その点この本は、やおい論に一石を投じ、新たな理論を切り開いている感がある。特にジェンダー規範、家父長制と結びつけた議論ら、常々わたしが感じていることを明快にしてくれた。
    BL進化論というだけあって、昨今の進化したBLの価値概念に非常に肯定的な議論が多い。特に、著者自身が同性愛者であるからか、同性愛の取り扱いそのものに関するセンシティブさが見て取れる。
    しかし、わたしはこの本を読みながら、本当は、BLとはそういう家父長制やミソジニーから解放されたオアシスではないということに、思い至ってしまった。BLとは、女性が男性を性的に搾取するための最も有力な手段である。男性を性的に搾取するためには、世の男性がやるように、自分と同性が対象を搾取すれば最も効率的かつ合理的なのに、女性はそれをしない。BLでは、男性の性的搾取を、男性に任せている。それはなぜか。自分たちでは男性を搾取できないという劣等感、自己蔑視に苛まれているからである。ここにはとてつもないミソジニーの影があり、わたしは、BLとはミソジニーの解放とはむしろ逆で、ミソジニーにがんじがらめになった存在なのではないかと考える。ミソジニーにがんじがらめになった女たちの反射区として発展してきたのではないか?自己蔑視そのものなのではないか?
    とまあ、こんなことを考えながら読んでいた。男女の非対称性については、あまりにも考えなければならないことが多い。

  • 口にしてはいけないと禁じられたことを、口にしないまま語るための手段の一つがBLだった。

  • 真剣な深い分析。ボーイズラブに対する考察。読み終えるのに1カ月以上もかかってしまい正直に言うと苦しかった。

    BL好きだけど、こんなに深く考えたことないし、ただ好きで読んでいるだけなのに自分が何でBL作品にひかれて読むのか、これを読んでよくわかった。


    「見捨てられた孤独な子供が、愛によって癒されていく感覚、というもの」(栗原知代)=35ページ=

    この部分が一番衝撃を感じた。10歳くらいでジルベールに強くひかれた自分は、孤独な子供、登場人物に共感とか共鳴とかしていたんだな…とはっきりわかった。なるほどな。知らなかったや。

  • 【資料ID】157305
    【分類】910.264/Mi93
    文学のコーナーに並んでいます。

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