本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
- / ISBN・EAN: 9784783709473
感想・レビュー・書評
-
この詩人にとっても母親の存在は大きく、その死はたいそう辛いものであったようだ。作品も母に纏わるものが多く秀作ばかりだ。また、猫好きらしく愛猫に仮託した詩は優れている。その中で吉原幸子の代表作と思えるような詩を見つけた。
けものよ
思い出そう
おまえが今よりももっと美しかった昔を
おまえは森を駆けめぐり
銀いろの月光にぬれ
緑いろの瞳を闇に燃やした
あるときは 背にきらきらと霜がおりたが
こいびとの熱い舌が それを溶かした
わたしがおまえに身を包むとき
おまえの血は わたしの鼓動をうって
内側からわたしを満たし
わたしは思い出す
けもののはげしたを やさしさを
その かなしみを
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
詩歌
-
このひとの詩はこころのいちばん奥まできます。
-
「動脈採血のあとは 十分間 手首をきつく抑へてゐてあげなければならない ズキン ズキンと脈打つのが あなたの手首か わたしの指先か やがて わからなくなってくる」。病院にて(三)より。詩集の大半は、作者が病気の母が入院中に書いたものらしく、絆や思いやりに伴う愛を連想させるものが多いです。前作よりも優しさに包まれています。
全4件中 1 - 4件を表示