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- Amazon.co.jp ・本
- / ISBN・EAN: 9784783702368
感想・レビュー・書評
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いつでも思考に明滅する詩集。
匂いと、セロファン越しの光景詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。パッヘルベルのカノンを聴きながら。
廊下の突き当たりにあった薄暗い理科室には七月の昼下がりでもひんやりとした空気が漂っていた。そこにあったガラス扉つきの棚からアンモナイトの化石やヘビのホルマリン漬けを取り出すみたいに、私は記憶の引き出しから拾い上げた光景を瞼の上に描く。それが5年前でも10年前でも、昨日よりはるかに近い場所に私は居るように錯覚する。
私はあなたが見た景色と同じものを見ようとしてあなたの後ばかり追っていた。私はずっとあなたの背中ばかり見ていた。けれども、私たちは同一円周上にいて、あなたは私の背中を見ていたのかもしれない。あなたの言葉のなかに私がいて、私の言葉のなかにあなたがいるのだから。
答えはなくとも、私はあなたの名前を呼び続けるでしょう。
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