- Amazon.co.jp ・本 (108ページ)
- / ISBN・EAN: 9784783724186
感想・レビュー・書評
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「男がふたり車から降りる。/そして車の脇に立っている。ふたりは/ほかにどうしたらいいかわからないのだ。」(男がふたり車から降りる)
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「ぼくらは出合う。ぼくらはいろいろやってみる。なにも起こらない、/だけど/その後ぼくらは会うたびに/いつもどぎまぎする。そしてぼくらは視線をそらすのだ。」(ぼくらは出合う。ぼくらはいろいろやってみる。なにも起こらない、だけど)
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「ぼくは心をこめてこんにちはといった、だけど彼女はもっと心をこめて/さようならといったのさ。」(万事休す)
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「あたしの糞ったれ人生の最高に/見事にハングリーな朝は/フライド・ポテトのようにファックしてよ。」(フライド・ポテトのようにファックしてよ)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ブローティガンらしい、やわらかくて芯を捉えていてぼんやりとさみしい詩。手持ち無沙汰になるとお酒を飲んでしまいそうなあやうさ。
もう遠回りをしたり、ばかみたいな無駄をして「いい経験でした」って言ったりする時間がないから、代わりにブローティガンの詩を読むのかもしれない。 -
何故詩を読むかと言えば、今のところ意外性を伴う驚異を求めているからである。
それは私の中でアリ地獄に踏み入る事と重なり、足を一歩出しただけでずぶぶと中心へ引き摺り込まれ、ウスバカゲロウにしてヤられるのと同等なのだ。
しかし、この詩集には僕にとってのアリ地獄が無い。
ウスバカゲロウが成虫になろうとしているからだ。幼虫が成虫になるのは自然な流れである。その代わり、その摂理を二度見して凝視したくなってしまう詩集だ。二度見して凝視するとその摂理さえも美しい。 -
詩集というイメージを感じさせないピュアさが良い。