未来の図書館、はじめませんか?

著者 :
  • 青弓社
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787200532

作品紹介・あらすじ

図書館にいま必要な「拡張」とはなにか。市民と行政、図書館員が日々の小さな実践を通して図書館の魅力を引き出す方法や、発信型図書館をつくるためのアイデアを提案する。地域を変えて人を育てる「未来の図書館」へと向かう道を照射する刺激的な提言の書。

感想・レビュー・書評

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  • 当時、
    “地域交流×図書館×クラシックカフェ“
    のような心地よいBGM流れる適度にガヤガヤしたふらっとお茶しながら本が楽しめる図書館ならば毎日通い詰めるのになあ、そんなことを思いながら図書館で勉強を楽しんでいたとある休日に、

    書店で出逢い直感で即買いしたが、読めてよかった!読み応えある濃厚な未来の図書館のあり方を見つめた良書。

    改めて、いま再読しよう!
    この本と、「舟を編む」、と「麦本三歩シリーズ」は最高の組み合わせ。
    司書を目指す若き世代に、選書したい一冊。

    図書館ってなんで静かすぎる場所ばかりなのか。
    子供も多く訪れる楽しいおはなし会の場所なのにお母さんが子供の泣き声に神経を削る、場所なのはどうなのか、と思うことがある。
    借りた本のみ閲覧できるブックカフェスペースと静かに読書を楽しむスペースと分けて空間を作ってはどうか?
    この本を読み、まだまだ知る権利が守られる、知の宝庫である図書館としての可能性は広がっていると期待できた。

    海外の視察を通じて、良い部分を取り入れる。
    そんな開かれたコミュニティ改造も、古いしきたりで化石化されがちな日本の都市デザイン・空間づくりには必要なのだろう。

    全国の大学図書館、公共図書館に積極的に選書してほしい意義のある一冊でした。

    (商品情報:https://www.amazon.co.jp/dp/4787200534?th=1&psc=1&linkCode=ll1&tag=honnoakari-22&linkId=196de0c38c4600149fcd9e4201d24db1&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl

  • 住民に寄り添い、住民の糧になる図書館にするためにはどうしたらよいのか。
    多くの図書館をたずね歩いた著者からの提案がつまった本です。

    1つとして同じ町はありません。
    だから、話題の図書館をそっくりそのまま真似をしても、それが住民にとって"いい図書館"であるとは言えません。
    明確なビジョンを作り、住民の声を引き出す。
    多くの事例を見て、小さなものでも自分の図書館に落とし込んでみる。
    そうして世界に1つの図書館を作り上げていくのです。

    以下に備忘のためメモメモ。

    ・リアルとバーチャルは地続き、切り離して考えるのはもはや時代遅れ…という言葉にガツンときた。
    ・図書館は知識を再生産し、社会の知的循環を生み出していくという機能があることに、改めて意識させられた。
    ・「発信型図書館」のアイディア作りに関する第7章は、折に触れヒントにしていきたい。
    ・巻末の「図書館をつくるための本棚」に紹介された47冊の本もチェックしたい。

  • 非正規雇用の司書にどこまで出来るのかやるべきなのか…今ナヤミ中。結局正職のサポートするしかないんじゃないか。未来の図書館に雇用問題は重要と思うんすけど、余り言及されていなかった。

  • タイトルの通り、これからの図書館に必要なことが書かれている本。
    図書館というものがまだまだ成長(進化?)していかれる媒体なのだとわかってワクワク。
    その末端を担うものとして~身が引き締まる。

    これからの社会を生きていくためには、図書館だけでなくこういう発想をもっていかないとだめなんだと思う。

    P17圧倒的な量の書物に出合う経験は、自分が知っている知識・情報世界を押し広げます。

    <第一章 図面から生まれる図書館は正しいのか>

    P23日本にひとつとして同じ年やまちがないように、ひとつとして同じ図書館はありません。~最適な形が模索されるべき。

    基本構想や基本計画が大事。誰にとっての~どういうための~

    伊万里市民図書館
    https://www.library.city.imari.saga.jp/

    置戸町生涯センター 立図書館
    http://www.town.oketo.hokkaido.jp/tosyo/kannai/kannai.htm#経過


    <第二章 図書館の周辺にある、進化のチャンス>

    1ゲーム機がある図書館
    とやま駅南図書館
    https://www.library.toyama.toyama.jp/info/koryu

    P45これからの図書館が供えるべき要件として、いままでやってきたことはもちろんよしとしながら、その次にあるレクリエーション性の開拓に進んでいかなければいけないのではないでしょうか。


