ツチノコの民俗学: 妖怪から未確認動物へ

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  • 青弓社
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787220295

作品紹介・あらすじ

江戸期には妖怪として畏怖されてきたツチノコは、1970年代に幻のヘビとして日本中を騒がせ、未確認動物として実在と不在の渦のなかでいまでも夢を与えつづけている。民間伝承では恐怖の存在だったツチノコが、マンガや観光資源になった足跡をたどる文化史。

感想・レビュー・書評

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  • ツチノコってどうして人気があるのだろう。同じUMAでも雪男やネッシーと比べるとずいぶんと地味だ。いたってなんの不思議もない風体で、だいたい見た目そっくり(?)のトカゲがいる。ひょっとそのへんの草むらから出てきそうな親近感が人気の秘訣なんだろうか?

    面白いなと思うのは、坂道はごろごろ転がって移動するとか、猛毒があるとか、想像なのか体験談なのかよくわからない属性がくっついてくること。きっとこうだ、という思い込みがいつのまにか体験談に変換される過程はデマの発生過程でもあるけれど、相手がツチノコであれば微笑ましい。
    おそらく各地のツチノコ伝承も、似たような過程を経て成立してきたものなのだろう。

    ただ本書はまとまりに欠け、いまいち緊張を持続しにくい。蛇関係の民間伝承から、山本素石、水木しげる、矢口高雄に至る「ツチノコっぽい話」をいっぱい集めてきた、という印象だ。ツチノコ関連の文書なら片端から読みたい、という人には面白いかもしれない。

  • ツチノコはいかにして未確認生物になったのかが、時代背景とともによくわかる。ある一定の年齢の人たちにとっては、懐かしさ満載の本だ。あーこれ見た見た!と楽しく読了。

  • これからの季節ヘビを見かけることも多くなると思われますので「幻のヘビ」「ツチノコ」の本を紹介します。この本は「ツチノコ」が存在するのかしないのかという点には深入りはしていません。昔は妖怪として恐怖の存在だったが、「幻のヘビ」として世間を騒がせ、マンガに登場し観光資源にもなっています。マンガを通して海外にも紹介されますが、「ツチノコ」を何て訳すの・・・未確認動物なので訳で伝わらないのが残念!!

  • ツチノコという存在が民族社会において妖怪からどのように現在のUMAとして変遷していったのかを追った一冊。中心となるのは現在の「ツチノコ」という姿に集約される以前のツチノコ像を描く点にある。
    ツチノコに限らずこうした現象はUMA全般に見られる傾向ではあり、その具体的なケーススタディとして興味深い。

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著者プロフィール

1972年、北海道生まれ。國學院大學文学部教授。専攻は伝承文学。著書に『江戸の俳諧説話』(翰林書房)、『ツチノコの民俗学――妖怪から未確認動物へ』『江戸幻獣博物誌――妖怪と未確認動物のはざまで』『ネットロア――ウェブ時代の「ハナシ」の伝承』『何かが後をついてくる――妖怪と身体感覚』(いずれも青弓社)、『怪談おくのほそ道――現代語訳『芭蕉翁行脚怪談袋』』(国書刊行会)、『ヌシ――神か妖怪か』(笠間書院)、共著に『現代台湾鬼譚――海を渡った「学校の怪談」』(青弓社)、『恋する赤い糸――日本と台湾の縁結び信仰』(三弥井書店)、編著に『福島県田村郡都路村説話集』(私家版)、共訳に尉天驄『棗と石榴』(国書刊行会)など。

「2023年 『怪談の仕掛け』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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