- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781614366
感想・レビュー・書評
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『ロッキング・オン』の2代目編集長だった著者が、ロッキング・オン時代を振り返った一冊。
4年前に出た本だが、Kindle Unlimitedに入っていたのでいまさら初読。
著者はロッキング・オン退社をめぐり、不当解雇を主張して裁判沙汰にまでなったのだが、そのへんのゴタゴタは本書ではスルーされている。
全体に、未整理で雑然とした内容だ。
しばしば話が脱線してあちこちに飛ぶし(突然、著者の趣味の熱帯魚の話がダラダラ続いたり)、マニアックな内輪話が延々と続いたりするし……。
まあ、増井編集長時代の『ロッキング・オン』を毎月熱心に読んでいた層が対象なのだろうから、マニアックなのは仕方ないか。
私自身は増井が編集長になったころに『ロッキング・オン』を読むのをやめたから、内容的にちょっとついていけない面があった。
逆に、自分が読んでいたころの話は懐かしく、興味深く読んだ。たとえば――。
《俺が入社した直後に、実写のフィルムにシルクスクリーンを使って加工した、ビジュアル的に凝った、美術誌っぽいというか、サブカル誌っぽい表紙を作ったことがあって、この時も突然 10%くらい売れなくなった。表紙のアーティストが当時すごく日本で人気のあったストラングラーズでも、ジャパンでも、デヴィッド・ボウイでもダメ、なんでなのって思いながら半年くらい続けてみてから、「もしかして、シルクスクリーンで加工してるのがよくないんじゃないの?」って気がついて、それを止めて普通の写真にしたら、その瞬間に売上も元に戻ったという》
シルクスクリーンの表紙を、私もよく覚えている。「カッコいいな」と思っていた。なので、あの表紙のせいで売上が下がったというのは意外。
《自分が編集長じゃなくなってからの『ロッキング・オン』は劇的に部数が減っていった。ちょうどこのあたりから「本が売れなくなる時代」に向かっての構造変化みたいなことが起きはじめていたんだろうし、何より洋楽のリアリズムがなくなっていったに違いない》
本書の最終盤にそんな一節があるが、著者が編集長を務めた時代(1990年からの7年間)は洋楽ロック誌の黄金時代だったのだろう。
各レコード会社にもロッキング・オンにもお金がたくさんあった時代ならではの、ゴージャスなエピソードが多い。レコード会社がアゴアシ代をもつゼイタクな海外取材とか……。いま読むと何やら「夢のあと」という趣だ。
『ロッキング・オン』関係者の回顧録としては、創刊4人衆の一人・橘川幸夫が書いた『ロッキング・オンの時代』のほうが面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
懐かしい。タナソウや渋谷陽一との喧嘩の内幕がないのは残念だった。
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90年代、音楽はアツかったんだよ。
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20160522-13