インノサン少年十字軍 中巻 (Fx COMICS)

著者 :
  • 太田出版
4.12
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本棚登録 : 385
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778321055

感想・レビュー・書評

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  • 裏切られ奪われ喰い尽くされて流れる血。泣き叫ぶ声。迷える子羊達。もう戻れない無垢な少年の日々。神様はどこまでも残酷。

  • 宗教というのは善と悪との紙一重。

    どの宗教にも共感しない私としては理解しがたいとこもありつつ。
    この本とMWという映画のせいで一時キリスト教の勉強をしました。

    残念なのはー。
    ウィキで少年十字軍を検索してしまい…。
    ラストをなんとなく知っている事だ。
    でも、古屋氏なら意外なラストを用意している…ハズ…。

    • ao,さん
      ウィキで少年十字軍を検索してしまい…。同じですw気になったらつい…。下巻早く読みたいですね><
      ウィキで少年十字軍を検索してしまい…。同じですw気になったらつい…。下巻早く読みたいですね><
      2011/11/14
  • 坂道を転げ落ち始めた少年十字軍。少年達の弱さと、詰めの甘さが際立つ。子羊達が烏合の衆ですごく憐れだな…。不穏要素だらけで、どうなっちゃうのか底が知れない!

  • 兎丸先生はキャラクターを描くのが本当に上手。
    史実を参考にしているけど、現代にもいそうな少年たち。嫉妬、葛藤、コンプレックス、こどもとおとな。

  • 少年十字軍[編集]
    エティエンヌ
    12歳。母親と2人で暮らす羊飼いの少年。信心深く、人一倍天候に敏感で、彼の予報はよく当たると町では評判だった。争い事を好まぬ心優しい少年で、不思議な喇叭を手にしたことをきっかけに、少年十字軍のシンボルとして崇められるようになる。しかしニコラの変貌をきっかけに、段々逸脱していく隊の行く末を不安に感じている。ニコラやクリスチャンのようにはっきりした目的意識は無く、純粋な信仰心からエルサレムを目指す。旅の途中で立ち寄った町で娼婦の少女・イザベルに出会い、仄かに恋心のようなものを抱いた。ユーゴの庇護を失ったことで過酷な旅となり、大勢の仲間が死んでいく中で一人重圧から心を閉ざしてしまうが、イザベルが自分たちを追って売春宿を出たと知ると、今までの蟠りや緊張から解放されたかのように彼女に縋って号泣した。その後隠れ異端の村で匿われ、束の間の平穏な時を過ごす間に、イザベルへの恋心を自覚し、彼女と惹かれ合うようになっていく。
    モデルは実際にフランス少年十字軍を指揮した少年・エティエンヌ。
    ニコラ
    12歳。養豚場を営む叔父と暮らす。エティエンヌの親友で、彼とはちょくちょく一緒に遊ぶ。両親は既に亡くなっているが、父が十字軍の一人として従軍し、異教徒に殺害された事から、異教徒を激しく恨んでいる。また十字軍や騎士に憧憬を抱いており、その思いは自らの額を切り裂いて「一人前」であることを証明しようとする程熱狂的。騎士の影響からかアンリやマルクと一緒にチャンバラごっこをして遊んでいたこともあった。十字軍結成後はクリスチャンから隊長に任命される。テンプル騎士団の一員であるユーゴと出会ってからは、隊の面々が勝手な行動をしないように厳しい罰を設けたり、ユーゴの助言に従い過激な言動をするようになるなど、意識がどんどん常軌を逸してきていた。しかしユーゴの策略が露見した後は彼に失望し混乱するも、またエティエンヌと元通りの仲良しに戻った。だが彼の庇護を失ったことで旅は過酷になり、道中で大勢の仲間を失いつつも、やっとのことで隠れ異端の村に匿われ、そのうちコレットに仄かな好意を抱くようになる。
    モデルは実際にドイツ少年十字軍のリーダーだった青年・ニコラス。
    クリスチャン
    14歳。一見すると女性にも見える美少年。口調は女っぽい。商人の家に生まれたので無学の子が多い十字軍の中でも貴重な修学者。出立の際には本を携えている。隊員の勝手な振る舞いを封じる為の規律を設けたり、いざという時の為の紹介状を持参したりと、用意周到且つ注意深い性格で、カタリ派についてエティエンヌに説明するなど博学な一面も見せる。知識に貪欲で、彼がエルサレムを目指す理由もエルサレム方面にある“秘術”の奥義を知る為であり、信仰心によるエルサレム巡礼は二の次である。それ故「知識=原罪の要因」と捉える修練士のミカエルとは折り合いが悪い。「エティエンヌへの恩返し」という合理的な理由で彼に従うギーを気に入っている。余りにも上手くいき過ぎる旅の行程に不穏なものを感じ、ユーゴの後を付けて彼の策略を見抜いた功績を持つ。実は密かにエティエンヌに想いを寄せており、彼がイザベルと愛を語らうことを快く思っていない。十字軍では経理担当。
    アンリ
    10歳。エティエンヌ、ニコラの友人。泣き虫で家族にも気弱な性格を心配されている。十字軍では副隊長に任命される。しかし十字軍結成後は、剣術に長け男らしいギーを模範として強くなることを目指し、一方的ながらライバル視するようになる。しかし道中で盗賊に襲われた際は泣いてばかりで結局何もできず、結果としてルークと他の小さい子供らを大勢死なせてしまう。失われたニコラの信頼を取り戻すべく脱走者抑止の見張りを買って出るが、雨に紛れて逃走を図ったマルクとレミーを止めようとして、マルクを殺してしまう。
