王女のための骨董遊戯

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著者 : 冬野真帆
  • 幻冬舎ルネッサンス (2012年9月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779008498

王女のための骨董遊戯の感想・レビュー・書評

  •  献本でいただいた一冊、表紙の朝焼け(夕焼け?)に映える王女と、その後ろに半壊でたたずむ“巨人”の対比がなかなかに印象的です。一応、SFになるのかな、、ファンタジー色も強そうですが。

     舞台となるのは、女系が主流となる世界。前の世界は、男性の愚かさによって“神雷”によって壊滅したとか、その男性は二度と過ちを起こさないように、あらゆる教育や技術をも奪い去るという“去勢”状態におかれているとか、結構“キュっ”っとくる設定だったりします。

     だからといって、女系が主流となることで牧歌的で穏やかに世界が運営されているのかというと、そうでもなく。あちこちで“戦争”が絶え間なく勃発していたりしますと、これまた寓話的な内容。

     さて、この“戦争”の主役になるのは“巨偶機(ギガス)”という人型の兵器。

     この巨偶機、前時代からの遺産で今の技術では造ることはできないオーパーツとの設定。で、破壊されても一定時間が経てば勝手に復活するとか、、ターンエー的な設定も付与されています。

     物語は、ジグモンディという大国の“騎士”であったメリエラが、とある小国フローリーに攻め込んだ時に、突然ジグモンディを裏切るところから動き始めます。このメリエラ、実は記憶を封じてジグモンディに巨偶機の修行に行っていたとのこと、本来はフローリーの騎士で、王女の顔を見ることで記憶の蓋があくとかあかないとか。

     結果的にフローリーの騎士に戻ったメリエラですが、ジグモンディでの知己達と積み重ねた時間も捨てがたく、懊悩を繰り返します。なんですが、実はその“蓋”は二重にかけられていたとの設定だったりも。

     そんなこんなでジグモンディとメリエラ(とその仲間たち)の間で戦いが始まるのですが、そこに第三勢力が関わってくるところから物語が混沌と。その第三勢力は去勢されたはずの“男性”、女系主流の国家においては、虐待の対象でしかなかった“王子様”たちとなります。

     この中で、メリエラは二つ目の記憶の蓋をあけることができるのか、そしてあけた後、どんな“世界”が広がっているのか、、と、この記憶の蓋の設定が、海外SFのようでもあって面白く。

     また、各国の“戦争”の結末を決めるのは“巨偶機(ギガス)”同士の一騎打ちとか、ジグモンディの象徴たる巨偶機達には、色の識別コードがふられていたりとか、どこか『ファイブスター物語』のような雰囲気も醸し出しています、騎士との設定も。前時代とか女系とか『西の善き魔女』あたりとも被りますかね。。

     最後は大団円で終わるのですが、続編を作ろうと思えば作れそうな、、初版の『ロードス島戦記』を読んだ時のような可能性を感じました。次が楽しみな作家さんです、、これがデビュー作なのかな。

     世界は滅びを繰り返しながらも廻っている、神話的に見ればなかなかに雄大な伏線も秘めた一冊だと思います。

  • 男たちが戦争をして富の奪い合いをし世の中が乱れるというのはよくある話ですが,この話は男が排除されてその代わりに女が台頭して支配していきます。やがて,月日がたち女もやがて男と同じように権力闘争に明け暮れるように。

     女性が世の中を治めるほうがいいか,それとも男性のほうがいいか。
    今,日本の政治の世界でも女性によって変わっている部分もあるが,女性の良さを失い男性と同じ権力を操る人も中にはいるかと思います。女性が全てを牛耳って行い,男性は必要ないとか,あるいはその逆も世の中うまくはいかないのはここで言うまでもない。どうやって平和な世の中にしていくのか。
    そういうメッセージも込められた作品であると思いました。

    「主人公のメリエラが無事に王女を帰還させ,骨董戦争を終わらせることができるか?あるいは,男がまた権力の座につくのか?」

     始まりは,荒廃したシーンから始まり,さらにシーンは緊迫した場面になる。特別な説明もなくストーリーはどんどん進んでいきます。気がつくとなんだか置いてきぼりをくったような感じに襲われました。おそらく,いろいろな本を読んでいる人はこのスピードについて行けると思います。しかし,私のように読みなれていない人は最初はよくわからないまま話が進んでいくかもしれません。
    ページを戻して再度確認してもいいし,登場人物を書きだしながら読んでもいいし,そのまま頑張って読んでもいいと思います。
    とにかくあきらめない。
    突然話に追いついて,面白さに夢中になるはずです。

     しかし,最初に地図が描かれています。それも重要ですが,簡単に登場人物の紹介が欲しいなと思いました。

     「骨董品」というと,古臭くてボロボロで使えない,飾って眺めて楽しむだけの物のようなイメージですが,この話では,人間の身体の動きにフィットした道具のような武器,戦闘機です。したがって遣いすぎると「骨董機器(アンティーク)」は傷むし,その中で操縦する人間の体も傷ついてしまいます。まさに人間と一体型の戦闘機です。

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