科学にときめく―ノーベル賞科学者の頭の中 (かもがわCブックス) (かもがわCブックス 13)

著者 :
  • かもがわ出版
4.08
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780302806

感想・レビュー・書評

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  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90206588

    (推薦者:人間発達文化学類 木村 吉幸先生)

  • ノーベル賞関連図書
    2008年ノーベル物理学賞受賞 益川敏英教授の著

    【配架場所】 図・3F開架 
    【請求記号】 407||MA
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/130931

  • 資料ID:98090406
    請求記号:407||M
    配置場所:工枚普通図書

  • 名大関係のノーベル賞受賞者の著書特集。

    理図書 407||Ma67 11679523

  • あちこちでお話される機会が増えているために,およそ流れが固定化しているようですが,しかしながら,非常にためになる話が書かれていると思います。


    *****
     小林君がcase (A, B) を潰してから,どうしたら四元quarkモデルで,実験に合うCPの破れを引き起こさせる事が出来るか,解のない模索が始まった。
     一月程苦闘が続いた。入浴中どう考えても,繰り込み可能な,四元quark模型でCP対称性の破れの実験結果を説明できる,良いモデルはない。そこで四元クォークモデルではCP対称性の破れの実験は説明出来ません,と言う論文を書こう,と決心した。
     この様な言い訳を考えながら,少々出来の悪い論文になるが鉾先を納めるか,と決心して,風呂を出る事にした。この決心で四元クォークモデルに対する拘りは無くなった。ならば六元クォークモデルで行けば良いと瞬時に気が付いた。複素位相が残ることはそれまでの計算の経験から自明であった。(pp.24-25)

     特に子供たちは経験したことのない問題については飛ばすように学校で習慣づけされている。考えない習慣がついている。まさに教育によって汚染されている。子供たちは元来,クイズなどが好きなはず。新しいことを知り,疑問に答えることが子供たちは本来好きなはずなのに,初めから拒否されている。(pp.37-38)

     また,大学で学ぶにあたって,「自発,自得」という精神がとても大切だと思います。「自発」とは,自分で問題を発する,「自得」とはその発した問題のこたえをみずから考え,得ていくことです。その精神が大切です。大学の講義は,基本となる知識は教えてくれます。しかし,それは問題を知り,考えるきっかけとなるような知識であり,あくまでもスタートラインです。たとえば,小学校で漢字などを勉強して訓練し,字が読めるようになりますね。そこではじめて,小説などを読み,小説のおもしろさがわかるわけです。そうした知識は,学びはじめるための基本であり,スタートラインです。大学の講義もそうした基本の部分にあたるものです。ですから,講義で得た知識をもとに,「これはどういうことなんだろう」と疑問をもち,その疑問をふくらませていく。また,友だちと説明しあい議論してみるのです。
     議論したけれど,わからないこともあります。そこで,もう少し深く知ってみようと勉強するのです。そうしておこなう勉強は,それまで漫然とやっていた勉強とは理解度がまったくちがいます。
     しかし,学問はそんなに簡単に身につくものではありません。初めは,砂をかむような思いで教科書を読むものです。そのとき,一つの教科書だけでなく,同じ分野の教科書を読んでみる。基本的には同じ事が書かれていますが,説明の仕方やその角度がちがいます。そういうものにふれるなかで,知識がふえ,理解が深まっていくのです。
     大学でまじめに講義を受けていれば,そうした知識が身につくと思っていたら,誤解です。講義から先は自分で身につけていくものです。先生はいい相談相手ですが,やはり「自発,自得」の精神ですすめていってほしいですね。(pp.47-48)

     昨今のような厳しい就職状況のなかでは,ペーパー(論文)がほしいからそちら[銅鉄主義]に流れることはあります。それは適当なウェイトで手抜きでやったらよいでしょう。生きていくためにはしょうがない。けれどもそれを重ねていると,適度の筋肉の疲労から満足度が得られます。それをくり返しているとそれで終わってしまう。自分のやりたいことはそれではないぞ,ということをつねに目指して,高い目標を掲げて着実に下の方からやることです。(p.58)