    ルーク
    14歳。エティエンヌ、ニコラの友人。常に笑顔を絶やさない快活な性格の少年。家は皮なめし業を営んでいる。十字軍では第一参謀に任命され、旗手も務める。旅に出た理由も「仕事をサボれるから」という実に子供らしい理由である。滅多に怒らないがユーゴの真意を知った時はその狡猾さにいきり立っていた。彼を慕っていたニコラを元気づける優しさも持つ。道中で盗賊に襲われた際は旅の資金を守る為勇敢に立ち向かっていったが、呆気なく首を半分切断されて殺されてしまった。
    マルク
    13歳。エティエンヌ、ニコラの友人。明るい性格で場を和ませるのが特技。レオナルド人形(イタリア製)というパペットを常に持ち歩き、腹話術で彼と軽快な漫才を見せる。アンリ、ルークと行動を共にすることが多く、十字軍では第二参謀に任命される。十字軍遠征には遠足気分で参加していたが、段々過酷になる行程に恐怖を覚え、故郷に帰してもらおうとレミーと一緒にユーゴの元へ行こうとする。しかしニコラに失望されたくないアンリによって刺し殺され、帰らぬ人となってしまう。
    ギヨーム
    12歳。町でも権力者にあたる領主の息子で、親の威光を笠に着て威張る嫌味な性格。その為アンリ達には嫌われており、気性の荒いニコラとは度々喧嘩になる。エティエンヌの奇跡をきっかけに「名誉を掴むチャンスだ」と父親にせっつかれ、十字軍に参加する。日頃の行いのせいで軍に入るのは難しいかに思われたが、この時父親が提案した「金」よりも彼らにとって魅力的な「隊服」を提供し、ニコラ達の心を掴む事に成功する。しかし性行はお世辞にもいいとは言えず、子供でありながら旅先で幾度も売春宿に出入りし、「奇跡の喇叭」をエティエンヌから掠め取るという騎士としてもキリスト教徒としても最低の姿を曝した。その結果激昂したニコラに殺されそうになるが、レミーの頼みで小指を切り落とされるのみに留まった。以来ニコラに並ならぬ憎悪を抱くようになり、最終的には彼の手から預金証を奪い、テンプル騎士団へ入団してしまった。
    ピエール
    11歳。ギヨーム同様金持ちの家の子で、常に彼の後を付いて回る腰巾着。彼もまた嫌な性格の持ち主で、娼婦相手にも平気でいやらしい真似をする好色な面も持つ。しかしそのうちに淫行がばれ、ニコラに鞭打ち百発という厳しい罰を食らった。下り坂になる旅の行程に嫌気が差してギヨームと共にテンプル騎士団へ寝返ってしまう。
    レミー
    12歳。町で一番愛くるしい少年だったが、ハンセン病に冒され今では町中から腫れ物扱いされるようになってしまった。病気の平癒を神に祈る為にエルサレムへ向かう。自身が病気であるためか命の重みを一番理解しており、ギヨームらの命も助けてあげるようにニコラに頼んだ。旅が過酷になっていくにつれ、その影響からか病状が悪化、目が見えなくなってしまう。それ以降死の恐怖に取り憑かれてスッカル依存症に陥り、マルクと共に軍を抜けてユーゴにスッカルをもらいに行こうとする。
    ロラン、リリアン
    11歳の双子の兄弟。当時横行していた双子の迷信に惑わされた心無い人々の噂によって、母親が自殺してしまった暗い過去を持つ。そんな母の為に祈り、神の力で母を天国へ行けるようにしてもらうのが二人の願いである(キリスト教では自殺は罪悪とされている為、自殺者は地獄へ堕ちるとされていた)。兄のロランは弟思いの社交的な性格の少年で他のメンバーともすぐ打ち解けた。一方弟のリリアンはしっかり者の兄に対して劣等感を抱いており、兄と一緒くたに見られることを嫌う。その反動か、仲間内でも評判の良くないギヨーム達と付き合うようになり、その結果ピエールと共に鞭打ち百発の刑を食らうことになった。その後ギヨーム、ピエールと一緒に軍を裏切り、テンプル騎士団に入団してしまう。
    双子の血の成せる業か、テレパシー能力を持ち、この能力を生かして連絡を取り合ったり、旅を経るうちに長蛇の列となった隊を整理する役割を担うことになる。
    ミカエル
    12歳。シトー修道会に属する少年修道士。会の修道士達が告解の時に役立つだろうということで隊に同行させた。精神遅滞の気があり、舌足らずな喋り方だが、隊のメンバーの誰よりも神の教えの真髄を理解している。また声が美しく歌を歌うのが得意で、エティエンヌにも「天使のようだ」と称賛された。
    教えに反する『禁断の木の実』たる“知識”を追い求めるクリスチャンを罪深い人間と認識しており、一度は口論になりかけたこともある。エティエンヌを奇跡の子として純粋に慕っており、クリスチャンに余り近付くなと注意した。しかし自分は本当に神の僕なのかと悩むエティエンヌを見て、救世主の偶像に囚われず人間らしさを失わない彼を嬉しそうに見ていた。エティエンヌの告解の時にエロスとアガペーの違いを説き、イザベルのことも娼婦故か、それとも別の理由があるのかは不明だが、「悪魔」と呼んで蔑んだ。
    ギー
    14歳。エティエンヌの町を襲撃した盗賊団の一員で、金の為なら人殺しも厭わない冷酷さを持つ。エティエンヌによって盗賊達が追い払われた後、一人捕らえられた彼は町中で曝し者にされてしまう。しかし可哀想に思ったエティエンヌによって解放され、十字軍の一員に加わる。彼が聖地へ赴く理由はないが、自分を認めてくれた仲間達の為に命をかけようとする、仲間思いで義理人情に篤い一面が発覚する。元盗賊だけあって軍の中では最も武器の扱いに慣れており、アンリに目標とされている。

