人間的な、あまりに人間的な (まんがで読破)

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 213
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781604442

作品紹介・あらすじ

ヒューマニズムへと進むヨーロッパ社会の裏に潜む、 人々の矛盾した生活を独自の逆説的理論で暴き出し、批判するニーチェ。 その思想の起点であり、人々に「自由精神」の啓発を促す書『人間的な、あまりに人間的な』。 また人々を支配する「善悪」の起点を探り、 その定義に疑問を投げかける『善悪の彼岸』、『道徳の系譜』。 ニーチェ思想を代表する3作を漫画化。

感想・レビュー・書評

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  • ニーチェは日本で人気のある哲学者で多様な入門書が出版されています。しかし、ニーチェの思想を誤読すると非常に危ういです。そして、ニーチェが人気ゆえ、誤読するひとが多くいるようにも感じます。哲学史、思想史の中でのニーチェの立ち位置を理解しておくと誤読を避けられるかと思います。間違っても、ニーチェだけに影響を受けることは避けた方が良いと思います。

  • ニーチェの考え方がなんとなくわかった。漫画で分かりやすい!!

    人間社会では持つ者と持たざる者に分けられる。自然では持たざる者は淘汰される。しかし、人間社会の持たざる者は生き残るために隷従という新たな生き方をあみ出した。この結果、持つ者は自らを善い者とし、持たざる者を劣っている悪い者と格付けした。持たざる者は自ら隷従という生き方を選んだにも関わらず、持つ者への恨みを募らせ、善悪の価値を作り出した。
    悪とは生命を脅かすことであり奪うこと。
    善とは分け与えることであり危害を加えないこと、 欲求を満たしてくれること。
    善に賛同する持たざる者同士が結束し団結を強めることで、持つものに対抗する力を蓄えておく。そして悪が牙を見せた時、自分たちで築き上げた善を盾に反撃してくる。正義という言葉は人間の価値。転換させる。大衆の利に叶えば復讐すらも正当な権利を与えられる。
    善と悪の概念が人間を支配するようになった。情動を発散する場を失った人々は、絶対的な価値を持つ神を誕生させたことで人間社会で生き延びる術を得た。それは、平穏な暮らしの中で過敏になりすぎた恐怖から目をそらす術でもあった。人々は疑問を持つことも忘れて神の教えを享受していった。

  • 人間的な、あまりに人間的な、善悪の彼岸、道徳の系譜の三本(•᎑•)
    ひとつめは漫画としては序盤という感じだったのでニーチェ的内容どれなのかわからなかった。ぐんぐん盛り上がったところで二つ目、ラスト数ページが三つ目。
    尋常ならざる雰囲気だけはつかめた感じ。

    逆説的な話で揺さぶって持論を述べる体なので、最後まで冷静に読まないと単なる炎上ネタにしかならない気配。
    弱者が生き残るために従属しておきながら「強い者に立ち向かうため、同情を引き出すという手段を使う」はちょっと頷けた。強い者の本音は参考になる

  • 読みやすい。「自分らしく生きる」とは何か?
    自然界の弱肉強食、人間界の隷従。隷従は守られる側の「自ら思考する力」を奪った。
    善悪の定義を超えていけ。

  • まんがで読破シリーズは入門で、これを読んで本編を読むという流れなのだが、この本はちょっと違うと感じました。
    終盤はニーチェと主人公の会話で進むのですが、ニーチェ哲学の復習というような内容。
    初めて読んだ人には何が何やら分からないと思います。
    逆に、ニーチェ哲学に触れたことのある人は、漫画で楽しんで復習できる本だと思います。
    ただ、この本だけ読むとニーチェはえらく危険な思想に見えてしまうなぁ。そういう見方もできるかもですが、ちょっと極端な気が…。
    善悪の基準も、神も、人間的な強さを持たざる多数の者たちが生きやすいように作った。だからそれらを壊して超えていくのだ!となっているが、どうなんでしょうね。
    否定した先こそがニーチェ哲学だと思いますけどね、
    幼子のように世界を見て楽しみ、最終的に超人になることとがその先にあるので、これだけ読むと危険思想に思えて仕方がない。
    ラクダ→ライオン→幼子→超人 というルートの、ライオン的な部分に寄った漫画に思えました。

