日本の精神医療史: 明治から昭和初期まで

著者 :
  • 青弓社
2.83
  • (0)
  • (1)
  • (3)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 37
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787233349

作品紹介・あらすじ

明治期の西洋医学の導入以降、精神病者の治療・保護・監視に関する法律が制定されて、精神病院が作られていく精神医療史を追い、呉秀三らによる『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察』を精読する。国内や朝鮮半島を視野に精神医療史をレクチャーする。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私宅監禁されている精神病者の写真や扱われ方などの記録は壮絶。

  • 私宅監置についての参考になる

  • 金川英雄『日本の精神医療史』青弓社、読了。本書は副題の通り「明治から昭和初期まで」の日本精神医学史を資料をもとに丹念に読み解く労作。日本の精神医学の礎を築いた呉秀三と樫田五郎の著書『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察』(1918年)を腑分けし、隔離・監禁の歴史を辿る。

    精神障害者は元々警察の間隔であり、精神医療は「私宅監禁」(座敷牢)に対する告発だったのには驚く。呉らの努力は医療行為としての隔離・監禁は私宅監禁を消滅させる変わりに、病院による隔離・監禁を産みだした。長期隔離入院の現実の出発か。

    さて本書の白眉は、朝鮮半島での精神医療の展開についての記述(日本による西洋医学の導入史)。「宣教医師」らの活躍は本書で初めて知ることが多い。但し、文明としての医療と善意の問題について(「パンセ・ソバージュ」)、大いに考えさせられる。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1953年生まれ。1980年3月、昭和大学医学部卒業、84年3月、昭和大学大学院医学研究科博士課程修了。昭和大学附属烏山病院、昭和大学医学部助手を経て、93年10月から東京武蔵野病院、2013年4月から横須賀市立うわまち病院、15年4月から関東労災病院勤務、18年7月から国立病院機構埼玉病院に勤務、19年4月に精神科外来を立ち上げ、現在、精神科部長。2002年3月に慶應義塾大学文学部卒業、帝京平成大学客員教授を経て、13年7月から昭和大学精神神経科教室客員教授。医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医。著書に『三浦半島の医療史――国公立病院の源流をたどる』『日本の精神医療史――明治から昭和初期まで』、共著に『精神病院の社会史』(いずれも青弓社)、翻訳・解説に『[現代語訳]呉秀三・樫田五郎 精神病者私宅監置の実況』(医学書院)、『[現代語訳]わが国における精神病に関する最近の施設』(青弓社)など。

「2020年 『感染症と隔離の社会史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

金川英雄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮下奈都
トレヴァー・ノー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×