これだけは伝えておきたいビキニ事件の表と裏―第五福竜丸・乗組員が語る
- かもがわ出版 (2007年7月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
- / ISBN・EAN: 9784780300956
作品紹介・あらすじ
一九五四年三月一日未明、著者は中部太平洋のビキニ環礁近海でのマグロ漁の途上、アメリカの強大な水爆実験に遭遇した。本書は、ビキニ水爆被災事件についての最も重要な証言者が、渾身の筆力を込めて執筆した熱い語りかけである。
感想・レビュー・書評
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ふね遺産に「第五福竜丸」認定。この船は後に水産大の練習船「はやぶさ丸」となりました。
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1954/3/1 ビキニの被爆者達がどう扱われたかを知らなかった。
ビキニの被害は、原発を早く導入するための米国との取引材料とされた。
当初は国民に広まった反発も、読売新聞と初の民放日本テレビを使ったサーカス政策で押え込まれる。
被害者は、僅かな一時金は得られたもののそれが故に妬まれ、過去を隠すために東京に逃げざるを得ない運命。
原爆医療法からも切り捨てられ、初めて慰霊祭が営まれたのは 1997 年。
輸血による C 型肝炎が元で亡くなった犠牲者がほとんど。それが故に、被爆が原因と扱われなかった。
両国政府が被爆の実態と被爆者を闇に葬ろうと奔走したことを知らなければ、ビキニを知ったことにはならない。 -
大石さんの真摯な思いが詰まった一冊。
見た目が地味で、あまり手に取られないのかレビューもアップされていないようだけど、311を経験した今だからこそ、もっと読まれるべき本だと思う。
第五福竜丸事件をきっかけに国内で高まっていた反原子力の世論が、どうやって下火になっていったかがよく分かったし、一番印象強くもあった。その昔、社会科の先生が3S政策について話してくれたことも思い出された。
ビキニ被爆者を対象とした放医研による長期にわたる検査、その在り方に対しては、怖さと憤りを覚えた。
「結果を知らせないのは、乗組員をモルモット扱いしてきたと非難されても仕方がない」と一部の関係者が認めたように、一人一人の命がいかに軽んじられ、肉体的・精神的・金銭的ダメージを理不尽に負わされてきたか、その事実の重さに衝撃を受ける。
それは他人事でも、終わったことでもない。彼らの苦しみは続いており、また、新たな形で繰り返されつつあるようにも思う。