  • レビュー省略

  • まんがで読破を読破するシリーズ。このシリーズでニーチェは2作品目。
    難しいよなぁ。自分のために生きるのか、周りの人のために生きるのか。何が善で、何が悪なのか。
    超人になればいいのか、神を求めればいいのか。正しく、哲学的な問いですね。

  • 図書館で借りた本。マンガで読破シリーズかな。ディーターやニーチェが言ってる事が分かる分かると思いながら読んだ。道徳の系譜と善悪の彼岸の章が面白い。神の誕生の経緯や善悪の定義など文章で読むとキツイかもしれないが、マンガだと読みやすい。

  • 最後のニーチェと主人公のやり取りは解釈が難しいが非常に考えさせられる。



    周りから期待させる事に反して勝手に行動する事【悪】がそれに、振り回させる人間がいる。それが嫌でエゴを抑える人はたくさんいる。要は周りの期待に添える事が【善】という事なのである。
    主人公は牧師として期待させられた母親が死んで、やりたい事がやり通せる自分に喚起する。ニーチェはその気持ちが大切だという。
    そう、【善悪の定義】こそが人間をとことこん堕落させるという。
    俺もそう思う。イベント業ができるようになって楽しい。会社で副業が禁止されている壁を乗り越えてやっとできるようになった。
    本当にやりたい事で成功している力を持つべき者と、持たない者。持たないものは持つべき成功者に服従して生活を保証してもらう。一見公平に見えるが、持たざる者は自分である事を拒否してしまったのだ。


    妻の脚本を書く事が好きな趣味は自由な気持ちと好きなことを気ままに楽しむ優雅さがある。


    イベントを仕事にしてしまった俺は自由な部分が減り、お客様が楽しんでもらうのが一番となってしまった。仕事にしても自由な遊びの部分を残して楽しむ事ができればいいものになるだろう。



    神を創造するのは人間は絶対的なものを作りたいから。神は人間の不完全性を恐れてできた創造である。
    だが、複数の宗教が対立する宗教戦争がありうまくいかない。


    宗教というある確立されたものがあると人は安心して、考えるのをやめてしまう。
    人によっては学問でこの世の真理を追求する者、物欲に費やす者、美や芸術に魂の開放と喜びを見出す者がいる。
    しかし、学問をつきつめるほど思考の自由を失い、研究者は探求への好奇心の誘惑に負け原理を変質させる。
    富めるものは尽きぬ欲望に疲れていき、やがて美は自身の解放ではなく他者の欲求にしはいされていく。
    だがそれは人間が編み出した、都合の良い解釈に他ならない。


    そう、この世の檻に我々は閉じ込められて生きている。人間の人間的なしがらみの根源、偽りな平穏はホントは望んでいない。


    自由な意志、自由な精神は何にも捕らわれないもの。その道を突き進むのは大変だがその先にホントの目指すものがある。

  • まんがで哲学を学ぼうという本。
    試みとしては非常に面白い。
    内容は楽しく読めるもので、最後に、ニーチェ哲学のエッセンスをまとめてくる。
    哲学の導入としては良い本だと思う。

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著者プロフィール

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche)
1844年10月15日 - 1900年8月25日
ドイツの哲学者、古典文献学者。近代がはらむ問題を一新に受け止め、古代以来の哲学との対決に挑み、実存主義の先駆者、生の哲学の哲学者として知られる。その思想は20世紀に続く様々な思想に衝撃と影響を与えた。
代表作に『悲劇の誕生』『道徳の系譜』『ツァラトゥストラはこう言った』『善悪の彼岸』など。

ニーチェの作品

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