     すぐに役立つという目先で利益追求したのでは見つからないのが科学なのです。学問の必然性に従った,地道な研究をしてはじめて発見することがあるのです。「速く成果を出せ」というようなことを言ってしまったら元も子もなくなります。ですから,研究者が「面白い」と思うことをベースに研究することが非常に重要です。
     最近は,「競争的資金」といって,研究費を自分でとってこいという流れになっています。研究者が自由に研究できるような研究費がほとんどなくなって,すべて「競争的資金」となっています。「自分は流行に乗らずに落ち着いて勉強する」といいうことを言っていたのでは研究費はないわけです。いま世界じゅうがそういう動きになっているのは残念です。しかし私は,「そうしたことをしてしまったために科学の発展が遅くなってしまった」となるような時代がかならずくると思っています。(pp.80-81)

    もちろん,この研究方法論というのが固定化したら,それはドグマになってしまい,むしろ害悪になると思うんですけれども,僕はそういう研究方法論というものを議論することは非常にいいことだと思う。(p.138)

    「学問に王道があって,かくかくしかじかすればいい仕事ができるんだ」という,そんな便利なものがあるはずは絶対ない。しかし,くり返しますが,「いろいろな考え方をぶつけ合って,未来に対してどういうことが起こるかということを予測する。そして最終的には自分の責任で進む」ことが重要だと思います。(p.138)

    僕の先生で,「二〇歳までに自分の巡り会ってきた教師のなかに偉いと思える教師がいなかったら,それは不幸である。二〇歳過ぎてもまだ偉いと思えるようでは,これまた不幸である」という言い方をした人がいます。親も同じで,成人するまで父親が偉いと思えなかった子どもは不幸である。二〇歳過ぎても親父が偉いと思えるような子どもは不幸であると。(p.163)

    物理は本当の面白さは大学院に行かないとわからない。物理が面白くなるには数学の準備がいるからです。ところが数学は各段階で面白いものがあるのです。(p.170)

     ぼくは物理屋でいるときは悲観論者だが,人間の歴史については楽観的。人間はとんでもない過ちを犯すが,最後は理性的で一〇〇年単位で見れば進歩したきたと信じている。その原動力は,いま起きている不都合なこと,悪いことをみんあで認識しあうことだ。いまの米国がそう。黒人差別が当然とされてきた国で,黒人のオバマ大統領が誕生するなんて誰が信じただろう。脳天気だと言われるかもしれないが,戦争だってあと二〇〇年くらいでなくせる。(pp.208-209)

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:407||M
    資料ID:50900480

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4780302803
    ── 益川 敏英《科学にときめく ~ ノーベル賞科学者の頭の中 200906‥ かもがわ出版》
     
    http://d.hatena.ne.jp/aedlib/19830331 低手高眼 ~ 小石氏と眼高手低 ~
     
    (20110807)
     

  • 三葛館一般 404||MA

    ノーベル賞受賞者の益川敏英氏のノーベル賞記念講演や科学雑誌、新聞記事として掲載されたものをまとめたもの。
    気さくで親しみやすい人柄と、一方では負けず嫌いで情熱的な一面もある益川氏。
    現代の大学生や若者へのアドバイスやメッセージが詰まっているので、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=55009

  • ノーベル賞の受賞記念講演がすごくおもしろかったので、読んでみた。
    確かにおもしろいことはおもしろかったが、この本はクオリティとしてはあまりよろしくなかった。おそらく、ノーベル賞受賞ブームに乗って出版された本なんだろう。
    内容としては、記念講演の内容と、インタビューと、それまでの文章や講演の内容をとりあえず入れときましたって感じ。読みにくく、まともに編集された内容ではなかった。
    これもブームのときに読んでいれば価値があったかもしれないけど、今読むなら別の本を読むべきだった。

  • 日本人ノーベル賞受賞者の受賞後の著作はなるべく読むようにしている。
    偶然本屋で平積みされているのを発見!(-_★)
    さっそく読みました。

    文章から、行間から、益川さんの熱意と鋭さが滲み出てきて、一気に読んでしましました。
    頑固さも出てました。

    高校生、大学生には是非とも読んでもらいたい。
    科学の奥深さ、神秘性、究める…
    自分がおぼろげながら考えていたことと共通することが多くて、感動でした。

    大学って何だぁ?(メ-_-)

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著者プロフィール

1940年生まれ
理論物理学者

「2014年 『人生を考えるのに遅すぎるということはない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

益川敏英の作品

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