渦巻カフェあるいは地獄の一時間

  • 思潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (60ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783733485

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  • 片目は砂漠の海に焦がれ、眼球の後方で視神経の螺子がギチギチと締められてゆく酩酊の午前4時。夜の闇の余波と朝の光の兆候が音もなくせめぎあい、もつれあう薄明の青の時刻。πはφに変形し回転、遠心力で割れてグルグルと∞を描く眩暈が治まらない地獄くだりの一時間。
    波辺左端在れっぺの咆哮が谺する耳の幻術の穴を逍遥し、花と蜜の芳香が渦巻く猥雑な幻影の都市を彷徨し、底に沈み込む。

    「捨ててしまいなさい螺旋なんか」と焚きつけるように私に言うあなたはどなた。細胞の内奥に根づくDNAの二重螺旋の檻からは決して逃れられはしないのに。

  • とても美しい作品。口に出してささやきたいし、いつまでも眺めていたい。

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著者プロフィール

詩人。1951年埼玉県生まれ。詩集に『特性のない陽のもとに』(歴程新鋭賞)『風の配分』(高見順賞)『ニューインスピレーション』(現代詩花椿賞)『ヌードな日』(藤村記念歴程賞)『薄明のサウダージ』(現代詩人賞)『美しい人生』(大岡信賞)など。大岡信の後を継ぎ、2009年から「しずおか連詩」の捌き手を務める。

「2023年 『しずおか連詩 言葉の収穫祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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