- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778315757
感想・レビュー・書評
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しまったぁ!積読5年、やっとページを開けたらものすごい名著でした。著者の本は『ニッポン・ポップス・クロニクル 1969-1989』『「ヒットソング」の作りかた 大滝詠一と日本ポップスの開拓者たち』と読み継いで、まあ慌てて読まなくてもいいか、と思ってしまったのですね。友人に「面白かったですよ。」と言われたのがきっかけです。前著2冊はニッポン・ポップスの地下水脈についてスタッフ側からの証言のアーカイブ、自分の仕事史の覚書としてのメモランダムで、とても刺激を受ける本でしたが、今回はそれにも増して日本のポップスを「ニュー・ミュージック」でも「シティポップス」でも「渋谷系」でもない「都市型ポップス」と捉え歴史的に、構造的に記述しようという迫力に満ちています。著者はまえがきで言います…「僕はやっと自分史と音楽史を重ね合わせることができました。」と。それは脈々と繋がる水系としての音楽を「渋谷」という街が持つ公園通り、道玄坂、宮益坂という3つの坂と原宿との繋がり(まさに宇田川、隠田川という今や見えない川)という都市の空間構造で捉えることで成功していると思います。さらに、その"鳥観図”の見渡しの良さと、実際にその「地下水脈」に流され、泳いだものにしか伝えられない"虫観図”の生々しさが相互に行き来しているのも本書を唯一無二なものにしています。もうひとつ。過去の総括だけではなく、自分から11歳と30歳若い世代を執筆陣に加え、時代を変えた名曲の楽曲分析とデジタル時代の創作の可能性の模索をセッションしているのも頭が下がりました。ニッポン・ポップスの昨日、今日、明日。東横線のホームの地下化によって渋谷という街の構造が掴めなくなっていることに尻込みせずに、これからの「場のクリエイティブ」がどうなっていくか、自分でも考えたいと思いました。もう一度、書きます、名著です。
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「ライブハウス文化論 / エンターテインメントプロデュース論」
中野薫先生 参考図書
https://library.shobi-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=00073760 -
やたらと人名が沢山出てくる。ミュージシャン同士が才能で繋がるのはわかるんだが、著者のような裏方的な人達も同じくらい色んな所で繋がり合っていて、そういう人脈が物を言う世界なんだろうなというのがよくわかる。
最後の楽曲解析は、普通に聞いてるだけではとてもそんなところまで気が付かない奥深い解説で、プロはすごいところで音楽を作っているんだなぁと感嘆する他なかった。 -
2017年7月12日発行。 著者は牧村憲一、藤井丈司、柴那典。
シュガー・ベイブ、山下達郎などの製作をやってたり、フリッパーズ・ギターのプロデュースもしてた牧村憲一さんが、地元である渋谷と音楽人生を絡めて語った本。
タイトルからてっきり「渋谷系」について深く追求した本かと思ったら、ちょっと違いました。
それでも渋谷の街と日本の音楽の歴史との関わりは面白かったし、山下達郎やはっぴいえんどの面々とのエピソードはとても楽しかった。
そしてやっぱりフリッパーズ・ギターに関する箇所が最高に面白くて、死んだ。 ファーストアルバム作るのに3,000万円もかかったらしく、驚いた。 その価値のある名盤ですね。 かなり詳しくフリッパーズの遍歴がわかるので、ファンとしては大興奮です。
吉田拓郎やキャラメル・ママ、ナイアガラ系なんかはちゃんと聴いた事がないので、歴史に敬意を表して聴きこみたいと思います。
ちょっと丁寧すぎる文章がめんどくさい部分もあるけど、日本のロックの歴史を知るうえでとてもためになる教科書です。 -
ふむ
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音楽業界の話で、90年代半ばまでの「すごかった時代」を語る本は何冊かあります。そしてだいたいは「2000年以降の停滞」のところで次の言葉を失ってしまう。本書は最後の方で楽譜付きで代表曲を解析している。ここからなんかヒントを得てなんか新しいもん作ってくれーという著者たちの思いが伝わってきます。良書です。
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渋谷を中心とした音楽50年史。フォーク、ロックを経て渋谷系まで、なぜ渋谷だったのかを自身の経験も交え丁寧にたどっている。ちなみに主著者の牧村憲一氏はフリッパーズ・ギターのプロデューサーでもあった。後半では他の著者もお交え、著者たちが重要と考える楽曲を楽譜付きで解説している。日本のフォーク、ロックおよびいわゆる「渋谷系」ファンは必読の書。