貧困のなかでおとなになる

著者 :
  • かもがわ出版
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780305708

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの教育に関わる人、またはこれから関わろうとしている人には必読書です。

  • 財政再建を理由に市民福祉や社会保障を削る風潮があって、それへの反対意見に対して「長期的な目線を!」や「甘やかすな!」といった批判を食らうが、この本に出てくるデータや様々な事例を見ただけでも「どっちが短絡的なのか」や「自分達の考えるやり方の結末を考えろ!」や「「頑張れば何とかなる」という考えのスタートラインにも程度がある…あまり根性論を押し付けるな!」といった考えに至る。
    行政がその考え方なら市民同士で結束して戦っていくしかない。

    また、この本を読んで、市民レベルのボランティアの学習指導もさることながら、橋下によって潰されようとしている「こどもの家」事業や定時制高校といった子どもたちの最後の拠り所は何としても残す方向に進まないとこの国は終わるとも思った。

    「貧困の連鎖」「貧困の世代間継承」断ち切るには貧困から抜け出すための「教育」と「環境整備」は不可欠。


    メモ
    「始めから子どもの芽を摘む社会」


    お金がないから欲しいものや必要なものが手に入らない不便さ×

    →お金がないことから始まる孤立、あらゆる情報からの疎外、学業不振、学力の遅れを立て直せない環境、夢を持たないという自己防衛

    6人に1人が貧困家庭で育つ(323万人)
    1週間に1人が虐待で命を奪われる
    5日に1つの学校がなくなる人数の高校中退者がいる
    (1学年6クラス40人学級想定)

    貧困線(国民生活基礎調査)
    4人世帯→224万(月18万6000円)
    3人世帯→194万(月16万1000円)
    2人世帯→158万(月12万2000円)

    子ども一人当たりの年間の学習費(学用品、通学日、修学旅行代、給食費、習い事、参考書等)
    公立の小学生30万円、中学生46万円、全日制の高校生39万円

    学力がつかないことが貧困につながり、さらに次の世代も学力がつかないという貧困の再生産

    定時制高校は貧困層の受け皿
    普通科高校(全日制)に入れなかったものの、私立にも入れない子ども
    、働きながら通う子ども(入ってからも制服代や教科書代、修学旅行代など色々と費用がかかる)

中塚久美子の作品

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