精神科ナースになったわけ (コミックエッセイの森)

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 698
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781615288

作品紹介・あらすじ

人はなぜ心を病むんだろう
普通のOLだった太田良枝は、肉親の死による悲しみで、心のコントロールが利かなくなってしまった経験から
心の病に興味を持つようになり、精神科の看護師になることを決意。
しかし身体のケガや病気のように、症状や病状の良し悪しがわかりづらい、精神疾患を抱える患者たちとの日々は、想像を遥かに超える出来事の連発で、答えのないことばかり…
ある日、ある事件をきっかけに、患者さんたちの心の内をもっと理解したいと思った彼女は「失踪会議」と題して、“しんどい時、逃げたくなる時、どうすればいいのか"を話し合う機会を作る――――。
――――私がそうだったように、誰だって平常心でいられない時もある。"おかしい"と"おかしくない"の境界線はいったいどこにあるんだろう。「妄想」ってなんだろう。「狂う」ってなんなんだろう。――――
精神科のリアルな現場を新人看護師の目線で描いた意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • R2.1.27 読了。

     「人はなぜ、心を病むんだろう?」「『おかしい』と『おかしくない』の境界線はどこにあるの?」。
    患者さん達と同じ目線で会話している看護師が、印象的でした。これって簡単なようで難しい。
    漫画のイラストがほっこりしていて良いですね。

  • 主人公の太田看護師と患者の細木さん(黒のニット帽と黒い洋服が特徴の女性。)とのやりとりに心の底からほっこりしました。

  • タイトルインパクトあります。どんな科のナースさんもそれぞれ患者さん、ご家族やお医者さん、スタッフさんとの板挟みで難しいと。ですが、精神科ナースの方の大変さを少し知ることができました。新型コロナ禍の中でもいつも以上に気をつかい、大変なご苦労と思いをされているんだと思います。ありがとうございます。どうかお体に気をつけて。願うばかりです。

  • 狂ってることと狂ってないこと。
    境界線ってなんだろう。この言葉がずーんっと刺さった。
    何かをしてしまう時には、何かあるのかもしれない。すぐにおかしいんちゃう?って思うんじゃなくて一回考える。
    まず、完璧でありたい願望を減らすのも大事か。
    すっごく難しいテーマをとても読みやすく、とても考えやすく書いてくださってあり、いっぱい考えれた。
    知らないことも知れた。
    読んでよかった。

  • 精神科ナースの方や精神科医、医療施設や団体など、様々なところに取材をして著者がまとめたコミックです。何度も読んでしまいます。そして、同じところで同じように胸が痛くなります。

    ブログにて詳しいレビューしています*
    https://happybooks.fun/entry/2021/02/20/164814

  • 前から気になっていたコミックエッセイでなんか私の中に色々な刺激がありました。私も自分がどう思っているか、どう感じているか分からなくなった時があって苦しかった。自分を認められなくて、たまに今も苦しむ。心がどう感じて、それがどう行動になるか考えるのではなく、その不可解な行動の背後にはそれぞれ理由があると自分でも心にとめておきたいです。あと、時々思い出せればいいかなって思いました。また、再読したい!

  • 『生きたいから生きづらいと死にたくなるんだよ』

    胸がギュッてなった。何が狂ってるのか狂ってないのかわかんないってほんとそれって思う。絵はほんわかしてるのに差し迫ったりキツい内容にも触れられていてかつ偏見のない目線で描かれているのがすごい。どの回も。わたしにも、自殺は悪だと言い切るほどの理由が見つからないしわからない。この本はしんどい、、受け入れて生かすことまでいけたらいいな。読めて良かった。余談で、森田先生、リアルで話が聞いてみたい。最後に名前載ってなかったからざんねん。

  • ふう、と一呼吸置きたくなるような。
    とても優しくて、暖かい気持ちになれる。
    し、いまの仕事にも…いや、生きていく上でもとても勉強になった。
    し、自分が大事にしたいこととリンクしていたので自信にも繋がった。

    こんな世の中であれば、もっと心穏やかなのに。

    みんなに読んでもらいたい一冊。



    おかしな行動に見えても、何か理由がある。
    自傷行為の意味。
    どういう気持ちだったのかを聞く。
    押さえ込んだ本当の気持ち。
    構わない作戦。

