「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの

著者 :
  • 幻冬舎ルネッサンス
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779009297

作品紹介・あらすじ

保育士・子供・親の「善循環」を生み出す保育とは?まず、子供の発達を理解すること。そして、子供の小さな達成感を積み重ねること。40年の保育実践から生まれた「子供の発達を保障する保育」を紹介。親の協力から得られる保育のありかたを徹底解説。

感想・レビュー・書評

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  • 保育園は保護者向けサービスではない!親とともに子どもが育つ場所。

    安易な知識で女性の社会進出は大事で、待機児童ゼロ施策は急務と思っていたけど、もっと親子が向き合える関係が築ける社会を考えて行くべき、と思った。企業のワークライフバランスは心身の健康のためと認識してたけど、家族のあり方について自分なりに考えて、バランシングすべきやね。しかし、会社はそんなことを支援できるだろうか。知的生産、ワーカー、サービスなどの職種特有の働き方、自身のキャリアパス、全てが円滑に行く方法なんてあるのだろうか。難しい問題だろうけど、お金の問題、時間の問題、本人の意識の問題など、問題を切り分けて、少しずつ解決するしかないのですかね〜。

    私はもうすぐ親になります。この本に書かれていた親子の関係を大事にして、もう一度自分の人生観、ワークライフバランスを考えてみようと思います。妻と話し合いながら、少しずつ親として成長して行きたいと思います!

  • 子育て支援について、見落としがちだけれど、とても大事なことに気付かせてくれた良書。

    筆者は、保育園の経営者として、現在の、サービス拡充偏重の保育環境整備について警鐘を鳴らしている。

    保育園のサービスは、一体誰のためのものか。
    母親が働くための託児施設であればいいのではない。
    子どもの健全な成長を助ける場であるべきだ。

    三歳児神話といって、幼少時には、母親がそばにいて、愛情と信頼の絆をきちんと築き、それによって反発や反抗を伴う子どもの自立を支えることが大事。
    この深い愛情に支えられた自立心が、他者への興味や社会性を身に付ける根拠となる。

    この愛情の絆が欠けたまま、他の子どもたちと接しても、心の奥に不安を抱えたままなので、どこか壁を作ってしまい、上手く社会性を育むことができない。
    そんな子どもたちを筆者は何人も見てきたそうだ。

    だから、むやみに延長保育や病児保育を整備して、母親と子どもを引き離すのではなく、
    むしろ、育児休業期間を延ばしてその間の手当てを厚くし、一緒にいられる時間を増やすべき、
    そして、そのことが、小学校での学級崩壊などの現在の教育の問題の根源をなくすことにつながるのではないか、と筆者は言う。

    (現在、小学校で起きている学級崩壊は、多分に、就学前に他人への信頼の形成が上手くできなかった子が多いためと考えられるため。)

    何年も子どもたちを見てきたからこそ書ける、具体的な事例が盛りだくさんで、とても説得力があった。
    将来自分が子育てをすることになるときまで、忘れずにいたいと思った。

  • 保育に関する様々なデータや論者について学べます。しかし、3歳児神話の肯定的な議論に関しては、エビデンスが不十分と感じるところもあったので注意が必要かと思います。「働きたい親」「働かざるを得ない親」の声は全く出てこないので、偏った主張のように感じるところもあります。

  • 共励保育園理事 長田安司2013年

    保育園のパラドックス、作成2001

    保育園が家庭の役割を肩代わりすればするほど親が教育力を失い、社会にも家庭にも悪循環

    「保育というシステムが日本の社会基盤を壊す」


    子どもが0歳なら、親も0歳

    保育園の真の目的は
    親の子育ての応援をしながら、子どもが健全に育っことを保障すること
    子どもの成長を通して、親が親として育つことを援助すること
    保育園は親と協力しながら、子どもの社会的な力を徐々に育て、将来の日本の社会を背負ってもらう健全な人を育てること

    出産後一年は、親にも子どもにも
    胎外妊娠期間と言われるくらい大切な期間

    保育園のパラドックス 
    右側(家庭)
    家庭の変貌〜戦後の日本社会の変貌
    過程の本質的な機能の喪失
    アメリカの物質文化の影響を強く受けた
    個人主義とミーイズムの混同
    お金を払って済ませる〜業務委託、代行業

    消えた3つの大切なこと
    1食べる、家族で食卓を囲む
    2崩れた躾
      「人が生きていく中で、大事なことほど、何度でも繰り返す根気が必要である。何度でも繰り返していくと、それが習慣になる。根気を持って、苦労してつくられた習慣の中から、その大事なことは生まれてくる。人間の性格は生活からつくられるのである」『子どもの教育』ジョン・ロック
    3消えた愛〜子を思う親心が消えている(育っていない)

    子どもの心に寄り添うには、それなりの経験と知識が必要

    左側(社会)
    ニートNEET
    Not in education, employment, or training
    教育も受けていない、雇われてもいない、雇われるためのトレーニングも受けていない

    2012年8月23日毎日新聞
    ペット、生後56日以下の子犬、子猫を取引禁止へ法改正
    親から早期に引き離すと社会性が身に付かず、噛んだり吠えたりする問題行動が出てくることが多い、改正案は飼い主が飼いきれなくなったり、殺処分されるのを防ぐことを目的としている