    2メディア利用から見る「静かな図書館」

    メディア利用の世代特徴
    20~40 インターネット世代
    40~60 テレビ世代
    60~  新聞世代

    静粛性が優先されているが、それは公共の場として本当に最適なのか

    3市民利用に見る騒がしい「シェアオフィス」のニーズ

    図書館に来館する人は
    ・知的好奇心のある人
    ・問題意識をもつ人 だが、静粛性のため、一人で情報を得て、一人で図書館外の社会へ帰っていくのが現状

    それらをコミュニティ化すると~外の社会との関係が起こってくる

    海士町図書館
    http://lib.town.ama.shimane.jp/

    4図書館ウェブサイトは本当に公共性があるのか
    日本の公共図書館のウェブサイトはデザイン性がない

    美しいウェブサイト例~先を見たいと思わせる要素
    http://www.nypl.org/

    5日本の公共空間の捉え方
    公共性とは~「市民の誰もがそこに存在しうる場」
    日本ではそれを、「国が与えてくれているもの」と捉える
    アメリカやヨーロッパでは、「自分たちのもの」と捉える

    <第三章 図書館の原風景を見つめる>
    1ひとつとして同じ図書館はない
    2多様な歴史から生まれた図書館の原風景
    3輸入された原風景「無料図書館」

    本)『市民の図書館』1976年 1991年
    4-8204-7600-9

    4二冊目の『市民の図書館』

    <第四章 「足で見る」図書館>
    1いろいろな図書館を知ることがライブラリーリテラシーを上げる

    地域のことをしっかり調べられる図書館
    長崎県東彼杵町図書館
    http://www.kyoui.higashisonogi.jp/education/library/

    公共施設だけど、こういうこともできるんじゃないか

    2質は量から生まれる
    図書館探訪で重視するのは、図書館の生態系の調査、多様性の観察

    3すべてがすばらしい図書館なんて存在しない
    発見すべきことは無数にある

    4「アポなし訪問」の壁と図書館の閉鎖性

    オンラインデータベースが区内のどの図書館でも使える
    大阪市立中央図書館
    http://www.oml.city.osaka.lg.jp/
     

    Library of the year
    http://www.iri-net.org/loy/

    第五章「まち」から生まれる図書館、図書館から生まれる「まち」

    1「まち」から生まれる図書館
    まちライブラリーのこころみ(船橋市)
    http://funabashi.future-u.net/?tag=%E3%81%BE%E3%81%A1%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC

    P90その地域における本来的な課題は何か?

    2 都市総合計画は、図書館のあり方を考えるうえの必須資料

    ポイントは自治体の「総合計画」
    自分の住んでいる自治体の総合計画を読む
    http://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/file07_01_00014.html

    図書館は重要な都市機能であり、知を支える公共施設

    3土地を知り、まちを立体的に理解する

    地域住民と同じように駅で降りて歩いて図書館へいく
    地域の人に話を聞く

    4まちの課題はフィールドワークでしか見えてこない
    人の集まる大型商業施設へ行く
    地域のどの課題に対して、図書館として解決提案をすべきかということを知る上でもフィールドワークが必要

    5図書館から生まれる「まち」
    舟橋村図書館~オープンデータ
    http://www.vill.funahashi.toyama.jp/facility/library/

    福井県鯖江市 文化の館~どくしょてちょう
    http://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=458

    図書館は地域の「知」の番人。市民活動を支え、ときに守り、支援する。地域の課題をしっかり把握することで、はじめて力強いものになるはず。

    <第六章 さあ、図書館をつくろう>
    1新設だけが「図書館づくり」ではない
    図書館をつくるということが市民にとってももっと身近なものであるべき
    新規館の開設はなかなかないが、リニューアルや日常の改善していくべき

    札幌市中央図書館 デジタル本の森
    http://www.city.sapporo.jp/toshokan/

    2ビジョンがない「基本構想」への違和感

    「図書館がつくられることで、市民はどんな恩恵を受け、どのような課題が解決されうるのか」ということをわかりやすい言葉で明確に示すことが求められている

    サービスを考えるときのVMSO
    V~ビジョン:実現すべき未来:あらゆる疑問を解決

    M~ミッション:使命、ビジョンを達成するためにどんな使命を果たすべきか:あらゆる質問と回答が好感・共有される現実の世界異常にリアルに人々とつながるコミュニティーを創造する

