微生物ハンター、深海を行く

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著者 : 高井研
  • イースト・プレス (2013年7月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781610061

微生物ハンター、深海を行くの感想・レビュー・書評

  • いやもう熱い。と言うより、熱いを通り越して暑苦しい。

    生命の起源を解き明かそうと深海の微生物探しに全力を傾ける研究者の青春記。と、こうまとめてしまうとこの本の破天荒さは伝わらないだろう。これは高野秀行さんが2013年ノンフィクションのベスト1に選んでいて、そのうち読まねばと思っていたのだけれど、想像を超えた突き抜け方だった。

    高野さん曰く-
    「世界トップレベルの研究者が生命の起源を探るため、深海艇に乗り込み、『冒険』を続ける。しかし、その筆致はタマキングや椎名誠がさらにおちゃらけたよう。およそ真面目に書かれた本とは思えない」「タイトルはイマイチだし、なぜか青いインクで印刷されてるし、このおちゃらけた文体だし、たぶん良識ある人々には訴えないと思う」「私がベストワンに選ばずして誰が選ぼう(いや、選ぶまい)」

    アハハ!まったくそうだ。著者は四十代で、機関銃のように連発されるギャグはまさにその世代のネタ、若い人に読んでもらいたいと書いてあったが、若い人は知りませんって斉藤由貴とか。「そらそうよ」に至っては阪神ファンしか知らないから。

    この高井さん、まるで暴走するブルドーザーのよう。燃料はみなぎる自信と、見てろよオラー!という不屈の闘志、そして熱い熱い探究心。壁にぶつかるたびアドレナリン全開で突破していく姿に圧倒される。身近にいたらちょっとイヤかも。読んでるだけでも胃もたれしてくる。

    それでも、この真剣さはどうだろう。こんな一途な思いで研究に人生を賭けている人がいるのだ。学問の世界にも、とにかく成果を出せ、社会に貢献しろとうるさく言い立てる世知辛い世の中だけれど、この世界の成り立ちが知りたい、「その気持ちだけじゃダメなんですか!?」と著者とともに言いたくなってくる。

    著者は京都生まれの滋賀育ちで京大卒。「関西人」キャラは東京あたりでは受けが悪いと再三書いているが、いやあ、それって関西人というよりアナタの個性では?と私は思うよ。でもまあ、写真で見る限りこの方甘いマスクの持ち主で、お勉強もできる。こういう人は東京では黙っててもモテモテだろうが(いやよく知らんが)、関西では黙ってるとうっとうしがられる。ハンサムほどフレンドリーなキャラクタを要求されるんだよね。にしたってあまりにも濃い人ではあるけれど。

    高野さんも書いているが、活字の色が何故か最初の方は青くて、だんだん濃くなり、最後のほうは黒くなっているのだが…、あ!今思いついたぞ。これって海の色?「しんかい6500」で海に潜るときときだんだん周囲の色が変わっていくと書いていた、あれに対応してるんじゃ?きっとそうだ。でも、これ正直言って読みにくいんだけど。特にはじめの方。このことも含め、ユニークな個性が炸裂する一冊だ。あ~、なんか疲れた…。

  • 独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の微生物学者による「科学者青春ビンビン物語」(←この紹介文は私のセンスじゃなくて著者のセンスですよ)

    専門は深海の微生物から地球生命の誕生を解明する、というもの。
    JAMSTEC誇る深海艇に乗り込み微生物採集や、地震による生命活動や地形変化を調べる。
    専門的な話も出ていますが、あくまでも「中高生に科学者っていいな」と思ってもらうために、科学者へを目指した青春時代、科学への情熱を書いた本ということなのでかなり分かり易く楽しめます。
    しかしターゲットが進路を考える世代ってことですが「関西出身のワタクシには東京とはジュリアナ東京のお立ち台ギャル」だの、怪しげな論法を書いて「民明書房参照」だの、こんなん中高生に分からんだろう(笑)。
    (蛇足ではございますが、民明書房とは「魁!男塾」シリーズに出ていた怪しげな事象をさも事実のように説明する架空の出版社)
    私としては「自分は科学とは縁がなかったけど、科学とは実に熱く面白い分野だ」と思ったんだから、ターゲットに入れてください(笑)。

