- Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
- / ISBN・EAN: 9784783502128
作品紹介・あらすじ
動物行動学をうちたてた世界的権威が語る人類危機への指摘と回復への提言。
感想・レビュー・書評
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エソロジー(動物行動学)の権威、ローレンツの警句。多少ペシミスティックであると思われる読者もいるだろうが、現在においても、彼の指摘した問題が改善されるどころか、ますます悪化してきている部分もあることに首肯せざるを得ないだろう。
文明化した人間の八つの大罪とは具体的には以下である。
[1]人口過剰
[2]生活空間の荒廃
[3]人間同士の競争
[4]感性の衰退
[5]遺伝的な頽廃
[6]伝統の破壊
[7]教化されやすさ
[8]核兵器
えせ民主主義的な教義が7番目までの人間性喪失の過程を促進している。この教義は人間の社会的な行動や道徳的な行為が系統発生で進化
した神経系や感覚器の体制によってきまるのではなくて、もっぱら人間の
個体発生の途中でそのときそのときの文化環境をつうじてえられた「条件づけ」によって左右されるというものである。
つまり、人間を生まれたばかりの状態では白紙であり、どのようなものも
その環境によってすばらしい能力を得ることができるという完全に誤った信仰を前提にしていることが問題となって現れてきているである。
正のフィードバックの回路は自然のなかでは存在しない。しかし、人間の社会生活においては、それが存在するのだ。こうした特異機能がある種の暴走を生み出すことになることは自明である。生物の機能には負のフィードバック、ホメオタスシスによって調節が補償されるようになっている。ここから得られる教訓というのは何か、考える必要があるだろう。 -
端々に、そうだよね、と思うところはある。
例えば、過度の密集によって生まれる攻撃性(隣人の変人化)やホメオスタシスの話は良いが、文化の話まで同じ論調で突っ込むと雲行きが怪しくなり、大風呂敷を広げている感は否めない。