    S~ストラテジー:使命を遂行するために、どんな戦略が必要か:集合知によるソーシャルメディア化、日本語処理による知識発見の自動化、利用シーンを問わないコモディティ化

    O~オブジェクト:評価指標を定めること:~PV ~UU 
    ~質問数 ~回答数

    ビジョンとは、実現すべき未来のこと

    3図書館のためのビジョンメイキング
    市民は「図書館があることによって、自分たちはどういた自己実現や社会参加ができるのか」を知りたい

    小布施町立図書館 まちとよテラス
    http://machitoshoterrasow.com/

    4フィールドワークを経たうえで基本構想をまとめる
    地域を知ること

    5基本構想は未来から見た未来を、いまからつくること
    キュレーターや学芸員の最も大きな仕事は、未来予測

    ・電子書籍
    ・音楽資料 CDから配信
    ・ウエアラブル端末
    ・高齢化で、移動図書館まで来られるか?
    ・図書館の運営~費用

    6図書館を形に~「基本計画」「整備計画」
    ワークショップは「主体形成」でなければならない
    ただのヒアリングにしかなっていないことが多い

    意見を集約し、「できる・できない」を明確にし、全員で取捨選択していくこと
    「できない」理由を詰める必要がある

    7ハード面とソフト面は切り分けて外注すべき

    <大七章 「発信型図書館」のためのアイデアのつくり方>
    1ワークショップの罠
    ワークショップでのアイデア創造で大切なのは、集団のなかでアイデアが構造化され、集約されること、つまり一人のアイデアが全員のものになっていくワークショップの過程のなかで「一人ひとりが意見を出し合ったからこそ多様化したアイデア」と「ひ鶏では考えつかなかった、まさに求めていた唯一のアイデア」を同時に達成することに意味がある

    「なんでもできる、自由であるということは、何もできないに等しい」切り捨てるべき部分は切り捨てる、あるいは先送りにするものは先送りする。その中で絶対に欠かせないものをきちんと残し正しく評価する。

    2図書課でみつけるアイデア「百連発」

    桑名市立中央図書館~館内サイン
    http://kuwana-library.jp/

    東京都大島町図書館
    http://www.its-mo.com/c/%E5%A4%A7%E5%B3%B6%E7%94%BA%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8/DIDX_ZPOI%2C00000000000000225629/

    奄美高校図書館
    http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/Amami/library.html

    3アイデア+マラソン=「アイデアソン」

    たすらアイデアを出す 否定的な意見はいわない

    4書くブレインストーミング「ブレインライティング」
    書きだす、絞り込む

    5
    「聞きたいこと」と「発表したいこと」を最大にする会議「アンカンファレンス」そして「ライブラリーキャンプ」
    アンカンファレンス~ひとつの話題につき15分から30分くらいで少人数のグループで議論。それぞれのグループの発表を模造紙やホワイトボードに掲示+空白欄。
    空白欄には、参加者の「話したいこと」「聞きたいこと
    」を書いてもらう司会者は集約。発表
    http://kosenconf.jp/?014tokyo%2F%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

    ライブラリーキャンプ~キャンプでアンカンファレンスをする

    6図書館を発信「メディアリレーションとロビイング」
    地域メディアとの付き合い、じぶんたちの活動を知ってもらう。ひいては議員などにも伝わる。例)イベント取材(プレスリリース)~メディアの目に触れるための工夫。記者教育(専門ではない記者に基本機能を伝える)記者とのパイプつくり。

    7見せるから伝わる~アドボカシー
    アドボカシーとは、自分たちの活動を広く周知するためにおこなう、ある種のプロモーションやマーケティングの一つ。

    例)バッジをつくるー目にとまるー説明をするー活動内容(取り組み)を知ってもらえるー活動意義が広まる

    名刺の制作と活用

    8自分の財布をもつ「ファンドレージング」
    資金問題を解決する方法~クラウドファンディングREADYFOR?
    例)海士町図書館

    第八章 図書館の拡張
    1図書館で企業は可能か?
    現在の産業支援のための棚の見直し~実際に使う人のニーズ(リサーチクエスチョン)に寄りそう

    大企業の調査部門のようなところを図書館が担い、中小企業のために提供など。
    例)補助金、助成金、公募プロジェクトなど情報まとめ

    *特定企業の手伝いではなく、地域産業の活性化=税収

    2図書館の役割は知の総合コンサルタント
    「議会支援」と「行政支援」
    議会支援~政策調査局にかわれるような形、議員の調査のための手伝い

    行政支援~市長、議員ための資料調達

    図書館オリジナルの情報ソース

    3図書館のサードプレイス、をどう生かす?「市民活動支援」と「市民協働」のあり方

    ファーストプレイス~自宅
    セカンドプレイス~職場、学校など
    サードプレイス~そのどちらでもない中間地点

    ただし、ただの居場所ではなくコミュニティーの場としても。市民活動のために。
    また、本を通じることであらたな出会いを作ることができる。人と人をつなぐための場

