論理トレ-ニング (哲学教科書シリーズ)

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  • 産業図書
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784782802113

作品紹介・あらすじ

論理トレーニングは進化している。多くの問題を新しくしてヴァージョン・アップ。楽しみながら挑戦すれば確実に論理力が身につく。

感想・レビュー・書評

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  • ビジネススキルとしての所謂「ロジカルシンキング」からは少し距離をおいた、より古典的な論理学に基づく思考力を身につけることを重点にした一冊。

    「ロジカルシンキング」はビジネスの企画・戦略の立案・プレゼンテーションを行うための実践的なスキルに関わるスキルであるのに対し、本書での「論理思考力」とは相手を論破するディベートに関わるスキルであるように感じた。

    前者は広い視野で自分の考え方を構造的に整理するスキル、後者はより局所的な話題に関する自分の主張(文章)が矛盾なく成立しているかを判断するスキル、と言えばよいだろうか。

    もちろん、「ロジカルシンキング」も本書で扱われている論理学にの考え方が根底にあることは間違いない。

    より実践的な「ロジカルシンキング」に(一般的なビジネスパーソンは)目がいきがちだが、本書にような”基本”に立ち返ってみるのもよいかもしれない。

    特に前半の「接続の論理」は、文章作成に有用なトレーニングになる。

    ------------------------------------------------
    ・思考の筋道をそのまま表すのではない。思考の結果を、できる限り一貫した、飛躍の少ない、理解しやすい形で表現する。そこに、論理が働く。

    ・論理力とはコミュニケーションのための技術、それゆえ言語的能力のひとつであり、「読み書き」の力なのである、

    ・広い意味で「論理的」であるとは、さまざまな文や主張のまとまりが、たんに矛盾していないというだけでなく、一貫しており、有機的に組み立てられていることを意味している。

    ・論理とは言葉と言葉の関係をとらえる力である。だとすれば、そうした関係を示す言葉、主張と主張をつなぐ言葉を見直すことからはじめるべきだろう。

    ・論理にとって重要な接続関係は大きく分けて次の四つに分類できる。
     (1)解説 (2)根拠 (3)付加 (4)転換

  • 例題、類題がついているので、問題をときながら、論理的な力をつけることができる。解説も丁寧でわかりやすいと思う。おすすめ。

  • 論理思考はテクニカルなものという印象があって、これまで空虚に感じていた。しかし、後半で具体的な議論における論理思考の活用が述べられ、その重要性を認識した。議論を深めるために論理思考は重要で、ある程度場数を踏みながら会得するのが王道。自分で議論を作ることは、いわば終わりのないトレーニングである、という点を肝に銘じて、自分の言説を丁寧に構築する努力を続けていきたいと感じた

  • 論理トレーニングの定番の新版。
    「論理的な文章(論文)を書く」というゴール設定のようだが、どちらかというと「読解」という力をつけるのにいいとは思う。

    書籍や新聞などの文章を、論理的に読み解くトレーニングを進めつつ、理解を進めていくという内容なのだが、そもそも論理的に書かれているか怪しいのが書籍や新聞の文章なので、これを読み解く過程、どのように人は文章を読み解いていく必要があるのか(読み解いているのか)、という点ではとても良いトレーニングになると感じた。

    一般の書籍などを例文とするのは難しい。そもそも天声人語が例文として出てくるというのはちょっと難易度が高いというかあれがゴールとしての論理的な文章なのか?という疑問も残ったし、「カブトガニはカニではない」みたいなヒネった例文とかそういうのいらないです、というのはある。
    そういうのがおもしろいと思う感覚って、自分からするとなんか古臭くて不快なんだよね。

  • たまにはこういうトレーニングをしておかないと。

  • 大学一年生(関西だと一回生って言うよね)用の演習形式の授業で、最初の課題として、この本の4章から10章までを読んで要約した。本を買う所から始めて100ページくらい読んでそれを要約。たしか期限は2週間とかだったかな。分かりやすい文章だったので救われたが、提出の日に夜を徹して書き上げたのを覚えている。
    それなりに一生懸命取り組んだ甲斐あって、ためになったと思う。「論理力」を身につけるにはまだまだ練習が必要ではあるけれど。
    レポートや論文を書くときにはまた読み返したい。

  • 頭の体操にはもってこい。

  • 素晴らしい。
    日本語を正確に使っていなかったなと反省した。
    また、反論と批判は異なるということを理解した。
    今後の人生に活きる内容だった。
    時々笑ってしまうほどの例文や、納得する主張もあり、楽しかった。

  • 図書館で借りた。
    論理学をしっかり学べる教科書。演習問題もしっかり収録された、王道といったものを感じた。
    順接・逆接といった論理の流れを定義・把握し、論証~演繹、そして議論を作っていく流れへ。
    どんな分野であっても、議論の基盤となる論理学は重要だが、それをしっかり学ぶにはいい本だと思った。大学生など、これからしっかり学びたい人には身に付けて欲しい必須科目といったところ。
    例題が日常会話からも多く取り入れていることも好印象を抱いた。

  • 一通りやってみましたが、かなり難しく感じました。解答を導き出すためには、自然と文章をじっくりと時間をかけて読むことになります。その分、時間が掛かりますが良いトレーニングにはなったと思います。演繹については、定義的には知っていましたが実践することは今までなかったので、体験する良い機会になりました。

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著者プロフィール

1954年(昭和29年)東京都に生まれる。85年東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院教授を経て、現在、立正大学文学部教授。専攻は哲学。著書に、『論理学』(東京大学出版会)、『心と他者』(勁草書房/中公文庫)、『哲学の謎』『無限論の教室』(講談社現代新書)、『新版論理トレーニング』『論理トレーニング101題』『他者の声 実在の声』(産業図書)、『哲学・航海日誌』(春秋社/中公文庫、全二巻)、『はじめて考えるときのように』(PHP文庫)、『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』(哲学書房/ちくま学芸文庫)、『同一性・変化・時間』(哲学書房)、『ここにないもの――新哲学対話』(大和書房/中公文庫)、『入門!論理学』(中公新書)、『子どもの難問――哲学者の先生、教えてください!』(中央公論新社、編著)、『大森荘蔵――哲学の見本』(講談社学術文庫)、『語りえぬものを語る』『哲学な日々』『心という難問――空間・身体・意味』(講談社)などがある。訳書にウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(岩波文庫)、A・アンブローズ『ウィトゲンシュタインの講義』(講談社学術文庫)など。

「2018年 『増補版 大人のための国語ゼミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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