カート・ヴォネガット (現代作家ガイド)

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制作 : 巽 孝之  伊藤 優子(YOUCHAN) 
  • 彩流社 (2012年8月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779117916

カート・ヴォネガット (現代作家ガイド)の感想・レビュー・書評

  • カート・ヴォネガットという作家への愛が詰まった一冊。

    自分が読んでいるヴォネガット作品は小説のみなので、インタビューを集めた章では自分の知らなかった作家本人の姿が垣間見ることができた。

    ちょっとショックだったのが、アメリカで発売されたばかりらしい(この作家ガイドの当時)ヴォネガットの伝記のレビュー。伝記の執筆者が執筆のためにインタビューをし始め、信頼関係を築き上げようとした矢先にヴォネガット本人がなくなてしまったらしいが、膨大な手紙や知人の話を聞いて書き上げたというその人物像は、なかなかに絶望に満ちたものだったらしい。インタビューのときのユーモアを欠かさない語り口とは対照的で、ぜひともその伝記を読んでみたいと思った。

    ヴォネガットゆかりの場所をまとめた地図は素敵。
    巻末近くに国内外合わせた論文などの資料一覧があり、卒論などでこの作家にまつわる文章を書くときには大いに役立ちそう。

  • 「科学的真理」よりも「無害な非真実」を追求したSF作家
    「無害な非真実」?・・・彼はこれをフォーマと呼んでいますが、もちろん最近流行の「オルタナティヴ・ファクト」(代替的事実、要するにウソ)とは似て非なるフィクションの事ですからご注意を。
    現代作家ガイドなんて堅苦しいイメージだけど、本書は何よりヴォネガットのファンであるグラフィックアーティストのYOUCHANこと伊藤優子さんの編集により装丁はポップに仕上がり、愉快なイラストがあちこちにちりばめられてます。『ヴォネガットファンは新規読者獲得の夢をみる』なんて素敵なタイトルの漫画も2編、それとヴォネガット家系図/作家交遊録、ゆかりの地MAPなんてのあってUI的にも優れものです。
    そもそも本書はカート・ヴォネガットを読むための指南書でもありますから、研究者によるお硬い文章も充実。特に監修の巽孝之氏に始めとする翻訳家や大学の先生等による寄稿「ヴォネガッドを語る」は読み応えいっぱいで何度でも御代わりできる代物で、従来のファンはつい自分の本棚に手を伸ばして再読したい気持ちにさせられるだろうし、初心者でも本書の「ヴォネガット作品ガイド」を読み込めばいっぱしのヴォネガッド通になること請合い(バーナード嬢曰く『一度も読んでいないけど私の中では読破したっぽいフンイキになっている』)って具合にまさにナイス、ナイス、ヴェリ・ナイスな仕上がりになってます。ハイホー!
    1922年11月11日生まれのヴォネガットは2007年4月11日臨終を迎えました。享年84歳、「彼は今天国にいます」

  • 大好きな、たぶん一番好きなヴォネガットのガイドブック

     もちろん、ヴォネガット礼賛の作品ガイドなんだけれど、その部分よりも『ハリスン・バージロン(改訳決定版)』と『魔法のランプ(オリジナル・バージョン)』の収録がたいへんすばらしい!

     両方とも初めて読む作品なんだが、大好きなローズウォーター路線のとてもいい作品だ。前者は平等を後者は金を扱う物語。特に後者は、後から読む予定の「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」に収録されている改訂版とは異なることに価値がある。改訂は作者自らが行ったとされているが、あまりに《気が抜けたビール》状態である。それに比べてオリジナルは、《シュワ》っとしたテイストにあふれている。これだけで価値あるムックだ。

      『魔法のランプ(オリジナル・バージョン)』はわずか9ページのショートショートだが、コピーして保存しておきたい。すばらしいショートショートだ。このムックの評価は、この作品に対してのものであることを明記しておこう。

  • ヴォネガットの未訳短編やインタビュー、論考などの集成。最初にあった『ハリスン・バージロン』という短編が面白かった。後半は論文的で個人的にはやや苦手。直近に発売されたヴォネガットの伝記が気になるので早く誰か訳してほしい。
    こうしてヴォネガットを一人の人間として捉えると、やはり人間とは一筋縄ではいかないな、とか色々なことを思う。あと個人的にはヴォネガットと筒井康隆が一緒に写っている写真が載っていてちょっとテンション上がった。

  •  伊藤優子さんが編したヴォネガット本。大江健三郎との対談ほか、初訳の短編ななども収録。
     研究本としては初心者からマニアまでも納得の平易かつ詳細な内容であり、随所に散りばめられるイラストなども素敵であります。特にキーワード辞典とか面白いなぁ。
     ヴォネガットはハヤカワの文庫本を数冊持ってるだけなので、これを機に他の作品も含めて読み直そうかと思ってしまいました。

  • 大江健三郎との対談も載ってるそうです。

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カート・ヴォネガット (現代作家ガイド)の作品紹介

いまこそ、ヴォネガットをーー
テクノロジーへの憧憬と懐疑を軽妙に、ヒューマニスティックに描き続け、2010年代以降アメリカ本国での再評価が進む作家、カート・ヴォネガット。いまだからこそ読むべき作家の背景と作品を、いち早く大解剖!

本邦初訳を含むエッセイや短篇(伊藤典夫、浅倉久志訳を含む)のほか、「カート・ヴォネガット×大江健三郎」対談も収録。気鋭の研究者らによる「テーマ解説」「作品ガイド」、ヴォネガットを知るのに役立つ「キーワード事典」「書誌目録」等も。一目でわかるイラスト図解も充実!

カート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut,1922-2007) ユーモアと皮肉に満ちた作風から
「心優しきニヒリスト」とも呼ばれる。現代アメリカ文学を代表する作家。代表作に
『猫のゆりかご』 『スローターハウス5』など(カート・ヴォネガットJr名義)。

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