    P167このように、自分自身がどういった関心をもっているかを社会的に発信しやすい本がたくさん集まっている図書館は非常に強い「場」の力をもっているのです。

    P166図書館をただの「静かな場所」にしておくのはもったいないのです。本というのは非常に強いメッセージ性をもっているもの。赤の他人でも同じテーマの本を読んでいるというだけで、一瞬でつながり合うことがでくのはそのためです。

    4魅力再発見は図書館の「観光支援」で
    図書館のおこなう「観光支援」
    地域情報の充実から観光へ
    図書館そのものが観光の重要なコンテンツになりうる

    5新しいことが起こり続けるデジタルアーカイブ
    図書館の持っている資料を可能なかぎりデジタル化して、どこからでもみられるようにすること

    「リアル」な世界と「バーチャル」な世界の関係性を一体化して捉える~つまりバーチャルな関係(SNSの世界)で知り合うことで、実際に会う関係も強くなりうる。つまり二項対立で考えるよりも一体化して捉えていくべき

    電子書籍~検索可能

    6図書館は「オープンデータ」の守護神になるのか
    オープンデータの画期的取り組み例
    京都府立総合資料館「東寺百合文書」
    「せとうちデジタルフォトマップ」

    なぜオープンにするのか?知識や情報を保存して提供するだけではなく、知識を再生産する力をもつことが重要

    各自治体のオープンデータを検索できるように収集すべき(政府によるオープンデータカタログサイトの休止)

    7「MOOC]で学習の地域間格差をゼロに
    MOOC http://mooc.org/
    JMOOC~gacco http://gacco.org/

    Coursera https://www.coursera.org/
    edX https://www.edx.org/

    参考文献
    図書館のためのジャーナリズム
    「千代田図書館とは何か」柳与志夫2010
    「知識の経営と図書館」(図書館の現場8)柳与志夫2009
    「図書館制度・経営論」(ライブラリー図書館情報学4巻)柳与志夫2013
    「つながる図書館」猪谷千春2014
    「未来をつくる図書館」菅谷明子2003

    図書館のための教科書
    「市民の図書館」日本図書館協会編1976
    「中小都市における公共図書館の運営」日本図書館協会1973
    「図書館情報技術論」(ライブラリー図書館情報学3)日高昇治2013
    「法情報サービスと図書館の役割」勉誠2009
    「図書館情報学」上田修一/倉田敬子2013
    「新しい時代の図書館情報学」山本順一2013
    「シリーズ図書館情報学1」根本彰2013
    〃2と〃3

    図書館比較研究
    「公文書をつかう」瀬畑源2011
    「シビックスペース・サイバースペース」山本順一訳2013
    「図書館空間のデザイン」益子一彦2011
    「本棚の中のニッポン」江上敏哲2012

    個性豊かな図書館ドキュメンタリー
    「つくる図書館をつくる」鈴木明2007~多摩美術大学図書館
    「明日をひらく図書館」宮下明彦2013~長野
    「せんだいメディアテークコンセプトブック」2005
    「図書館はコミュニティ創出の「場」」小林麻実2009~六本木
    「町立図書館をつくった」白根一夫2008~島根
    「図書館はまちの真ん中」竹内比呂也2007


    高齢化する図書館へのそなえ
    「高齢社会につなぐ図書館の役割」溝上智恵子2012
    「図書館に通う」宮田昇2013
    「デンマークのにぎやかな公共図書館」吉田右子2010

    読ませる図書館づくり
    「触発する図書館」2010
    「地域と図書館」2006
    「図書館を遊ぶ」渡部幹雄2003
    「本と人をつなぐ図書館員」山内薫2008

    図書館をメンテナンス
    「図書館を使い倒す」千野信浩2005
    「図書館に訊け」井上真琴2004
    「情報基盤としての図書館」根本彰2002
    「続〃」(図書館の現場3巻)2004