  • 2017.4.15読了。

    思っていた以上に、と言ったら失礼だろうか…
    患者本人に寄り添おうとする姿勢が強くて、自分の心と少しずつ向き合うことができるようなタッチで書かれた本。

    症例も人格も様々だし、何かに立ち向かうためでも何かを治すためでもないけれど、今まで言葉にできなかったことはこのことだったのかもしれないと考えさせられる。

    心が重くて、助けて欲しいのかほっといて欲しいのか分からない時でも、負荷をかけずに読めます。

  • コミックエッセイだけど、あとがきを読むと、著者の方が精神科ナースなのではなくて、精神科のナースの方を取材して書いた本。
    中身は、ナースがなぜ「精神科ナースになったか」よりも、どんな方が入院されていてその方々の心の中身を描いている。精神科の患者さんはやっぱり思ったより身近で、入院するも一般の生活送るのもそんな大差ないな、と感じた。どういう接し方、捉え方をすればよいのかの勉強にもなる。続編希望。

  • 精神病のたいていは「血行」といいきった医者の台詞に妙な納得感があった。

  • 絵はかわいいけど、
    エグくてリアル

  • すごく読みやすい。
    たしかに取材を元にして書かれ、実体験ではないかもしれないが、考えるきっかけとしてとても良いと思う。

  • 作者がとにかく冷静。精神科ナースとして必要なことがいろいろ散りばめられている。患者をきちんと人として認識して、ある一定の距離を置いて接することのできる人だなと感じた。

  •  ジャンルがエッセイなので、作者自身が精神科ナースで、実際に接した患者さんとの話なのかな、と思いつつ、他の精神科ナースの取材もしているようだし……どっちなんでしょう。

     精神科のことはなかなか分かりづらいし、患者さんとどう接していいか分からないところも多いから、この本は分かりやすくておもしろかった。

  •  良くも悪くも瑞々しさがあって、これはないわーとかこの返しはうまいなーとか、自分は看護師ではないけれど、対人援助職として日々の自分と対比しながら楽しく読むことができた。
     取材自体がとても丁寧になされたようなのは個々のエピソードの濃さで何となく分かるけど、(物理的に過心理的にかはともかく)職場で疎外感を感じている傾向にある人に取材源が偏っているかな、とは思った。それでも辞めずにこの業界にいる人達だろうから、話は読ませるものがある。

  • やさしい人なんだなあ。
    そして、よく観察してて、きちんと言葉と絵にしてて、
    読んでうれしくなったし、じんわりしたし、
    たくさんの人に読んでほしいなあと思いました。

    最後のエピソード「お母さんに会いたい」にぐっときました。

    生きること、がんばってほしい。

  • エッセイということですが実体験ではなく、取材に基づいたフィクションなのかな。会社員の主人公は家族の死を機に精神科ナースに転職します。様々な症状の患者さんが描かれてて、読んでて泣きそうになったりした。主人公自身も苦しい思いをしてるからか、患者さんのためになんとかしようとする姿が一生懸命で優しい。それも独特なイラストで淡々と描かれてるので、シュールで可愛らしかった。壮絶なはずのシーンもやわらかく描かれてるのでホッとします。

  • 患者さんがどう感じているか、ということを考えるきっかけになりました。今後臨床で心の隅みに置いていたら役立ちそうです。

  • 生きたい力。
    表面じゃなくて、内面を知ろうとすること。

  • 取材を元にしたフィクションでも、これは限りなくノンフィクションに近いフィクションだと思って読んでいました。
    とても面白い。人間っていろんな考えの人がいるなあと改めて確認させられる。
    これを買った時はものすごく追い詰められてたので、なんだか、いろんな人がいるんだし、あんまり自分で自分を追い詰めなくてもいいんだなって思った。

  • 自傷、自殺はその人の何を意味するのか…患者さんを理解しようと奮闘する看護師さんやドクターの姿がよかった。鈴木さんの断固たる決意は本人が選んだものというのが、一番突き刺さった。

