戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781613307

作品紹介・あらすじ

私たちが知る歴史はファンタジーにすぎない。インターネット時代の気鋭の論客が、右翼と左翼、それぞれの主張をゼロベースで再検討する。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルの答えは、「幸せにしてきた。だけどそもそも戦後イデオロギーなど幻想だ、戦後レジームも現代においては終了してる」です。
    戦後の価値観の真の信奉者は「戦後イデオロギー」という単語を使わない。ゆえに本書が主に左派批判であることがわかる。平和国家の欺瞞や、戦時中と戦後社会が地続きである根拠などが述べられる。一方で戦後の価値観の排斥者も少し遡上にあがる。9条だって役に立った、1930年代より前はデモクラシーが尊重されてた、戦前と戦後はそんなに断絶してない、と。
    気になったことをふたつ。国際社会で戦後レジームがどのような認識をされているか本書ではあまり述べない。国内でヤルタ、ポツダムに基づく無条件降伏を論拠とする言論を展開するのはナンセンスなのかもしれない。しかし国家間ではいまだにそれを前提とした言論がある以上、戦後レジームはまだ存在するとも考えられる。
    もうひとつ。レジームが政治体制の意であるならば、いまだに旧世紀めいた保革対立を政治に持ち込む現実が、戦後レジームの存在そのものではないのだろうか。
    あるといえばある、ないといえばない。そんな戦後レジーム。

  • 筆者は、「僕は学者ではない、学部を卒業したしただけのもの書きだから、学術的な論争は苦手だ」と云うが、内容は極めてロジカルであり、引用は多岐にわたり、かつ適切であると感じた。
    右左両派の主張する観念的なイデオロギーというものが、現実的な実態とそれを示す数値と対比させると、いかに虚しいものであるかがよくわかる。それらに躍らせるマスコミ、ひいてはボクたちの姿も滑稽に過ぎないということだろうと思う。

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著者プロフィール

古谷経衡
1982年札幌市生まれ。作家・評論家。立命館大学文学部史学科(日本史)卒業。(社)令和政治社会問題研究所所長。(社)日本ペンクラブ正会員。NPO法人江東映像文化振興事業団理事長。インターネットとネット保守、若者論、社会、政治、サブカルチャーなど幅広いテーマで執筆評論活動を行う一方、TOKYO FMやRKBラジオで番組コメンテイターも担当。『左翼も右翼もウソばかり』『日本を蝕む「極論」の正体』(ともに新潮新書)、『毒親と絶縁する』(集英社新書)、 『敗軍の名将』(幻冬舎新書)など著書多数。

「2023年 『シニア右翼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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