    著者は今では宇宙航空研究開発機構(JAXA)の客員講師として招かれているということ。検索したら宇宙生物学者という肩書も増えていた。
    海底の微生物から生命の誕生を探ろうとしていたら、宇宙の生命の誕生分野とつながったんですね。
    化学って、生命って、面白い。

  •  海洋研究開発機構(JAMSTEC)という研究機関で、深海熱水中に生息する微生物の研究をしている高井研さんの研究人生を綴った本。

     深海には、地中の熱で熱せられた海水が吹き出しているところがありまして、そんなところには酸素がないどころか、我々のような地上に棲む生物にとっては毒となるものもある環境です。
     とても生物が棲めるとは思えない深海熱水に生息する生物や微生物がいて、それらを研究しているのが筆者です。

     もちろん、優秀な方なのでしょうが、そんなことを微塵も感じさせない面白い文体で、彼の研究がスムーズに頭のなかに入ってきます。分かりやすい文章ですが、本当にこの人は研究者なのだろうかという、おふざけが過ぎるところがあります(笑)。

     しんかい6500に研究者として搭乗されたときの話は、すごいなあと感心しながら読みました。
     中川翔子さんがテレビ番組でしんかい6500に搭乗して到着した日本海溝三陸沖水深5300mのところが「しょこたんサイト」と呼ばれているとは。

     海水面から徐々に深くなって色みが黒っぽくなっていくようすを表しているのでしょうか、ページの印刷の色が青から藍、さらに黒へと64ページ毎にグラデーション的に変わっているのが凝っているなあと思いました。

     しかしまあ、若かりし頃の高井さんの写真、外見めっちゃバブリーで、回りに女子を侍らせている辺り、ちょっとイヤンな感じがします(笑)。

  • 面白すぎる。
    そのネタたちも世代的にストライク。
    あんなに凄くてあんなに変態な高井さんだからこその作品。

  • ニコ生「しんかい6500」でおなじみ、さかなクンではなく、しんかいクンとも言うべき、ハイテンション深海ラバーの筆者による、研究者の人生双六の自叙伝。研究者というものの人生がよくわかる。私は研究者ではないが、研究者の道を進む可能性がある若者は、ぜひ読んでおきましょう。

  • 文体がサービス過剰でノレなかった。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:663.65||T
    資料ID:95140838

  • 著者は、深海の高温が噴き出す場所で、無機質物質をエネルギーにして生息するという「極限環境微生物」の研究者。
    生物誕生の秘密を握る、とも言われているという。
    と言っても、本書はその微生物の解説書ではなく、研究者である著者の半生記、研究に対する取り組みを記したもの。
    研究者は頭が良くて緻密で、と紋切型のイメージがあるが、研究を成功させるためにはリスクを取り、パッションにあふれ、周囲を巻き込んでいく力が必要なのだと理解した。
    しかし、内容は非常に示唆に富むのだが、おちゃらけたこの文章はいけない。残念。

  • 16.08.19
    NHKの SWITCHインタビュー 達人達(たち)アンコール「貴家悠×高井研」で、面白い人だなぁと興味を持ち購入。

  • 研究者が一般向けに書く本が、読んでみたらここまで「内容ちゃんとしてるし実力もあるんだろうなって思うんですけど如何せん致命的にチャラい」とは……
    本邦の理系に、バッタ博士(「孤独なバッタが群れるとき」)以前にもこんな逸材が。

    しかもネットでもよく遊んでるのが分かる。
    古いネタもあるけど、ちゃんとアップデートもしてんの。

    若い人に向けて、とご本人が仰ってるところは
    正直あんまり参考にならないかなー。
    というか、若い人たちには是非この方に学んで、かつ言う事は話半分に聞いて(笑)、自分で何とかしようなっていう。

    しかし基本的に好奇心旺盛なリケジョを一瞬で全員引かすほどに自分がアレなのって本人自覚ないものなのけ。「何故ッ」も何も。

    俺、かいこうはいつか見つけてもらえるって信じてるから……(ノД`)・゜・。

    20160710追記
    BS朝日で「ニッポンの"深海"大冒険!海底探索で見つけたもう一つの世界」っていう番組視聴。ジャムステックの映像ふんだんに使われてて高井氏も映った。録画しとけばよかったあああ