    なぜ、母親を働かせようとするのか
    子育ての社会化という罠


    キーワードは親心

    p227
    「幼児が絵本の世界に入る前に、まず子どもに語りかけ、歌いかけることから始めてください。ここに、お母さんがいますよ、というお母さんの存在感をはっきり示してほしいものです。お母さんの存在、それが赤ちゃんの生きるよりどころ、支えなのです。暖かく柔らかい肌ざわりと、心のこもった言葉が赤ちゃんを育てます。そうした精神の土壌に言葉の種を一粒一粒とまく役割が絵本です」


    絵本回覧
    何回も読んであげて
    膝の上に乗せて読んであげて
    読んだら、感想を
    持ち帰った日に読んであげて
    絵本を大切にして

    子どもの発達を保障する保育
    1まず、不安をなくすこと(0123歳児)
    ①安心感、安全感を与えてくれるお母さんと離れなくてはならないので、子どもの不安を解消されなければならない
    ②自分の思いを汲み取ってもらわなければならない、それが安心感になる

    2基本的生活習慣を整える(0123歳児)
    ①食事、排泄、衣服の着脱といった身の回りのことについて徐々に自分でできるようにしてあげる
    ②みのまわりのことごできることによって、達成感を積み上げていく
    ③基本的生欲習慣を確立させることは、子どもたちの自分信じる力、意欲の源となる
    3発達的抵抗(123歳児)
    ①身体全体を使って遊ぶことを通し、走る、跳ぶ、登るなとわざわざ自分の体に負荷をかけることによって自分の体を発達させようとする
    ②体にかける負荷を克服し、できたという感覚が快感を呼び、「小さな達成感」の積み重ねを支える
    4基礎技能(0123歳児)
    ①基本的生活習慣などの身の回りの始末ができるようになる力は、自分の手先、指先の技能が高まることによって支えられる
    ②基礎技能とは、シール貼り、糊使い、クレヨン描画、ハサミなど道具を使って遊ぶことから
    ③自分が手を加えることにより物が変化するということの面白さ、繰り返しの中から、挑戦する意欲が育つ
    ④小さな達成感
    好きになれば繰り返す
    繰り返せば上手になる
    上手になると、もっと好きになる
    得意なことが自信や意欲になる

    5言葉の獲得(0123歳児)
    ①自分の思いを察してくれる人との対話や関わりを通して言葉を獲得
    ②物の名前を覚え、音節を整えていくことにより、お母さん以外に人と通じる言葉を獲得していく
    ③日本語の決まりに添った表現方法を遊びや生活の中から獲得、相手に思いを伝える、相手の気持ちや思いを理解、相手と楽しく遊んだり、トラブルを調整したりする力を養う

    6ルールのある遊び(2345歳児)
    ①伝承遊びにある儀式や歌遊びなどにある約束に従って、身体を動かしたり歌ったりすることの楽しさ
    ②ルールに従うことで、楽しさを味わえる
    ③ルールや約束によって、自分の思いや行動を調整コントロールなど、人との関わり
    ④あそびをとおして考える基準、判断の基準
    論理的、客観的な物の見方を育てる
    自然界の仕組みを理解

    7やればできるの獲得 (345歳児)
    ①やればできるを獲得
    ②やればできるを積み上げ

    8難しそうだけどやってみる(456歳児)
    ①より細かい作業を作り上げようとして育っていく
    ②自由になった身体は更に挑戦へ

    9言葉の獲得2
    ①言葉によるイメージの共有
    ②考えたり表現したりする力が増したら言葉で自分をコントロール
    ③集団による話し合いによってイメージの共有、協働的遊び
    10子どもの世界(56歳児)
    ①遊びにルールがあるともっとダイナミックになる
    ②やすみ
    ③物事の意味や価値がわかる、筋道を立てて考えられる
    ④仲間を信じ共同して生きていく力を育む

  • 利用者目線(親)で便利な保育園が増えていて、保育園は親の代わりに子供を育ててくれる場所と認識している未熟な親が増えている。
    便利さを追求し、仕事を優先し子育てを外注したツケは必ず子供の成長に跳ね返ってきて、落ち着きのない子供や不安定な子供が増えることになる。
    それはひいては日本の未来に影響してくることで、政府も行政も親も子育ての本質をもう一度考え直さなければいけない。

    犬猫だって生後50日程度は親から引き離すと凶暴になってしまうので親元に置いておくことという法律がある中で、人間だけ大丈夫なわけがない。
    オランダなどは養育中は父、母2人で1.5人分(12時間)以上の働き方はしないように決めている。(父が8時間なら母は4時間まで。父が6時間、母が6時間まで、など)

    政府も女性の社会進出ばかりを応援するだけでなく、子供を預けて長時間労働しなければ生活していけない現状を見直すべき。

    保育士さんの給与や保育園に対する予算がどんどんカットされていく中で営利目的の保育園も増えていて、子供目線のいい保育所というのは少ない。園庭もなく、人手不足目の行き届かない保育園も多々ある。
    やはり3歳までは親元で愛情を込めて育てることが必要。
    子供が0歳なら、その親も親として0歳。ともに成長することで信頼関係が構築されていく。親が親として成長する大事な機会を極力外注すべきではない。


    保育園に預ける前にこのような本に出会えてよかった。
    やむを得ない事情がない限り安易に3歳未満の子供を預けることはやめようとおもった。

  • 園ママからお勧めいただき、読了。

    感想はFacebookに書いたので割愛。
    胸にグッサグッサと突き刺さる本でしたw

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