君主論―悪の人心掌握の知恵150 (文庫ぎんが堂) (文庫ぎんが堂 ま 1-1)
- イースト・プレス (2009年9月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781670102
作品紹介・あらすじ
『君主論』は16世紀、ニッコロ・マキアヴエッリが、 当時の支配者階層であったメディチ家に政策提言する目的で書かれたものです。 その後、古今東西の権力者によって人心掌握術の書として読み継がれてきました。 この難解な『君主論』を、わかりやすく150の格言集として新訳・新編集したのが本書です。 ここに書かれている150の言葉は、「人の動かし方」「権力の維持のしかた」「国の守りかた」、 そして「人間の本質」について教えてくれることでしょう。
感想・レビュー・書評
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2009年10月刊(親本は2008年7月刊)。16世紀の社会思想家にして、フィレンツェ共和国の外交官だったニッコロ・マキアヴェッリ(1469-1527)が著した政策提言の書『君主論』。同書のエッセンスを抽出して、150の格言集として編み直したのが本書。
先日、「マキアヴェッリに心酔する大学生が、異世界転移させられ、彼を召還した、没落しつつある王国を立て直す」という筋立てのライトノベルが原作のテレビアニメ『現実主義勇者の王国再建記』を観て、大変気に入った。
主人公の行動原理の指標であり、また同アニメが参考文献として挙げていたのが、『君主論』(正確には『リーダーの掟 超訳 君主論』)だったので、お手軽に『君主論』の内容を学べそうな本として、本書を選んだ。
「いや原著の完訳版を読めよ!」
という声もありましょうが、かなり難解な書と聞いているので、私ごときではたぶん、歯が立たないなと(苦笑)
いや、●年前に塩野七生の『わが友マキアヴェッリ』を読んだことはあるので、マキアヴェッリの人物像については、ある程度、把握しているんですが。
閑話休題。
本書は、見開きの右側に『君主論』から抽出した格言、左側にその解説を掲載というのが基本フォーマット。このフォーマットで150の格言を、内容別に6章に分けて、紹介している。余白が大きく、文字も大きく、1時間弱で読了できる。筆者ならではの、冷徹な人間観察の視点から得たとおぼしき金言も多くあったが、何せ500年前の書物なので、現代の眼から見ると「それはどうか?」という格言が少なからずあったのも、また事実(たとえば「前の君主に連なる者は根絶やしにする」とか)。それでも参考にしたいと思った格言を、備忘録代わりに以下に5つ挙げておく。
「1)かつての敵ほど忠義を尽くす(かつての悪い心証を払拭しなくてはならないから、人並み以上に忠義を尽くさざるを得ないから)」
「2)中立の道を選ぶと大抵失敗する」
「3)選ばれた者だけを情報源として信用する(賢明な者の意見に耳を傾け、決断は自分一人で下す。彼らの意見以外は,いっさい気に留めるべきではない。決断したことはすぐ実行し、断固として貫き通す。これをやらないとお世辞屋に潰されたり、相反する助言にころころ判断を変えたりすることになり、君主の評判は失墜する)」
「4)叩くときは徹底的に叩きのめす(小さな傷を負った者は復讐するかもしれないが、重傷を負えば復讐できない。人を傷めつける時は、必ず復讐の恐れを絶っておくべき)」
「5)悪いことは一気に、よいことは小出しに(一気にやってしまえば、相手は受けた苦しみをやがて忘れていき、さほど恨みを買わずに済む。恩恵は小出しにすれば、じっくり味わってもらえる)」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どこかで聞いたことのあるフレーズがいくつかあった。
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サクっとよむにはちょうどいい量
マキャベリさんの言葉はとてもシニカルで面白いです。