本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか

著者 :
  • ポット出版
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本棚登録 : 285
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780801293

作品紹介・あらすじ

本書は、『図書館の学校』( NPO図書館の学校)で2005年から2007年にかけて連載された原稿を主軸にした、「本が生み出される現場」「本が読まれている現場」の記録である。
この30年で出版点数は4倍になったが、いっぽう1点あたりの販売金額は半分になった。
なぜこんなことが起こったのか。理由を知りたい。
それが取材をはじめるきっかけだったと著者永江朗氏は言う。
この5年間で、「本が生み出される現場」は大きく変化しはじめている。
自費出版ブーム、ケータイ小説の爆発的売れ行き、ライターや編プロが置かれるますます厳しい現状。
一方「本が読まれている現場」はどうか。
変わりつつあるのか。
「読書ばなれ」は本当か。
新書ブーム、ベストセラーはだれが読んでいるのか、などなど。
変遷する「本の現場」から何が見えてくるのか。何を見るのか。
巻末には、本のディレクションを生業とする幅允孝さん(BACH)へのインタビュー、編集部による永江朗氏へのインタビューを収録した。
最後に、そのインタビュー中に「ではこの本は再販をはずしてやってみましょうか」という話になった。
本書は、定価ではなく、希望小売価格で発売します。

感想・レビュー・書評

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  • 7年前の本なので、背景的な部分はかなり古い。ただし出版を取り巻く環境や、人といった視点ならば内容的には参考になる部分も多い。

    細かいところまでは理解していなかったが、既存の出版界は返本制度のために「返本による返金があるために、返本になる以上の本を出版しなければならない(出版分-辺本分の金額がキャッシュ・フローになるため)ために、内容の粗悪なものでも数を出して稼がなければならない」という状況。
    こーゆークソな環境がまかり通っていて、それを変えられないような業界ならばもう息は長くないのでしょう。
    なるほど。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00290136

  • ”<一言>
    ---
    T:
    P:将来の開店のために
    O:
    ---
    <読書メモ>”

  • 本の本
    編集

  • ●70年代から00年代の30年の間に新刊発行点数は4倍になった。けれど、本は売れなくなった。→コスト・質を下げてでも本を出す。なぜなら再販制度があるから、書店・取次に返金をしなければならないため、それを上回る本を出す。→自費出版、ネット本、素人ライターでコストダウン→そして、質は下がり、売れない本がますます増える。こうして悪循環が生まれて、出版業界の自転車操業と新刊洪水は、本の短命化をもたらした。読者の知らないところで、本が生まれ、返品される。

  • 読書離れは本当に進んでいる?そんな疑問に答えてくれる本。簡単な統計ひとつとっても電車の中で本を読む人は減っていない。これは青少年の犯罪が実際は減っているのに増えていると感じるのと同じこと。唯、本が売れていないだけ。その他にも本屋大賞の成り立ちや新刊の現在の発行状況等について詳しく教えてくれる。

  • 出版業界で起きている様々なコトをルポ。
    出版社や本屋にとって、今の状況は全然よくない。でも何かを変えるのは、怖い。
    もう限界だ、システムが破綻してると言われ続けて何年経ったんだろう。
    この本が出て、もう5年。事態はさほど変わっていない。

  • 書店の平台に並んでるのが嫌韓・嫌中系の本ばかりだという批判があるが、それを取り除いたところで残るのは『長生きするには肉を食べるな』みたいなあやしげな健康本か『ほんとうに夢を叶える引き寄せの法則』みたいな胡散臭い自己啓発本か『◯◯力』みたいな芸能人が書いた(とされている)中身の無い新書ばかりだろう。そもそも本の中身に関わらず、買われた本はろくに読まれていないとすれば、扇情的なタイトルでいかに売るかだけを考える業界の構造は、システム的に当然の帰結だ。

    再販制度、自費出版、ベストセラー、本屋大賞、新書ブーム、インターネットとの関係、などなど。本書では、業界外にもよく知られた問題を取り上げるが、共通するのが『本』というのはもはや純然たる『読み物』ではなく、物質としてのパッケージングがあることにより、タイトルの内容に興味・感心があることを内外に示す自己顕示欲としての意味合いの方が強くなっているということだ。スマフォの普及により、ネットニュースで、まとめサイトで、twitterで、LINEで、と活字を読む機会はむしろ増えているが、現状の本の売れ方が『読むためのもの』ではなく、『物として所有すること』による面が大きいとすると、本をそのまま電子書籍にしても今までのような売上を維持できないのは必至だろう。

    業界というものはあるべき姿が存在したとしても自然にはそうはならず、ただシステムのインプットとアウトプットのフィードバックの流れにまかせ、行く末が決定される。だからといって正しい眼と耳を持って予測したとしても、ブラックスワンのような、予想が出来ない方向からの革新が登場する可能性もある。そこそこの顧客でありながら業界の裏側の端っこにもいる自分としては、せめて既得権益の保護のためではなく、新しいシステムの構築のために働きたいものだ。

  • 逗子図書館で読む。非常に興味深い本でした。久しぶりに著者の声を聞きました。腹の探り合いでした。そのうち、どうにかなるでしょう。

  • 本の生まれ方 読まれ方 売られ方 並べられ方

    フリーライターの著者。読後、出版事情や図書館事情に明るいっていうよりは、あちこちに顔が広い事情通のおっさんというイメージが出来上がります。

    現在と状況が異なるために、時代遅れの感が強い意見も見られるけれど。書店・出版・流通・作家たちの悪戦苦闘が、僕たちの読書に大きな影響と偏向をもたらしうるという・・・。
    「わかってたけどわかってなかったようなこと」がほんの少し分かった気になる本です。

    幅允孝や沢辺均との対談も載ってます。
    しんどくて給料安い業界だけど、決して地味な人ばかりではないんだ、と。

    先(現在)を追ってみたくなる、間口の広い入門書です。

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著者プロフィール

1958年生まれ。ライター。書籍輸入販売会社のニューアート西武(アールヴィヴァン)を経て、フリーの編集者兼ライターに。90~93年、「宝島」「別冊宝島」編集部に在籍。その後はライター専業。「アサヒ芸能」「週刊朝日」「週刊エコノミスト」などで連載をもつ。ラジオ「ナルミッツ!!! 永江朗ニューブックワールド」(HBC)、「ラジオ深夜便 やっぱり本が好き」(NHK第一)に出演。
おもな著書に『インタビュー術!』(講談社現代新書)、『本を読むということ』(河出文庫)、『筑摩書房 それからの40年』(筑摩選書)、『「本が売れない」というけれど』(ポプラ新書)、『小さな出版社のつくり方』(猿江商会)など。

「2019年 『私は本屋が好きでした』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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