  • 2014年10月29日読了。

  • メモ:Yahoo! ブックス。

  • 疑心暗鬼と言う人間の心の闇が広がって行く…。古屋さんの線のタッチはそれだけでぎりぎり感が出ててホント怖い…。

  • 上巻が無垢さ漂わせていたのに対し、一転して何やら血生臭いイメージを醸し出す表紙の中巻。上巻終盤に、エティエンヌ率いる少年十字軍を包んだ不穏な空気が、この巻では一気に暗雲へと変わってゆきます。突きつけられる、現実と惨劇。ストーリー展開は、正直なところ定番と言ってしまえばそれまでなのでしょうが、テンポも良く、迫力があり、知らずうちに物語へ引き込まれるだけの力を持っています。序破急の『破』としてはこれ以上無い展開。ただし、残酷描写が苦手な人は注意が必要です。

  • 1212年フランスの田舎町。
    "奇跡の子"エティエンヌは、12人の仲間と共に「少年十字軍」を結成し、
    聖地エルサレムを目指していた。
    道中、テンプル騎士団のユーゴたちの庇護を受け、
    順調な旅路を進むかのように見えた少年たちだったが――。


    夢と希望に溢れていた少年十字軍、
    しかしそれを利用する大人の思惑に嵌り少年達の運命が狂い始める。

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著者プロフィール

一九六八年東京都生まれ。九四年に『月刊漫画ガロ』より「Palepoli」でデビュー。卓越した画力と多彩な画風で熱狂的な支持を集める。著書に『ライチ☆光クラブ』『帝一の國』『女子高生に殺されたい』などがある。

「2021年 『谷崎マンガ 変態アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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