成長なき時代の「国家」を構想する ―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―

  • ナカニシヤ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779505133

作品紹介・あらすじ

豊かさとは、国民とは…新進気鋭の論客たちが提言する、新しい国家ヴィジョン。

感想・レビュー・書評

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  • 【書誌情報】
    編者 中野剛志
    ジャンル 経済学
    出版年月日 2010/11/01
    ISBN 9784779505133
    判型 4-6・408ページ
    定価 本体2,600円+税
    http://www.nakanishiya.co.jp/book/b134788.html

    【目次】
    序――成長という限界・・・中野剛志

    第Ⅰ部 経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン・・・中野剛志
       一、はじめに
       二、リスクシナリオの設定
       三、経済成長と福利
       四、国内総生産から国民福利へ
       五、生産活動と福利
       六、経済政策を再定義する
       七、まとめ
      【Appendix 1】政府の大きさに関する補論
      【Appendix 2】政府の大きさと経済開放度に関する各国比較

    第Ⅱ部 「オルタナティヴ・ヴィジョン」の諸論点
    「豊かさの質」の論じ方――諦観と楽観のあいだ・・・佐藤方宣
    低成長下の分配とオルタナティヴ・ヴィジョン・・・久米功一
    幸福・福利・効用・・・安藤 馨
    外国人労働者の受け入れは、日本社会にとってプラスかマイナスか・・・浦山聖子
    配慮の範囲としての国民・・・大屋雄裕
    共同体と徳・・・・・・・・・・谷口功一
    「養子」と「隠居」――明治日本におけるリア王の運命・・・河野有理
    オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換・・黒籔 誠
    "生産性の政治"の意義と限界――ハイエクとドラッカーのファシズム論をてがかりとして・・・山中 優
    なぜ私はベーシック・インカムに反対なのか・・・萱野稔人
    低成長時代のケインズ主義・・・柴山桂太
    ボーダーレス世界を疑う――「国作り」という観点の再評価・・・施 光恒
    グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて・・・五野井郁夫・安高啓朗

    第Ⅲ部 討議「経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン」をめぐって[中野剛志・松永和夫・松永明・大屋雄裕・萱野稔人・柴山桂太・谷口功一]
      成長の意味を問い直す/危機の時代だからこそ根源的な思考を/政治哲学と日本の政治/国家の問題にさかのぼって考える/アメリカのヘゲモニーの終焉/資本主義の新たなるステージ/動揺する国民国家体制/アメリカの覇権衰退の帰結は何か/議論の枠組みの重要性/権力の問題にきちんと向き合う/成長こそ重要だという反論をどう捉えるか/国家は経済にどう関与すべきか/経済のロバストネスと共同体の役割/国際的な競争と国内の国土保全を両立させる/共同体の承認がコミュニケーション能力を育てる/共同体概念を練り直す/共同体の機能をいかに活用するか/経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョンのために

    【討議を終えて】
    国家を問い直す・・・松永和夫
    「強靭な経済社会」の構築に向けて・・・松永 明

    執筆者紹介

  • pp.130-155 安藤馨「幸福・福利・効用」
    pp.171-185 大屋雄裕「配慮の範囲としての国民」

  • 経済成長を目的とした従来の政策に代わる政策ビジョンを「オルタナティヴ・ヴィジョン」と位置付ける。このヴィジョンは、
     1.国民の福利向上を目的とする。
     2.人間関係・共同体の持続性と一体感の維持
    を目指す。

    これにより、経済政策の重点は、これまでの政策ヴィジョンと異なり、
     1.「個人」から「社会」へ
     2.「短期」から「長期」へ
     3.「量」から「質」へ
     4.「事後」から「事前」へ
    と大きな転回を伴うこととなる。


    第1部は中野剛志による「オルタナティヴ・ヴィジョン」の解説。

    第2部は、様々な論者が各々の専門分野からこのヴィジョンを掘り下げる論考集。

    第3部は、討議。

    どこを切ってもユニークな論考が目白押しである。

    個人的には、仕事柄、黒藪誠の地域産業政策に関する論考を興味深かった。

  • 中野剛志編集。BI反対、ケインズ主義等、興味深い。 国の行方を考えるとは「経済」だけに偏重するのではなく、多方面から論じられるなければいけない・・・との方向には、大いに賛成。

  • 本書の提唱する(古く?)新しい共同体とネットにおけるソーシャルなネットワークが関係した時、構想は具現化されるのでは、と感じました。いや、東日本大震災のダメージからの復活のビジョンか?

  • 全体の方向性としては至極真っ当な気がする. まだあまりにも曖昧な部分も多いが, 後いくつかのステップを踏めば10年の単位で実現しうるビジョンとも思える. 一つ間違えば国家社会主義に陥る危険を, 理念の実現の過程で残骸と化す危険も孕むが.

    有徳の政治, 経済というものはあり得るだろう. 野中郁次郎. 渡辺京二. イリイチ. ガンジー.

    その一方で, 設計とは何か, 設計というものがあり得るのか, という現代的なテーマもある.

    官僚諸君はこの方向で頑張ってくれたまえ.

    我々はその上に何重もの多様な異なるネットワークを投げかけよう.

  • 30代若手研究者の論文集。
    安藤氏、大屋氏、萱野氏の論文と討議のみ読了。

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著者プロフィール

中野剛志(なかの・たけし)
一九七一年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。九六年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。二〇〇〇年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。〇一年に同大学院にて優等修士号、〇五年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(ベストセラーズ)など多数。

「2021年 『あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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