- Amazon.co.jp ・マンガ (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778320515
感想・レビュー・書評
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「これはしんどいで」「やめときな」と謎の脅迫をされ、私の中でバリクソ鬱漫画のレッテルを貼られてしまった『ブラッドハーレーの馬車』、読みました。
うむむ、個人的には、鬱全開って感じでもなければ、かといってエログロのバロメーターがMAXなわけでもなく、なんだか煮え切らない感じで読み終えてしまいました……。雰囲気は三原ミツカズ作品に近いです。ドレスもいっぱい出てくるし、すごく社会的でマジメ。それにちょっと悲惨さを足した感じ。好きなんですけどね。
ただ、まぁ肩透かしはくらいましたが、何も感じなかったわけではもちろんありません。「うぉっ」っとなるカタルシスを膨大に含んだ作品もありましたし(第六話とか)、各話のラストには沙村先生の技巧が凝らされていて、いい具合に胸を抉ってくれました。最終的にはこうなる、とある意味分かっているからこそ、そこを上手く表現していて、先にも引用しました三原ミツカズ先生ではありませんが、鬱漫画と呼ばれてはいるものの、すごく真面目に丁寧に描かれている作品でした。だからこそ、1巻で完結しますが、もうちょっと沙村先生の『ブラッドハーレー』を読んでみたかったです。
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行為そのものを描かず読者に想像させる構図。
胸糞エログロジャンルに入りそうなところを、オブラートに包むテクニックがすごい。
少女側だけでなく、看守や囚人目線での話もあり、それぞれの話が重く切ない。
囚人のあのストーリーには泣いた。
フィクションなのに実話みたいで、こんな苦しい漫画見るのをやめたいと思いながらも、救いがほしくて最後まで読んでしまった。
序盤がひどくハードな内容だが、徐々に抑えめになっている。 -
冒頭では、夢が示される。歌劇団にスカウトされるという。淡々と、裏物語が語られる。それが現実である、事を示すような錯覚を覚える。女衒と同じだ。悲壮感という言葉が適切かな?何の努力もしていない少女達、能力があるわけではない。道具として、生贄として、召されることは、あらかじめ分かっていれば聖となる。孤児院が、貴族家が、隆盛の極みかは、分からない。
伝えたいメッセージは何か?分からず。 -
鬱くしく甘美な悪夢
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粗野な男たちの檻へ放り出され、不安と失望と恐怖を浮かべる少女の顔。お試し版とでもいうのだろうか、うすい冊子に掲載されていたのはそこまでだった。「かつてこれほど残酷な、少女の運命があっただろうか」そんな帯の惹句にもつられて、ただただ好奇心だけで、わたしはこの本を買う。そのようなコピーがつけられた本なのだからもちろん、あかるい展開など望むべくもない。それは百も承知だけれど、にもかかわらず、なかなか読みすすめることができない。むしろおぞましいものをこそを求めていたはずなのに、気持ちはどんどん暗く沈んでゆく。全8話で構成されたこの陰惨な、しかしうつくしい物語には必ず、絶望への伏線として、わずかな希望が描かれている。それがどんなに人の心を打ちのめすのか、この作者はよく知っているのだとおもう。
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最高。
最初の1、2話でドカッとキツイ描写を入れといて、後はもう一切その描写は出さない。
普通の読者はもう最初の1話でお腹いっぱいで、たとえ直接描写がなくても、示唆されるだけで反射的にえづいてしまう。
この二段構えの構成が憎らしいほどうまい。
2話と6話が特に好み。
でも人には、特に女性にはこれいいよって言えない作品。