内閣官房長官秘録 (イースト新書)

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著者 : 大下英治
  • イースト・プレス (2014年10月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781650371

内閣官房長官秘録 (イースト新書)の感想・レビュー・書評

  • ☆2(付箋8枚/P431→割合1.86%)
    文庫にしては厚く盛りだくさんだったので、数値はちょっと下がっていますが、楽しめました。
    数人歴代の官房長官を扱っていますが興味深く思うのは菅官房長官の政治術です。
    いやでも竹下さんが政治家が大物になれるかどうかの違いは「絶対に大きなところで間違わないこと」だと本書で述べていたけれど、それが全て組織の中の人の問題だということが、考えさせられました。


    ・菅は、横浜市議を務めながら、いつの日か国政への思いを強くしていった。
    <霞が関の中央官庁が主導する中央集権の枠組みを、壊さなければいけない>
    当時の横浜市は、待機児童の数が多く、子どもを保育園に預けられずに困っている親が多く問題になっていた。また、特別養護老人ホームの入所待機者も増え初めていた時期でもあった。
    だが、待機者を解消するために保育所や老人ホームなどの施設を整備するのには、国の制約が多くあった。全国一律の制度になっているため、地価の高い横浜市では、国の基準を満たす面積の土地を確保するのは、容易ではない。そのため、施設の整備がどうしても遅れてしまっていた。

    ・自民 党の選挙対策担当者として菅が常に意識せざるを得なかったのが、小沢一郎の影だ。小沢は選挙対策担当の代表代行として民主党の衆院選戦略のすべてを牛耳っていた。
    「小沢さんはすごい」
    選挙前からそんな言葉を多くの人が口にしていた。菅は、そのたびに疑問が湧いた。
    <小沢さんは、古いタイプの政治家。今様には合わない>
    小沢が選挙に備えて地方を回る際、訪ねる先は決まっている。労働組合の幹部か地域・職域団体の長といったところだ。それら支援団体の上層部と根回しをすることで選挙を乗り切っている。

    ・菅は、いつも梶山に言われていた。
    「おまえなんか、官僚にすぐに騙される。官僚は、説明の天才だ。官僚には自分たちの思惑があり、政治家に説明するとき、必ずその 思惑を入れて説明するから、それを見抜けないとダメだ。なにも、官僚だけじゃないぞ。マスコミだって、取材するときに最初から一つの方向を決めてくるから気をつけろ。学者だって経済人も、いっしょだぞ」

    ・<官房長官としても、まずまずうまくやってはいくだろう>
    自民党担当として菅を見てきた菅番の記者は、菅の仕事ぶりについてはそんな予想を立てていた。
    だが、就任後一カ月で起こった事件で自らの読みを大きく修正しなければならなくなった。きっかけとなったのは、「アルジェリア人質事件」。
    事件発生直後から終息までの菅の切り盛りは番記者の目から見ても、「すごい」の一言に尽きる。中でも「情報の出し方とスピード」。
    舞台裏についてすべて知っているわけではない が、番記者は菅の会見を取材しながら、こんなことを感じていた。
    <総理は東南アジアを外遊中。不在だった。でも、アルジェリア情報の要所は現地でのぶら下がりで総理がしゃべっている。確認したわけではないが、菅さんがそうさせているようなイメージがある。あくまで大事なところは菅さんでなく、総理の口から発言している>

    ・アルジェリア人質事件が発生した平成25年1月16日から三日後の19日、菅は、邦人救出のための政府専用機の派遣の検討を始めた。
    「政府専用機を出そう」
    そのとき、防衛省は何かと理由をつけては、頑なに拒否した。
    「そこはテスト飛行したこともなく、初めての空港での離着陸になります。そんなところに、行けません」
    「飛行ルートがロシア上空にかかる ことになります。外務省がロシア政府から許可を取るのに一週間ほどかかる」
    「できない」を繰り返し、首を縦に振らないのだ。
    「自衛隊のパイロットは予行演習をしなければ離着陸できないのか?アルジェリアに行ったことがないから行けないだと?それなら機長は、全日空や日本航空に頼むから」
    「ロシアの上空に行くのに一週間かかるだと?ロシアだって、この現実を知っているんだろう。ロシアだって、人命救助の飛行の許可に、そんなに時間をかけるはずがない」

    ・菅には、各省庁に一人は、本音で話せる人間がいる。
    <その人がそういうのなら、間違いない>
    そこまで信頼できる人間である。
    政権を運営していく中で直面する問題には、菅自身がすべて判断を下せるということば かりではない。自分だけでは判断を間違ってしまう場合もある。そういう慎重な判断を迫られたとき、菅は、ためらわず相談できる相手に訊くのだ。
    「どのようにすべきか、率直に聞かせてほしい」
    そして、その答えを基準にして、マスコミ、学者、経営者等に相談して最終的な判断を下すようにしている。これは、横浜市会議員時代からの菅の癖である。

    ・コメなど農産物に付加価値を付けて、高く売る。例えば、一俵60キログラムの玄米を出荷すると12000円ぐらいだが、その収入ではコストを下げて頑張っても儲からない。
    ところが、コンビニで売っているおにぎりは一個100円。ざっと計算すると60キログラムのコメからおにぎりは1400個作れる。60キログラムのコメが14万円になるわけだ。

    ・竹 中は思う。
    <政治家にとって重要なことは、絶対に大きなところで間違わないことだ。そういうセンスは、小泉さんと菅さんの共通点だな>
    竹中は、第一次安倍内閣においての失敗の始まりは、郵政民営化の造反議員を復党させたことがきっかけだと分析する。
    また、橋本徹大阪市長が率いる日本維新の会も、石原慎太郎や平沼赳夫らの所属する太陽の塔と合流したのが、大きな判断の間違いだったと竹中は指摘する。

  • 978-4-7816-5037-1 431p 2014・10・27 初版1刷

  • 少々政権よりなのかなと思いながら読みましたが、菅さんのところまででタイムアップ。
    菅さんの朴訥としながらも冷やかに世間と世論を見ている姿が好きです。歴代官房長官の視点で歴史を見るのは非常に楽しい。やはり、後藤田さんと小渕さんのイメージが強いね。梶山さんはあまり印象にないんだなぁ。しかし、今後は官房長官=菅さんになるのだろうね。それ位頻度高く露出し、失点なくうまく立ち回ってるので当然だろうね。
    ボンボンの安部さんとの組み合わせは確かに非常によい。次の総理とまではいかないけど、党内より閣内で輝く人だなぁ。

  • タイトルが気になって手に取ってみたら、小説だったのでビックリ。話が時系列になっていないので、ついていくのが面倒。題材が題材なだけに、全体的に自民党寄り。そんな「秘録」と言うような内容なのか?というのが気になった。

  • ○作家の大下氏の作品。
    ○現官房長官の菅氏を中心に、過去の官房長官の特徴や伝統などを、政界の裏側にも触れつつまとめたもの。
    ○とても興味深かった。

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内閣官房長官秘録 (イースト新書)の作品紹介

中曾根康弘総理にペルシャ湾岸への自衛隊派遣に異議を申し立てた"カミソリ"後藤田正晴。戦後最大の宰相・田中角栄の築いた派閥の流れをくんだ経世会支配-「竹下政権には三人の官房長官がいる」と言われた。竹下登総理、小渕恵三官房長官、そして若き日の小沢一郎官房副長官である。経世会は、のちに自公政権の礎を築いた野中広務と青木幹雄という「衆参のドン」となる官房長官を輩出する。そして安倍政権の最大のキーマン菅義偉内閣官房長官の次なる一手、此の男の政権戦略が日本政治を震わす!

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