羽ばたき 堀辰雄 初期ファンタジー傑作集

著者 :
制作 : 長山 靖生 
  • 彩流社
3.63
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本棚登録 : 57
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779122842

感想・レビュー・書評

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  • 主に大正末~昭和7年の間に発表された初期の作品群を収録。(と言うことは、主に作者が20代のころに書かれた作品達)
    堀辰雄が軽井沢を舞台にする作品を書く前の、浅草や銀座を舞台にしたモダン都市小説の数々はとても新鮮でした。
    川端康成の書いた浅草紅団を彷彿とさせるような「水族館」、謎の女とそれに惑わされる青年を描く「眠れる人」や「とらんぷ」、そして軽井沢で出会った某母子との実際のエピソードを彷彿とさせる「刺青した蝶」、ケルト文学の片鱗がみえる「魔法のかかった丘」とどれも短いながらにモダンで面白かった。凌雲閣やルナパークなど出てくる作品を堀辰雄も書いていたんですねぇ。
    この時期の作品群、ちょっと渡辺温を彷彿とさせるテイストが私の好みでした。

    「Say it with Flowers」の冒頭には、佐藤春夫(のペット)が出てくるよ。

著者プロフィール

東京生まれ。第一高等学校時代、生涯親交の深かった神西清(ロシア文学者・小説家)と出会う。このころ、ツルゲーネフやハウプトマンの小説や戯曲、ショーペンハウアー、ニーチェなどの哲学書に接する。1923年、19歳のころに荻原朔太郎『青猫』を耽読し、大きな影響を受ける。同時期に室生犀星を知り、犀星の紹介で師・芥川龍之介と出会う。以後、軽井沢にいた芥川を訪ね、芥川の死後も度々軽井沢へ赴く。
1925年、東京帝国大学へ入学。田端にいた萩原朔太郎を訪問。翌年に中野重治、窪川鶴次郎らと雑誌『驢馬』を創刊。同誌に堀はアポリネールやコクトーの詩を訳して掲載し、自作の小品を発表。1927年に芥川が自殺し、翌年には自身も肋膜炎を患い、生死の境をさまよう。1930年、最初の作品集『不器用な天使』を改造社より刊行。同年「聖家族」を「改造」に発表。その後は病を患い入院と静養をくり返しながらも、「美しい村」「風立ちぬ」「菜穂子」と数々の名作をうみだす。その間、詩人・立原道造との出会い、また加藤多恵との結婚があった。1940年、前年に死去した立原が戯れに編んだ『堀辰雄詩集』を山本書店よりそのまま刊行し、墓前に捧げる。1953年、春先より喀血が続き、5月28日逝去。

「2022年 『木の十字架』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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