ぼくらの☆ひかりクラブ 下[中学生篇]

著者 :
  • 太田出版
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778321635

作品紹介・あらすじ

しのびよる悲劇の予兆......。
少年たちの無邪気な青春の日々を描く、傑作『ライチ☆光クラブ』の前日譚、ついに完結!
世界征服という野望に囚われたゼラ。ジャイボの囁きによって、無邪気な少年たちの遊び場だった「ひかりクラブ」はマシン開発のための秘密基地となる。リーダーの座を追われたタミヤの目に再び光が宿るとき、悲劇の幕が上がる――。

感想・レビュー・書評

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  • ゼラにもつらい過去(現在)があった  
    自分の想いを伝えることが下手で、なまじ頭がよかったばかりに、やりきれない思いをロボットの開発に向けてしまった  

    ニコはきっと誰よりも友達が欲しかった・認められたかった  
    そこに、吸引力の強いゼラが現れてしまった  

    雷蔵は1番純粋で、1番「キレイな子供の心」を持っていたんじゃないのかな  
    「大人は汚い」なんて発想にも至らないくらいの  

    カネダを見てると、こいつは私だなあ、とか思ってしまう  

    デンタクは、ゼラとは対照的に「健全な育ち方」をした天才少年かなあ  
    でも、自分の頭脳がロボットという目に見える形で現されて行くのに酔ってしまったのかもしれない  

    ダフは健全な思春期の男の子代表で(笑)  
    タミヤのパチンコを受けるときの澄み切りすぎた瞳がとても印象的  
    それ程、3人の友情が深かったのだろう  

    タミヤは人を好意的に捉えるのが得意なんだろう  
    その彼の長所が、ゼラによる光クラブの乗っ取りを招いてしまったのかな 
     
    ヤコブも雷蔵も、完全に巻き込まれた形  
    ヤコブみたいな明るい子は、光クラブに入っていなかったらどんなに楽しい学生生活をおくれたんだろう  

    で、ジャイボは何?ってなる  
    ひょっとしたら、ジャイボにも不幸な背景があるのかもしれない  
    (親の愛情を受けてないとか)  
    しかしそれが語られないから、また不気味な彼の魅力が引き立つのかもしれない  
    (サイコめいたものも感じてしまうけれど)  


    下を読み切ると、上の冒頭が何であったのかがわかる  
    海岸での幸せな様子から一転し、タミヤがダフを手にかけようとしているところへつながると、まさに  
    「どうしてこんなことになっちまったんだ」  

    嫌悪感を覚えながらも少年たちの行動を否定できないのは、自分にもその気持ちがわかってしまうから・実際に通ってきた(通っている)過程だから  
    思春期の子供たちの危うさが凝縮された作品だと、改めて思う  

  • ニコが自ら目玉をくりぬいたシーンはグロいのに何度も読み返してしまう。タミヤ達が堕ちていく様がキレイに描かれていた。ゼラの過去を知り、ジャイボ→ゼラへの想いなどがわかり、より悲しい。
    海でひかりタマコクラブと言っていた穏やかな時間から一変、タミヤの「どうして今俺はダフにパチンコを向けているんだ!?」の言葉が重い。三人の「ずっと親友」の手紙にほろっときた。ラストへの盛り上がり方が良かった!!
    ライチ光クラブを読み返したくなる内容。
    【ライチ光クラブ】と【ぼくらの光クラブ上・下】3冊で★5つ!

  •  この物語は東京グランギニョルの演劇”ライチ☆光クラブ”が基となって生み出された作品である。著者である古屋兎丸氏が”ライチ☆光クラブ”を漫画化し、その際にキャラクターたちの背景の物語が思い浮かび、それを描いていったのが今作『ぼくらのひかりクラブ』である。この下巻では中学生となったライチ光クラブの少年たちが、どうして『ライチ☆光クラブ』の破局へと向かっていったのか、リーダーであったタミヤの視点を中心に描いている。
     小学生の頃にあった連帯感は薄まり、互いに心の距離が広がり、断絶へと向かっていく。体格が変わって制服も中学校の学生服になり、色調が黒を中心になった事によって作品全体の重々しさを増している。
     今作で気になったのは次の二点である。一つはこれまで具体的に描かれていなかったジャイボの心理が描かれていること。彼の心の中にある不安が伝わってくる。
     もう一点はゼラとニコの共通点である。リーダーとして冷静沈着であり数々の掟を作り上げていたゼラであるが、心の底には寂しさと不安を抱えている。それを埋めるかのように自らの理論を展開させていく。ニコは貧しい家庭に育ち、いじめを受けていた過去から不信感によりあまり人を信用しない。しかし、自分をアインツ(一番)と認めてくれたゼラを絶対視している。ゼラは自らの理論を、ニコはゼラを、周りの環境や人々に背を向け、唯一のものと信じている。その極端な傾倒が似ているのではないかと思う。そして、それが弱さ故のものということも。

