VTJ前夜の中井祐樹

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著者 : 増田俊也
  • イースト・プレス (2014年12月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781612706

VTJ前夜の中井祐樹の感想・レビュー・書評

  • ここ数年で読んだ本で一番面白いと思ったのは、間違いなく、「七帝柔道記」である。したがって、同じ著者の本書は当然買い。誇り高く戦く敗れ去った武道家に捧げるオマージュである。
    ①失明と引き替えに総合格闘技への第一歩となる戦いに勝利した北大後輩・中井祐樹
    ②背負い投げに特化した遅咲きの二流の柔道家・堀越英範
    ③長男を亡くした空手の東孝
    ④七帝柔道記の最も魅力的な先輩といってよい、僧侶兼医学部教授の和泉さんと著者の対談。
    ①④は既読であり残念であったが、②が思いのほかよかった。著者の多分にセンチメンタルな暑苦しさが著者のノンフィクションのおもしろさだと思う。

  •  高校で剣道部に所属していたのだが非常にいい加減に参加していて、今にして思うと野球部か柔道部に所属しておけばよかったと後悔している。野球は本当に下手なのだが、あの時期に励んでいれば一生楽しむことができた。柔道部は、剣道部の隣で練習を横目で見ていた。柔道は大きな人が多くて怖かったのだが、今にして思えば勇気を持って入部していたらもっと格闘技に対してリアルに接することができたと思う。そうして増田さんや小林まこと先生の話に触れると学生時代にきついながらも充実していて楽しそうで本当にうらやましいばかりで、ぬるま湯につかりっぱなしの人生が恥ずかしくなる。

     命がけで物事に取り組む姿勢に頭がさがるばかりだ。

     堀越選手の達人レベルの背負い投げを見てみたい。ジェラルド・ゴルドーは悪者だ。本当にひどい。中井選手の話で1冊かと思ったら短かった。もっと読みたかった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    格闘技史に残る伝説の大会を軸に、北大柔道部の濃密な人間関係を詩情豊かに謳いあげた『VTJ前夜の中井祐樹』。天才柔道家・古賀稔彦を8年かけて背負い投げで屠った堀越英範の生き様を描いた『超二流と呼ばれた柔道家』。さらに、ヒクソン・グレイシー、東孝、猪熊功、木村政彦ら、生者と死者が交錯する不思議な一夜の幻想譚『死者たちとの夜』。巻末に北大柔道部対談を併録。人間の生きる意味を問い続ける作家、増田俊也の原点となる傑作ノンフィクション集。

  • ☆3(付箋10枚/P189→割合5.29%)

    いやー、この人はいいなあ。
    前2/3くらいが短編集なのですけれど、今後の壮大な物語の序章を感じます。そして後半が七帝柔道記で本当に味があった和泉主将との対談、生の声が聞けるとは。

    ***以下抜き書き**
    ・人は、春に生まれ、盛夏を生き、秋を迎えて冬となり、やがて死んでゆく。
    人は生き、死んでゆく。
    ただそれだけのことだ。
    春に死ぬ者もあれば、夏に死ぬ者も秋に死ぬ者もいる。
    一歳に満たぬうちに死ぬ者もあれば青春の直中で死ぬ者もある。寿命がまだ尽きぬのに自ら命を絶つ者もある。まだ生き続けたかったのに人生の最盛期なのにアクシデントで死ぬ者もある。逆に、死にたくても死にきれず、生きたくもない後半生を苦しみながら生き続ける地獄の人生もある。
    『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』は、人の生き死にのあり方を迫った本である。
    …東の言葉はあまりに強かった。
    「俺なら力道山を殺していた」
    はっきりとそう言った。
    「でも、なぜ木村先生は…って考えるんだ。あれほどの人だ、殺すことも切腹することも怖くなかったと思う。それがなぜって思うんだよ。あの題名は未来永劫、読者の胸に問いかけてくる言葉だ」

