- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778320201
感想・レビュー・書評
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「僕はどうしてか、今日も僕だ」
浅野さんの漫画には、はずれがないですね。
歪んだ街と、そこに住む歪んだ人たち。
けれどその歪みは決して絶望的なものじゃなくて
ただ人が人であるためにだけ存在している。そんな気がする。
大都会、ではないけれど
街という場所が身近になった今、誰しもが感じるものがあると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
NHKの「ニッポン戦後サブカルチャー史」で紹介されていたところ、息子の本棚にあったので拝借。
Wikipediaでは「夢と現実の不確定性を強調して描いたサスペンス作品」と作品解説されているが、ちょっとそれだけではないような気がする。
2000年代の若者たちが感じていた(であろうと、昭和生まれのオジサンは推察する)閉塞感や世界認識をリアルに描いた作品なのではないだろうか。
たぶん、平成生まれは共感を持ってこの作品を読み、昭和生まれは違和感を持ってこの作品を読むのだろう。それとも、自分たちには理解出来ない世界がそこにあるという疎外感なのかもしれない。 -
一度読んだだけじゃ分からない、けど、
何度読んでも分からない、のが正直なところ。
ぶっちゃけ、何度も読み返して読み砕いて、
細かい部分に目を向けて考察することは出来るけど、
そこまでする気になれない。そこまで入り込めない。
自分なりの解釈でいいかとも思うし、
漂う暗さや怖さ、不気味さや難解さを感じ取れれば
もうそれだけでいいやと思った。
言い方アレだけど、雰囲気漫画。好きは好きだけど。
浅野いにお世界観に酔いしれるのも疲れた年頃。 -
登場人物たちの断片的な記憶からストーリーを掴むのは難しいが、つなぎ合わせて初めて全体像が見える映画のような演出方法は好き。
イラストのタッチが写真みたいで、漫画というよりも映画を見ているみたい。
蝶は魂の象徴であり、キリスト教では「復活」、仏教では「輪廻転生」、ギリシャ神話では「不死」という意味があるらしいが、この物語の中ではどんな意味があるのだろうか?
黒い蝶ではないから「不幸」や「不吉」の象徴というわけではないと思うが。
過去と現在が交差する様子は「胡蝶の夢」のようだと思った。
小学生時代の回想なのか、小学生時代に見た夢なのか。
個人的にはヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」とかも考えた。
そうしたら「エーミール」はあの子で、「僕」は彼女以外の全員になるのだろうか。
蝶を壊したのは誰なのだろうか。
個人的には、
「いつまでもお前の寝たふりが通用すると思うなよ」
という言葉が印象に残ってる。
話は変わるが、ブリキの缶には何が入っていたのだろうか?
私は蝶だと思った。
そうしたら「蝶」はあのこなのか、あの子に翻弄された人たちなのだろうか。
話が曖昧で何か考察しようと思うのに、何も考えずに読みたい作品。
長文失礼しました。 -
爽やかな鬱。浅野さんはノスタルジアを表現するのがものすごく巧い。トンネルの向こうに浮かぶ少女のシルエット、足の間を流れる血の意味。伏線を張り巡らせながら、視点を変えながら見せて行く過去と今と未来を結ぶ細い糸。泣き叫びたくなる。不条理な大人に、無力な自分に、冷たくもあたたかいセカイに。
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登場人物がみんな
狂ってて、暗くて、毒々しい。
何回も読み返してやっと意図するところを掴めたような
気がするけど、
何回も読んでお腹いっぱい。そして、疲れる。
本当に真っ暗で救いようないストーリーなだけに、
蝶に包まれるシーンは本当に美しい。
画だから完成出来たもの
実写版の流れに絶対乗せたくない作品。 -
暗い。狂気。難解。
一度読んだだけじゃわからなかった。再読したいけど、うかつに手を出せない重さがあります。 -
落ちるとわかっていてもつい読んでしまう浅野いにお作品。物語は秀逸。若干グロテスクな描写もありつつもノスタルジックな世界観に覆われていたので、そこまで不快感なく読めたかも。じっくり読み返したいようでもあり、このまま蓋をしたいようにも思える1冊です(笑)
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難解がゆえに、一見、内容に深みがあるかのように見える。
しかし実際のところは、読み手に分かりやすく描く努力を欠いている、独りよがりなだけの作品ではないかと思う。