  • バイタリティ溢れまくる、あけっぴろげな語りは、この分野に興味がある少年たちを引き込むパワーを持っている。顔の見える、語りの上手い科学者、大変貴重な存在だと思う。

  • 内田樹先生がいっているその分野のフロントランナーは、誰にでも分かる表現で自分の専門領域を語る必要があることを充分満たしている本でした。深海…というとNHKで観たダイオウイカのことしか思いつかなかったのですが、潜水艇トライトンで1000M潜りトワイライトゾーンでダイオウイカの撮影に成功し、しんかいで2000M以上もぐると、微生物とか、貝とか、なまことか、そういう地味な生物しかいなくなるが、海底から吹き出す熱水を好む微生物がいることはとても面白いです。ゆでたまごが出来る以上の温度なのに、変質しないタンパク質を持っているという意味で世界最強生物。ダイオウイカからイカ大王が生まれたように、なにか熱水を好む微生物からも生まれないかと。NHKのLIFE!のコントはとても面白く、潜水艇はダイオウイカを追っているので、イカ大王に遭遇してもありがたく思わない。イカ大王しょげる。という展開なのですが、微生物を追うときも、イカ大王的な、良く遭遇するので面白くない生き物があるのか気になりました。

  • ちょっと分厚いなーと思ってるのですが、職場でパラ見した時に、章が後ろにいけばいくほど文字の色が明るいブルーから群青、黒へと変わっていく趣向が面白いなと思い、後書きも軽い書き口だったので思い切って借りてきました。

    後書きの「内容はともかくとして文章のノリがウザいとお叱りを受けることも多い」という自白通りの楽しい本でした。
    文中の口癖(?)が「~よ、そらそうよ」なのですが、なぜか阪神の川藤さんが脳内でナレーターになってしまいます。
    全然顔は似てませんけど。

    ブクログの他のコメントにも上がっている通り、「楽しかったけど、現役中高生向けというにはノリが古い」のが残念な?
    昔読んだ全然別の本で、わかりやすくするためにあげてる例がターゲットにはわからんよ、というのを読んだことがあって、そういう意味では陥りやすいアヤマチなんだな、と思いました。

    装丁 / 漆原 悠一(tento)
    写真 / 神藤 剛
    初出 / 『青春を深海に賭けて』「Webナショジオ」2011年5月27日~2013年4月11日
    画像提供 / JAMSTEC

  • 深海熱水の超高熱菌研究の全力疾走。研究に対する姿勢がとにかく熱い。知らない言葉がバンバンでてくる未知の世界だけど面白い。

    自分がやりたいと思えば、どんな世界でも身一つで飛び込んで、わからないことは論文を通じて理解した気になって、自分の力で考え抜いて研究計画を立て、成功するまで実験を繰り返し、最終的に自分思い込みのストーリーに基づいて論文を書いてアピールする。

  • 研究者ってすごいな。

  • こいつは最高にナイスな本だ!笑
    これから研究者になりたいという人。
    大学院に進学しようか迷ってる人。
    是非ともこれは読んだ方がいいぜ☆
    そして読むと研究ってこんなに熱いんだぜって知ることができる!
    これは名著。
    こんなに情熱が詰まった本に出会えてよかった。
    褒めすぎかなぁ...

  • 暑い日に深海に潜る話を読む。

    筆者の高井研氏は、独特のTweetやニコ生での出演、あとは爆笑問題・太田光氏との番組中の激論ぶりが印象的な人だったけど、研究者としてどのような人かは知らなかった。その高井氏の研究者半生記、ということで読み始めた。

    ノリの良い文体で語られる若い日の生意気で大言壮語で、でも目標に対して真摯で熱心で、論文を書きまくり、熱が関係者に気に入られる。やっぱりバイタリティ溢れる俊才だったのだと再認識。