  • 興味深いことがたくさんあった。
    精神科に関係がなくても看護師でなくても
    この生きにくいストレス社会で生きていく僕に必要なことがわかりそうな感じ。

    なってしまうものはどうしようもない
    それをどうするか考えるのが大切。

  • 福永まゆみ先生 おすすめ
    58【一般】492.927-M

    ★ブックリストのコメント
    実際の病院、看護師への取材に基づき描かれている、初の精神科ナースコミックエッセイ。優しい絵もついていて読みやすいです。

  • https://library.tenshi.ac.jp/opac/volume/157127

    ★患者さんのふしぎな行動。実は理由がありました。
    精神科の病院に入院・通院している患者さんは、
    一見すると「何を考えて、その行動をとるのか」分からないことが多いようです。
    しかし、一人一人に理由をきいてみると、
    本人の中では「筋が通っている」ようなのです。

    この本は、学生が手にとることが多かった本です。
    精神科の病院で働く人の気持ちや日常を知りたい人におすすめします。

  • 人間とは辛い生き物

  • 同じ心の病でも一人一人全然違うので、他の方々の様子が垣間見れて良かった

  • 「血行」よくしようかな!
    あと、小さな不満みたいのは、話して溜めないようにしようかな。

  • 私の中にもオカシイところはある。オカシイと普通の境目ってどこだろうとか、狂えたらラクなのかもとか思ったこともある。
    そんな疑問の世界を少し垣間見したような気持ちです。

  • 借りたもの。
    “心”の仕組みに関心を持った主人公が精神科のナースになって、そこで出会った入院患者を通して、心が不安定になる原因あるいは平常心の不思議を垣間見る。
    一見、不可思議な動機に聞こえる言動には、患者の心の中で多くの葛藤(彼らの中で筋が通っている理論)があった。
    さらにその奥には本人が蓋をして押し殺してしまった感情が渦巻いていた。

    境界性人格障害、自傷行為を繰り返す患者の「(本当は無条件に)愛されたい」という願い。

    妄想の件は凄かった……かなり主観的なものと思ってはいたが、当事者が無意識に募らせた不満・不安が独特のストーリー(当事者は筋が通っていると思っている)を持つ。
    そして妄想の当人を更に苦しめるという悪循環に。
    若松組という悪の組織が部屋を揺らすって……鬱の症状で身体が揺れるような感覚があるという話を聞いたことがあるが、その可能性がありそう。
    鬱で受診した女性の母子カプセル化(共依存)と、無関心な父親。

    家庭環境などに起因し、自身の心に蓋をしたり、それで気力が衰え体力も落ちると悪循環になる……そうしたサイクルが見えてくる。

    「身体が具合悪いと心も具合悪くなるんだと思いました」

    あるお医者さんの原因は「だいたい血行」というのは的を得ている。
    というより、原因が心因性でも血行が良くなることが回復の兆しになることもあるという話とも解釈できる。

    そうした精神科の看護師さんたちも大変……
    暴れる患者の応対だけでなく、共感しすぎてメンタルをすり減らしているとか……
    共感は大切だけれども、し過ぎてはならない。傾聴することは聞き流すこととも違う。
    微妙な匙加減のようでいて、大切なのは患者の“内面を客観的に見る”こと。

    患者は蓋をし過ぎてそれが何なのかわからなくなっている。
    それに“気付かせる”ことが患者の回復にも繋がると、私は思っている。

    安藤たかゆき『こころを病んで精神科病院に入院していました。』( https://booklog.jp/item/1/4040677382 )とも併読。
    上記とは違い、投薬についての描写は特になかった。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京在住。2014年に「あたふた研修医やってます」(KADOKAWA)でデビュー。
主な著書に『こころのナース夜野さん』( 小学館 )、『私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記』(文藝春秋)、『男との付き合い方がわからない』(大和書房)、『精神科ナースになったわけ』(イースト・プレス)、『32歳で初期乳がん、全然受け入れてません』(竹書房) 、『まどか26歳、研修医やってます!』、『コミュ障は治らなくても大丈夫』(KADOKAWA)等。

「2023年 『僕は春をひさぐ~女風セラピストの日常~(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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