    ・増田 大宅賞のときも僕がめげそうになって、電話で「やっぱりダメです…無理です…」って言ったら、「何言うとるんじゃ、獲りにいきんさい」って。一つひとつの仕事に向き合う姿勢を教えていただきました。
     和泉 「しっかり準備をする」という考えになったのは、わしの二年の時の負けに尽きる。自分のせいで先輩たちに迷惑をかけたんが許せんかった。医者の世界でも自分の生涯の師である亀山正邦先生に教わったのが、「何かを発表するにも三つ四つ、常に準備しておかなきゃダメだ」と。急に「今度、発表をしないか」って言われることがある。ところが、ほとんどの人は準備しとらんし、準備しとっても一個か二個じゃ。まさか自分が出るとは思わんかった、そういう気持ちの人間はきっちり負けるんじゃ。
    …増田 そこからあの地獄の練習に繋がったんですね。今、和泉さんが仰ったようなことは小菅正夫(旭山動物園前園長、和泉の十五期上の北大主将)さんも、中井祐樹君も言うんですね。僕が気づいたのは卒業してからでした。理想とする自分以上にはなれないと。
     和泉 そうじゃの。それは明らかじゃ。

    ・増田 本当にすごい選手だった。でも、竜澤が後ろのほうで出て二人抜き返した。竜澤が二人目が腕絡みで折ったじゃないですか、平然と。一年目のとき、道警で「なんの意味があるんですか!」と怒っていたあの竜澤が。後輩が肩を折られたというのもあった。よく「なんで参ったしないんですか」って聞かれますけれど、もうそんな雰囲気じゃない。先輩は「肥やし」っていう言葉をよく使われますけれど…。
     和泉 そういうのはホント社会に出てもいっぱいある。侮辱されたり、軽く見られたりいうのは。そこでそのまま受け入れるか、なにくそと思うかで大きく違う。

    ・和泉 それはね…まぁわしもいっぱい痛い経験しとるけえ。わしは北大五年間と徳島大六年間、合わせて十一年も学生しとったから、本当に親不孝者じゃ。しかも大学院にそのまま入って無給じゃ。それからしばらくして初めて給料をもらった。親父はわしが医者になるのをずっと楽しみにしとってくれて、おふくろからよく「安心して喜ばせてやってくれ」って言われとったから、給料から十万円を入れて袋を持って渡そうとしとったんだけど、何かそのとき、口論になって…。
     増田 電話でですか。
     和泉 いや、親父が入院しとった病院へ見舞がてら金を包んでいって、つまらんことで口論になったんじゃ。それで「わかった。じゃあ、わしゃあ、もう帰る!」言うて袋を渡さずに帰っ... 続きを読む

  • 中井祐樹という人間がいたことを始めて知りました。
    青木のセコンドにいる人だということは知っていたけども、この本で初めて知りました。

    眼に指を突っ込まれて、戦えるか?

    どのジャンルでも、黎明期には光と影の存在があって。その光の存在が大きくなっていくと同時に、そのジャンルも大きくなっていくわけで。過去を振りかえったときに、その光に塗りつぶされてしまっているけど、一瞬の強烈な光を放った人間もいるわけです。

    中井祐樹は、その一人。

    読了後、探しましたと動画。
    引き込む戦術のせいもあるだろうけど、サミング以外にもパウンドの嵐。あれで、よく戦っていけたもの。現在のレフェリングでは、ストップでもおかしくはない状況でも、本人は冷静なんでしょうね。

    そして、際立つヒクソンの強さ冷静さ。
    やはり、グレイシー最強といわざるをえないです。彼を見ると。派手じゃないけど強い。

  • 和泉さんかっこいい。北大の文集に寄稿しているみなさんの文章が似ているのが、一つのことに全力を傾けて取り組んで、共に同じ世界を見ているからなのかなと思った。
    読んでて、目がうるうるした。
    人を大切に、そして全力を尽くす。
    準備を怠らない。他の作品もこれから読んでいきたいと思った。
    5

  • 増田俊也著『VTJ前夜の中井祐樹』読了。昨日『七帝柔道記』読み終えたばかりだったので連なる世界が、サーガとして輪郭がビシビシ伝わる。魂はいかに引き継がれるのか? 想いと時間の果てにある生きざまと人が生きた証。まったく格闘技門外漢だけど強烈な熱意と決意で書かれているものはジャンルを超越するのだとこの三作を通じてわかった。

  • 中井さんの話だけかと思いきや堀越英範という柔道選手の話もあり、そっちも面白かった。最後の対談は少し冗長かなということで星4つです。中井祐樹という人間がますます好きになる話満載です。

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