- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781650128
感想・レビュー・書評
-
仕事の資料として読んだものだが、面白かった。
私には「まともな就職」の経験もなければ、そもそも「まともな就職活動」の経験すらない。会社はつねに「外から接するもの」でしかなかった。そんな私が読んでも十分楽しめ、考えさせられる内容だったのである。
カバーそでの惹句を引用する。
《日本の雇用・労働をめぐる議論は、エリートかワーキングプアを対象としたものに偏りがちである。そこには「普通の人」の「普通の働き方」が見落とされており、ブラック企業論争やノマド論争で可視化されたのは、私たちの「普通に働きたい」というこじれた感情であった。》
エリートにもワーキングプアにも偏らない、普通の人の普通の働き方をめぐる日本の雇用情勢を、豊富なデータから読み解いた本なのである。
というと、政府の「労働白書」のような無味乾燥な内容を思い浮かべる向きもあろうが、そうではない。
データが駆使されてはいるものの、著者自身の体験・見聞をベースに論が展開されており、ヴィヴィッドな現場感覚に満ちているし、読み物としても面白い。
最後の第4章が鹿毛康司(エステーの宣伝担当執行役で、「消臭力」のCMなどを制作した人)との対談になっており、ここがとくに面白い。もう爆笑ものである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
メディアに躍るのは極端な例と煽るような言説。正直、そういったものに辟易していたので、著者の主張がすんなり入ったのだと思う。特殊な例を除いて、普通に働いて生きることがどういったことか書いた本。四章はエステーで消臭力のCMをつくった方との対談。
-
仕事とはと迷い、私を鼓舞してくれと闇雲に手にとった。2013年著書であるので、3章までの数的根拠、考察は参考程度。4章以外は特に読まなくても問題ないかも。4章では、著者の常見氏と鹿毛康司氏(消臭力cmの仕掛け人とのこと)の対談があるが、著者の主張が端的に口語で書かれているためわかりやすい。
簡単にまとめると、ノマドワーカーになりたがったり、外資に勤めたがったり、自己実現と称して転職したがったり、できる人ぶったりせず、ただ目の前の仕事をしなさい。起業する以外に、キミに合った会社なんてないと一刀両断しつつ、サービス残業はみんなしてる!のような一社の主張だけに惑わされず、安心安全に働ける会社を探しなさいといったお父さん的主張が温かい。
全章通して、メディアは総じて論的根拠が不十分なので、信用しなくていいとのこと。その点は同意。
悩みが解消することはないと思うが、社会人の先輩の意見を拝聴という意味で、大学生20代あたり、4章を読んでみることをおすすめします。 -
そんなに皆すごくないよ、メディアに踊らされるな、ってことかな?
でも最後の対談は結局、華やかに見えて裏ではどろどろだよ、成功したかったら努力しろ頑張れみたいに受け取れた・・。
解説が分かりやすかった。
日本も欧米のように階層がわかれててもいいな。普通の人は普通の働き方でよい。 -
普通の働き方とは何か?、普通とは何かを問う一冊。メモ。(1)キャリアは仕組まれた偶然で進んでいく。…試行錯誤と紆余曲折の繰り返しだ。…そう簡単ではないからこそ人生というものは面白い(2)いい仕事とは何か。それは愛される仕事であり、期待に応えることであり、目の前のことをやることなのだ。(3)企業戦士にとって人生は矛盾だらけである。…その矛盾と向き合うことこそ生きるということなのだ。
-
就活に悩む学生、そして転職や自分の成長のために辞めなきゃならないのかと悶々とする会社員の方々。必読!時間のない方は後半の対談だけでも膝を打つことうけあいである。
-
ジム本とテーマを同じくした本。内容はあまり変わらないかな。
普通に仕事するの大事だぜってね。天才のマネする必要はないし、できないぜと。
いい仕事を積み重ねことが大事と。
どう思いながら仕事していくべきかと、心持ちのお話し。 -
「働き方の話をするときに極端な事例を出すな」というのだけど「普通」ほど語りにくいものはない。凝集性がなく、最大公約数がとりにくいのが普通の働き方だと思うからだ。なので、極端な事例を批判できることはあっても、普通を深く論じることは困難なのではないかと思う。そうなるとこれからも「極端」がせり出してくるんだろうなーっていうのは容易に想像できる
-
著者の主張には賛成できるが、これを一種の論文として読むには、いささか論拠が浅い印象を受ける。
「メディアを疑え」、「データやファクトに気を付けろ」という注意はまさにその通りなのだが、著者が主張は巷に溢れる言説のカウンターによって論証されている部分が多く、肝心の著者の主張の根拠がそもそもデータに裏付けされていなかったりする箇所がいくつもある。
また、そもそも論として、「普通の働き方」の定義が非常にあいまいである。
「ノマド」や「雑誌に載るようなビジネスマン」は特殊で、それ以外は「普通」だと言っているようにも感じれば、「中小企業に勤める人」が普通であるという印象も受ける。
「普通の働き方」という公式な定義は存在しないが、せめて著者の考える「普通」の定義付けはするべきである。
(そんなことをすればその定義に対する議論が出てきて、それをきれいに片付けることなどできないからあえて避けているようにも思えるし、おそらくその定義の中に著者は含まれない)
しかし、全体を通して著者の主張は間違ってはいないと思う。
各々が考える「普通」の中で、一生懸命働けばいい。
それが幸せかどうかはここでの議論の対象外である。
少なくとも、「メディアに煽られて無理な事に挑んで絶望するな、普通に頑張れ」というメッセージは、どんなビジネス書よりも日々の仕事の支えになるのではないだろうか。
(ただし、「プア充」のように「ほどほどで良い」という消極的な意味ではなく、あくまで努力することは推奨している)