  • 「ライチ光クラブ」の前日譚、終劇。
    この話の中で彼らが笑顔を見せれば見せる程、後の惨劇を思って切なくなる。

    しかし、アレな。
    タミヤを始め、ダフ、カネダ、ゼラなんかにキャラの厚みが出たが、前作からも含めジャイボだけは全くバックボーンが見えなくて一個も愛せずに終わった。
    物語上必要なのは重々承知してるにも関わらず「何で居るんだろうコイツ。凄く嫌いだ」って創作された人物に対して思ったのは生まれて初めてかもしれない。

  • グロくて重くて暗くて救いようないけど、
    ええ感じや…

  • 『ライチ☆光クラブ』の前日譚です
    (前日譚ですが、『ライチ☆光クラブ』を読んでからがオススメです)

    こちらも小学生篇同様、タミヤ視点でストーリーが進行していきます

    ・ニコが片目になった理由
    ・タミヤの心境の変化
    ・ゼラの過去
    ・そしてひかりクラブ初期メンバーの絆

    小学生篇同様、本編では語られなかった疑問・背景がとても丁寧に、わかりやすく描かれています。(小学生篇よりもややグロテスク・エロチックな描写が増えます)

    本編に近くなってくるのと同時にじわじわと忍び寄ってくる崩壊への予兆は小学生篇より辛いものがありましたが、そのぶん納得できることもたくさんありました。特にニコが片目になった理由は知れてよかったです(本編では理由こそ語られていたものの、あくまでもさらっとしか描かれていなかったので…)

    あまり登場人物に関しての感想は言わない様にしているのですが、本編、そして小学生篇中学生篇と共通して愛しいのはニコだなあと。もちろんそれぞれの登場人物みんな魅力的なのですが、ニコはゼラやタミヤ、そしてジャイボなどのメインキャラクターとはまた違った味や役割があり、ニコならずしてこのストーリーは成り立たないとすら思いました

    本編のストーリーの結末を知っているからこそ、ラストの"続劇"の二文字は何とも言えない気持ちになります。本編→前日譚→本編と、何度も繰り返して読んでしまう作品です

    (本編は80年代の演劇を元に古屋先生がアレンジを加えて発表された作品でしたが、こちらは(小学生篇も含めて)完全に古屋先生の創作だそうです。古屋先生はあとがきに「蛇足なのでは~」と書かれていましたが、漫画から入った身としてはとても楽しく読めました。そして何よりも、古屋先生が愛情を持って描かれているのがとても伝わる作品なので、漫画のライチファンとしては読んで損はない一冊だと思います)

  • きっとゼラはお母さんを慰めたくて、お母さんに愛されたかった。
    だけど存在自体を否定されて深く傷付いちゃって、「いっそロボットになれたら」なんて考えちゃったのが全ての始まりだった。
    しかもロボット作れちゃうくらいの脳みそが備わってたのが尚更悲劇。
    ジャイボはヤンデレ。タミヤは男前すぎる。

    子供らしさ。中二病。ゼラもデンタクも、ちょっと頭が良すぎた。ライチさえ完成しなければきっと…
    (14で死なずに世界を手に入れたゼラも見てみたかったかも)

  • 古谷先生天才すぎ

  • 古屋兎丸氏による『ライチ☆光クラブ』の前日譚、完結。
    上下巻を通して読んで、正直、ここに繋がるんかぁという感じ。ちょっとだけ本劇にも食い込むのは分かりやすくて良かったです。

    あとがきで古谷先生が仰っているように、きっかけはタミヤの発言の違和感らしいのですが、だからこそ『タミヤ✩覚醒』の話はしっくりと、そしてタミヤのキャラクターにジンときました。というか、作品全体を通しても、これから光クラブを襲うグランギニョルと青春が上手い具合に具備されていて、胸が苦しくなるような展開しか無かった気もします。

    ニコ、お前…

  • ライチにハマった人は必ず楽しめる一冊です。

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著者プロフィール

一九六八年東京都生まれ。九四年に『月刊漫画ガロ』より「Palepoli」でデビュー。卓越した画力と多彩な画風で熱狂的な支持を集める。著書に『ライチ☆光クラブ』『帝一の國』『女子高生に殺されたい』などがある。

「2021年 『谷崎マンガ 変態アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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