    図書館コミュニティのヒント
    「学習権を支える図書館」種村エイ子2006
    「地域を変えるデザイン」筧祐介訳2011
    「地域を変えるミュージアム」玉村雅敏2013
    「人が集まる「つなぎ場」のつくり方」ナカムラクニオ2013
    「本の逆襲」内沼晋太郎2013
    「本の未来をつくる仕事」内沼晋太郎2009

    図書館とまちづくり
    「つなぐまちづくりシビックデザイン」福留強2013
    「廃校が図書館になった」2012藤原書店
    「山あいの図書館と地域のくらし」沢田正春1992~置戸町

  • 図書館業務に関わる者として、読んでいてわくわくしてきます。
    ただここに書かれていることを実行するとなると、けっこう地味にハードルが高いということも感じつつ読み進めました。
    いろいろ試してみるうちに、『ハードル』を乗り越えられるのかもしれませんが。

    とにかく、色々考えました。まだうまくまとまっていません。

  • 「市民の誰もがそこに存在しうる場」それが公共性。
    「ひとつとして同じ図書館はない」

  • 図書館業界(非正規)で数年やっている者としては、「わかっているんだけどできないんだよ」という内容。
    考えている人は、情報集めてるし(情報屋だから)、案もある。
    しかし、図書館トップって、民間をのぞいたら、「何も分からない行政の人が急にやってくる」タイプが多く、定年退職後の天下りポストだったりすることもあり、図書館を理解しようという気がない。
    自己流で足を引っ張ることも。
    大変です。

    この著者の原点はICU図書館、そして「地域色」を主張しながらも、それは図書館の機能「情報・知識へのアクセス・・・誰もが必要とする本・雑誌・オンラインデーターベース、インターネットなどの整備」の上に成り立つと説く。
    同感です。そして、そこに「地域色」が乗る。
    ・・・もともと図書館ってそういうものだよね。
    目に見える連携ができてなかっただけで、概念・使命としては。「未来」というより「原点」ではないかと。

    しかし、現状では、「基本機能」が怪しくなってきている図書館が多いと感じます。肌身で。
    そもそも、日本には図書館専門職がほとんど存在しないわけだし。
    その中で、時給で働く熱意ある図書館員がなんとか保っているわけで。

    ということで、この著者は図書館員に話をするのではなく、自治体のトップ、大学のトップに話をしに行かねばならないと思う。ぜひ、行ってほしい。

  • 現状が良くまとまっていて、図書館について今一冊だけ読むならコレだろうという感じ。図書館がお金を稼ぐ方法なんか、例えば美術館や博物館で既に何十年前からやってることを取り入れるだけでも随分違うはずだけど、中の公務員さんは前例がないからってやりたがらないのだよねえ…

  • 本屋と図書館は、もっともっと面白い場所になれるはずだと思っている。では具体的に? と問われると答えられないので、そのたぐいの本が気になる。本書もひょっとしたら、と手にとった。
    が、本書の中にもぼくの行きたい図書館はなかった。ビジョンが大事、と何度となく強調されるし、それはもっともだと思うが、残念ながらビジョンは「世界を平和に」みたいなものであって、それ自体はあまり面白くはない。一つとして同じ自治体はないのだから、図書館もそれぞれ異なっているべきだ、という主張にも一理あるが、ではどのように? という話になると、メガネフレーム製造が盛んな町の図書館はメガネフレームに関する資料が豊富、みたいな例が出てきて、なんだかな。

    夢の図書館の話が読みたかった。

  • 一つとして同じ図書館はない。それぞれの地域や環境に適した、市民本当に求められる・必要な図書館とは何かを考えるためのヒントがある。読んでいると実はこれは図書館の話に限ったことではなく、何らかの(ハコものなどの)企画にも通じる指摘が多いのではと思う。

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著者プロフィール

1973年、東京都生まれ。アカデミック・リソース・ガイド株式会社(arg)代表取締役、プロデューサー。ヤフーで「Yahoo!知恵袋」のプロデュースなどを担当し、2009年に起業して現在に至る。日本各地で図書館のプロデュースに関わる。著書に『未来の図書館、はじめます』(青弓社)、『ウェブでの〈伝わる〉文章の書き方』(講談社)、共著に『未来の図書館、はじめませんか?』『図書館100連発』(ともに青弓社)、共編著に『ブックビジネス2.0――ウェブ時代の新しい本の生態系』(実業之日本社)など。

「2022年 『司書名鑑 図書館をアップデートする人々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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