吉原幸子詩集 続続 (現代詩文庫 第 1期172)

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  • 思潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783709473

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  • この詩人にとっても母親の存在は大きく、その死はたいそう辛いものであったようだ。作品も母に纏わるものが多く秀作ばかりだ。また、猫好きらしく愛猫に仮託した詩は優れている。その中で吉原幸子の代表作と思えるような詩を見つけた。

    けものよ

    思い出そう
    おまえが今よりももっと美しかった昔を

    おまえは森を駆けめぐり
    銀いろの月光にぬれ
    緑いろの瞳を闇に燃やした
    あるときは 背にきらきらと霜がおりたが
    こいびとの熱い舌が それを溶かした

    わたしがおまえに身を包むとき
    おまえの血は わたしの鼓動をうって
    内側からわたしを満たし
    わたしは思い出す
    けもののはげしたを やさしさを
    その かなしみを

  • 詩歌

  • このひとの詩はこころのいちばん奥まできます。

  • 「動脈採血のあとは 十分間 手首をきつく抑へてゐてあげなければならない ズキン ズキンと脈打つのが あなたの手首か わたしの指先か やがて わからなくなってくる」。病院にて(三)より。詩集の大半は、作者が病気の母が入院中に書いたものらしく、絆や思いやりに伴う愛を連想させるものが多いです。前作よりも優しさに包まれています。

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