信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍

  • 太田出版
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本棚登録 : 110
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778315566

感想・レビュー・書評

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  • 漫画『へうげもの』では、信長の死の真相を伝えるためのメッセンジャー的な役回りとして描かれていた弥助だが、読む者に何か歴史的な役割があったのではないかと感じさせる不思議な存在。

    本能寺の変で信長とともに襲撃を受け、明智軍に捕まったのに、なぜか許され解放されているのが一番の謎。

    信長の家来とは言っても元は宣教師の奴隷で、献上品として所有権が移っただけで、光秀が「こいつは動物だ」と人間扱いしなかったとも言われるが、インドで軍事訓練を受け、主君への忠誠心から、自発的に嫡男信忠を救うため二条城にも赴き、明智軍とも戦っているのだ。

    見上げるほどの長身で、腕力が強く、武器の扱いにも優れ、長距離の旅を物ともしない戦士としての側面と、生まれながらの奴隷で、信長が人目で気に入ったため献上され、光秀からは人間ではないから放っておけと無視される悲しい所有物としての側面の、どちらの人物像が正しいかは少ない資料から想像するしか手がないが、あの本能寺の変を生き延び、間近で事態を目撃した生き証人の証言が、イエズス会を通じてでも記録に残らなかったのは返す返すも残念でならない。

  • 2021.02―読了

  • 信長に仕えた黒人の弥助について書いた一冊。

    現代でも謎とされてる部分も多いが、彼の生涯を丹念に追ってて非常に面白かった。

  • ざっと読了。弥助に関して記述のある歴史的資料が少なく、しかし確実に存在したことを示す分のわずかな資料はあるためにかえって空想をかきたてる魅力的な存在になっているようだと感じた。

    1章が物語調だったのであれれと思ったが、2章からは歴史資料を交えての考察等だったので面白く読んだ。

    著者はイギリス出身で日本在住とのことだが、「きりしたん国より黒坊主参り候。」という記述の「黒坊主」を正確に英訳しあぐねているのが面白かった。僧侶(宣教師)という意味にもとれるけれど、海坊主的なニュアンスの坊主かもしれないものな…。それがどういうニュアンスかと言われると困るけれど。

  • 有り 289.1/ヤ/16 棚:5〜6

  • 信長に仕えた黒人弥助。当然のことながら資料が少ない。本能寺で殺されてないのがポイントで無限の想像を与えてくれる。信長が存命ならいずれは黒人武将として日本史に出てきたかもしれない。

  • 弥助という歴史的マイナー人物にスポットを当てた本。
    資料が少ないからこそ、想像を掻き立てられる。

  • 信長、最後の一年間に仕えた「弥助」。イエズス会のヴァリニャーノによって信長に献上された黒人戦士。近侍する者となり厚遇されるが、本能寺の変においては、信長のそば、ついで信忠のもとで奮戦するも叶わず、教会へ逃れ、史料はそこから途絶える。可能性としては宣教師たちと九州へ逃れ、龍造寺隆信と有馬晴信の戦いの際、有馬方との砲兵として活躍したのでは、と。インド人は北東アジアの奴隷を「ハブシ」(アビシニアを表す)と読んでおり、それがポルトガル語では「カフル」となり、フロイスの書簡で弥助もそう呼ばれていたこと。いかんせん史料が少なすぎて、繰り返しと推測と背景説明が多かったように思う。それはそれで興味深かったが。また、アニメやテレビゲームなど現代における弥助のイメージにまで言及されてた点は面白かった。以下備忘録的に/光秀が弥助を伐たなかったのは、有名でも武名もなく注目に値するほど身分も高くない男だったからかもしれない。/推定では1630年代までにのべ数百人のアフリカ人が日本の居住していたとみられる/

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著者プロフィール

著者:ロックリー トーマス
Thomas Lockley 1978年、イギリス生。歴史家、英語教育者、日本大学法学部准教授。授業では、国際的な視点からの日本史を扱う。
著書『信長と弥助――本能寺を生き延びた黒人侍』(太田出版)は『週刊文春』書評(立花隆)、テレビ東京「うそでしょ!?ヒストリー」などでも紹介される。

「2022年 『英語で読む日本の歴史をつくった女性たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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