国際政治哲学 (Nakanishiya Companions to Social Science)

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制作 : 小田川大典  五野井郁夫  高橋良輔 
  • ナカニシヤ出版 (2011年5月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779505607

国際政治哲学 (Nakanishiya Companions to Social Science)の感想・レビュー・書評

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  • 現在、われわれが慣れ親しんでいる国際秩序観が現れるのは、近代ヨーロッパで主権国家システムが定着した16-17世紀だろう。
    民主的平和論は現在もなお北米の国際関係論の知的市場で強力な影響力を持つ。日本の国際関係論にも独特の学問的な癖がある。まず短期的にはその内実を理解したうえで彼らの研究に接することが大切であり、そしてより長期的には彼らにもわかるような研究のスタイルで批判なり修正なりを行い、積極的な知的対話を試みることが求められる。

  • マーティン・ワイト「それら(政治理論や法)は、善き生についての理論である。国際理論は、生き残りについての理論である。(革命や内戦のように)政治理論にとって異常な状況も、国際理論にとっては当たり前の状況なのだ。p6

    「…言おう、武力行使によって権威を確認させる者は、法の裁きを尊ぶ必要がないのだ。…思うにひっきょう人間は、戦で負けるより法廷で敗れることに深く恨みを抱くもの、法廷で敗れると対等者間の不正をうらみ、戦で負ければ強者の正義に従うからだ」(ツキディデス『戦史』)p9

    「平和は戦争によって望まれる終極である」(アウグスティヌス)p11

    【正当な戦争の条件】
    1. 君主の権利
    2. 正当な原因
    3. 正しい意図
    (by トマス・アクィナス)p13

    【グロティウスの条件】
    1. 防衛
    2. 物の回復
    3. 刑罰
    に限定した時、彼はその根拠神ではなく、近代的な自然法に求めている。そこでは、そもそも国家の権利はそれを構成する個人から委ねられたものであるという社会契約論の視点が貫かれていた。p13

    スピノザ「戦争の権利は各国家に属するが、平和に関する権利は一国家にではなくて少なくとも二国家に属する」p15

    モンテスキューによれば、「国家の生命は人間の生命と同様」であることから、人間には生命を守るために人を殺す権利があり、国家には自己保身のために戦争を行う権利がある。ただし市民同士の争いは裁判に持ち込めばよく、法律の救済が間に合わずに生命の危険があるときだけ正当防衛が成り立つのに対して、「社会間においては、自然的防衛の権利はときとして攻撃の必要を生ずる」。p19

    「戦争への正義」と「戦争における正義」p44

    「分配的正義」

    「援助の義務」

    デイヴィッド・ミラーはナショナルなレベルにおけるアイデンティティを意味するナショナリティの特徴として、その成員たちが互いを同胞として認めている信念を共有していること、こうしたアイデンティティが歴史的連続性を体現していること、集合的に決定を行うような共同体に関わる能動的なものであること、特定の地理的な場所と集団を結びつけるアイデンティティであること、共通する公共的文化を共有していることをあげている。p76

    (デイヴィッド・ミラーは)、生まれ持った身体的なハンディキャップが偶発的なものであっても、それに応じた特別なニーズにおいて他の健常者と区別することが道徳的に認められるように、ナショナリティに偶発性がそのままこうしたアイデンティティによる区別を否定するものではないと考えている。p76

    (ミラーの主張)分配的正義は連帯(solidarity)を前提とする。p77

    人間の安全保障は国家の外交/ 安全保障というレベルを超えて個々人のエンパワメントに寄与し、それは同時に国家安全保障にとっても有益であると期待される。p95

    「「人間の安全保障」の下では、人の生き方を決定するのはその人自身であるとの考え方からすべてが始まっている」p104

    物理的暴力に関しては「恐怖からの自由」が、構造的暴力に関しては「欠乏からの自由」がそれぞれ対応していると考えられるのである。p110

    ブルジョワ社会が生み出したモッブが、その社会に埋め込まれた非・反倫理性を表出させ、みずからを体現したのである。(アーレント)p115

    民主的平和論ーダイアディックな議論とモナディックな議論 p120

    「報道の自由の平和」「国内観衆費用メカニズム」p132

    【ガーツキーの商業平和論】p135
    ①貿易と金融における相互依存の深化
    ②経済発展の度合い
    ③相互依存の深化による選好の一致

    ウィリアム・コノリー「デモクラシーを、領域的な国家に閉じ込めた政治的ゲットーにしないためには、現代における資本や労働の偶然性のグローバル化に見合う形で、<政治>を同様にグローバル化する必要がある。p158

    【グローバル・デモクラシーの出発地点】
    コノリーによれば、主権という条件のもとに問題を定式化するかぎり、われわれに残されている選択肢は、デモクラシーが領土的な国家に閉じ込められたままの状態で、グローバルな圧力について、その内部のもっとも脆弱な部分に対して規律と負荷に転換する導管を敷設し続けるか、主権という条件そのものを超国家的な制度にまで拡張するか、すなわち主権概念を変容させるかのいずれしかしかない。p162

    デヴィッド・ヘルド「民主的自律性」p168

    グローバル化のなかで主権は相対化され、政治的権威がガヴァナンスの多層的な関係のなかで共有・分割されているグローバルな統治の形態には国内類推が適用できない。p169

    【熟議デモクラシー】
    ドラスティックな革命のような、即座の変容ではなく、ボトムアップ型の漸進的な取り組みとして考えられている。p171

    「民主主義の赤字」p179

    〈帝国〉とは「単一の支配論理のもとに統合された一連の国家的かつ超国家的な組織体」からなる「グローバルな交換を有効に調整する政治的主体」、「脱中心的で脱領土的な支配装置」である。p188

    「生政治的生産(biopolitical production)」p192

    「マルチチュードが働くとき、マルチチュードは生活世界総体を自律的に生産し、そして再生産している」p193

    「歴史の終わり」(フクヤマ)、「文明の衝突」(ハンチントン)、「新しい中世」(田中明彦)といった世界描写。p194

    マルクス主義やスピノザ、フーコーの影響もさることながら、こうした狭い意味での社会科学的な人間把握を超えた主体としての人間存在論と世界構成論を結びつける点に、彼ら自身の哲学的立場の特徴がある。p195

    「全員による全員の統治」というスピノザに由来するグローバルな絶対的デモクラシー。p198

    【「三層の複合的チェスゲーム」by ジョセフ・ナイ】p206
    現代の世界を
    ①政治軍事面でのアメリカの一極構造
    ②経済面での日米欧(最近では中国も含めている)の多極構造
    ③トランスナショナルな非国家行為体の関係
    としている

    「アジア・モンロー主義」p240

    【国家理性 by マイネッケ】
    国家の存立と繁栄のために政治家がなすべき事柄と、われわれの信じる普遍的規範が命じる内容とのあいだの宿命的な矛盾、いいかえれば、合理的国家運営と法的・倫理的要請との「悲劇的な」衝突こそが、国家理性の「本質と精神に属する」のである。p275

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