    でもその生意気なところが読んでいても鼻につかないのは、関西ノリの文体だからかな。あと、若い時は個人プレーに、そこから徐々に仲間を得てプロジェクトを率いる、という展開が、王道的だからかも。若い時からみんなのために、のような胡散臭さが無い気がした。

  • 深海という世界を舞台に、生物の起源を探る研究に携わっている高井博士がこれまでの自らの波乱万丈な研究人生と、微生物学の奥深さを書いた一冊です。
    「しんかい6500」に乗り込み、熱水微生物を探し求める高井博士をはじめとした情熱あふれる研究者たちが、とても素敵です。

    まったく堅い内容ではなく、ところどころに時代を感じさせるギャグがちりばめられます。とにかく研究への情熱と、好奇心がビリビリと伝わってくる本で、めちゃくちゃに面白い。

    高校生から大学院生くらいの若い人向け、だそうですが、本当にぜひ読んで欲しいと、そう思います。
    ものすごいロマンに満ちた海洋研究、さらに進んでいけばいいなと思います。応援したくなります。

  • 何かムイミにテンションの高い文章で、こんなの読まなくちゃイケねーのKA・YO! と憂鬱だったのだが、読み進めるうちにあまり気にならなくなった。これは科学のドキュメンタリーではなくて、熱血科学者兄ちゃんの突撃の記録だ。科学の成果が評判になることは多いが、職業としての科学者がどういうものなのかを知る機会は少ない。予算のとりっことか、上司をうまく説得してやりたい仕事を進める手管とか、根回しとか、そういうそこらの会社と変わらない権謀術数がある。それが嫌な感じがしないのは、著者の「俺はこの仕事がしたいんだ!」というストレートな思いが根底にあるからだ。
    この文体は、著者の地らしい。何度か、人にうっとおしがられる話が出てくるけど、なるほどなあと思った。

    で、この人の科学の話があるらしく、テーマには大変興味があるのだが、ちょっと迷ってる。やっぱりこういう語り口なんだろうなあ・・・

  • 著者は、「生命の起源は深海の熱水にある」という仮説を実証するために、「しんかい6500」で世界中の海へ潜る微生物学者。これはノンキャリアだった著者が、未知のものに突き進み、科学者として成長する姿を描く実話。地質学など、他分野の研究者を巻き込んで、どんなに厳しい時も、うまくいかない時も、目的のため知恵と情熱を燃やす彼の姿に心打たれる。

  • 市図書館。

    ジャムスティックに勤務している著者。
    専門分野である「深海の極限状態に生息する微生物のなんたら」に関しての考察や実験結果はもちろんのこと、「研究者のとしてのキャリアアップの仕組み」とか、「研究テーマはどのようにして決まるのか」といった、
    ある意味「ウラバナシ」的な内容が、軽ーい文体とちょいちょい挟まれるどーでもいいギャグ(笑)と相まって、とても面白く読めた。

    しかしながら、人との出会いはホントに大切だなー。また、「出会うため」に一歩を踏み出すってこともさ。

  • 研究しよー!
    ガンガンいってみよー!

  • 最初はめちゃくちゃ面白いと読んでいたが、後半ダレた感あり、★4つ。
    確かにこの本のターゲットは高校生から院生。
    思い込みが社会的に許される時だし、それに甘えて、でも甘えず猛進すべしという態度は同感、学生は遊んでしかるべき。
    当方のようなこの本を読んではいけない(?)年の人間には真剣に遊んだか?と問いかけられているような気がして、少々思うところありの本。
    学問的話は民明書房出版(?)の著者の本で楽しもうと思いますわ。

  • JAMSTECの地球微生物学者の自伝。
    科学者と聞くとすごくお堅いイメージが強かったけど、一気にひっくり返った。文体が軽すぎて読みづらいと思う人もいるかもしれないけど、最後まで楽しく読めた。
    深海面白い。興味は尽きない。いつか生命の起源が解明される日が来るのか。
    蛇足だけど、京大時代、四畳半に住んでいたとあって、森見登美彦さんを思い浮かべた。。

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微生物ハンター、深海を行くの作品紹介

ナニモノでもなかった21歳の青年が、世界でもっとも生命の起源に肉迫する科学者になるまで。

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