- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787234568
作品紹介・あらすじ
「日本に経済格差はあるが、文化的には平等である」――戦後、こういった神話が語られてきたが、はたして本当に平等と言えるだろうか。平等だと言うことで、どういう現実が覆い隠されてきたのだろうか。
ピエール・ブルデューの『ディスタンクシオン』の問題意識と方法を共有しながら、社会調査や計量分析を基に、日本の文化資本の機能を読み解く。
芸術・音楽・読書などの趣味とジェンダー/ライフスタイルの関係、趣味を通じた友人のネットワーク形成、家庭の文化資本が学歴や地位の形成に及ぼす効果とその男女差などの分析を通して、日本における文化的オムニボア(文化的雑食性)という特性とジェンダーによる文化の差異を浮き彫りにする。そして、日本で文化の再生産が隠蔽されてきたメカニズムを解き明かす。
目次
序章 文化的平等神話
第1章 趣味の社会学の成立と展開
第2章 文化資本、ハビトゥス、実践
第3章 階級・階層から差異の空間へ
第4章 文化的オムニボアと象徴的境界――現代の文化資本とは何か
第5章 写真イメージにみる美的性向
第6章 文化消費の構造と階層・ジェンダー
第7章 階層再生産と文化的再生産のジェンダー構造――地位形成に及ぼす読書文化と芸術文化の効果
第8章 教育達成過程での家族の教育戦略とジェンダー――文化資本効果と学校外教育投資効果のジェンダー差を中心に
第9章 ジェンダーと文化――なぜ男の子はスポーツで、女の子はピアノなのか
第10章 バウンダリー・ワークとしての友人選択とハビトゥス――友人選択の基準にみる象徴的境界とライフスタイルの諸類型
第11章 階級のハビトゥスとしての文化弁別力とその社会的構成――文化の評価システムと社会階層
あとがき
感想・レビュー・書評
-
趣味について大規模な統計を取るのは大変だけど、この本の研究はきちんとランダムなサンプルで統計処理をかけて、計量的に議論されていた。基本的なことだけど、感心した。90年代に国内でこのレベルで趣味に関する研究をやっていたのは先進的だったのではないか。
男性と女性で出身家庭の文化資本の影響が異なる点が興味深かった。男性では出身家庭の文化資本が高くてもオムニボアになり、成人してからの文化活動に直結しない。一方で、女性では出身家庭の文化資本が長じてからの趣味に反映され、また学歴や経済社会的地位に有意に影響する。
男性はサラリーマンとなり能力で戦いながら趣味の面では「出る杭」を避ける。女性は上品なお嬢さんとして良い配偶者を見つける。そのような伝統的な性別役割分担が背景にあるというのだが、その点は計量調査ではなくインタビュー調査で補強していた。
1990年代の調査内容が主なので、やや古い感は否めない。現代ならば女性にも、社会進出の効果でオムニボア化が検出されるのではないかと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
烏兎の庭 第七部 10.7.23
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto07/doc/shumi.html -
【電子ブックへのリンク先】
https://kinoden.kinokuniya.co.jp/muroran-it/bookdetail/p/KP00047931/
学外からのアクセス方法は
https://www.lib.muroran-it.ac.jp/searches/searches_eb.html#kinoden
を参照してください。 -
ブリュデューを日本社会で解釈する本だが、別に入門書ではなく、ブリュデューの概念ををある程度理解している必要があるので、読めなかった。
-
昨今国内の格差社会も取り立たされているが、感覚値としてもっていたことをデータをもとに実証してくれる良書。参考データが20年近く前のため、もう少し現代的な趣味をいれて最新版を見て見たいところ。
-
東2法経図・6F開架:361.5A/Ka83s//K
-
日本は文化的には平等なのか。
ピエール・ブルデューの「ディスタンクシオン」の問題意識と方法を共有しながら、社会調査や計量分析を基に、日本の「文化資本」について論じる。
なぜ男の子はスポーツで、女の子はピアノなのか。
友人選択の基準、など。
[目次]
序章 文化的平等神話
第1章 趣味の社会学の成立と展開
第2章 文化資本、ハビトゥス、実践
第3章 階級・階層から差異の空間へ
第4章 文化的オムニボアと象徴的境界--現代の文化資本とは何か
第5章 写真イメージにみる美的性向
第6章 文化消費の構造と階層・ジェンダー
第7章 階層再生産と文化的再生産のジェンダー構造--地位形成に及ぼす読書文化と芸術文化の効果
第8章 教育達成過程での家族の教育戦略とジェンダー--文化資本効果と学校外教育投資効果のジェンダー差を中心に
第9章 ジェンダーと文化--なぜ男の子はスポーツで、女の子はピアノなのか
第10章 バウンダリー・ワークとしての友人選択とハビトゥス--友人選択の基準にみる象徴的境界とライフスタイルの諸類型
第11章 階級のハビトゥスとしての文化弁別力とその社会的構成--文化の評価システムと社会階層
あとがき -
【書誌情報+内容紹介】
『趣味の社会学 ―― 文化・階層・ジェンダー』
著者:片岡 栄美
版型:A5判 430頁 並製
定価:4000円+税
ISBN:978-4-7872-3456-8 C0036
発売日:2019年09月13日
「日本に経済格差はあるが、文化的には平等である」――戦後、こういった神話が語られてきたが、はたして本当に平等と言えるだろうか。平等だと言うことで、どういう現実が覆い隠されてきたのだろうか。
ピエール・ブルデューの『ディスタンクシオン』の問題意識と方法を共有しながら、社会調査や計量分析を基に、日本の文化資本の機能を読み解く。
芸術・音楽・読書などの趣味とジェンダー/ライフスタイルの関係、趣味を通じた友人のネットワーク形成、家庭の文化資本が学歴や地位の形成に及ぼす効果とその男女差などの分析を通して、日本における文化的オムニボア(文化的雑食性)という特性とジェンダーによる文化の差異を浮き彫りにする。そして、日本で文化の再生産が隠蔽されてきたメカニズムを解き明かす。
〈https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787234568/〉
【簡易目次】
序章 文化的平等神話
第1章 趣味の社会学の成立と展開
第2章 文化資本、ハビトゥス、実践
第3章 階級・階層から差異の空間へ
第4章 文化的オムニボアと象徴的境界――現代の文化資本とは何か
第5章 写真イメージにみる美的性向
第6章 文化消費の構造と階層・ジェンダー
第7章 階層再生産と文化的再生産のジェンダー構造――地位形成に及ぼす読書文化と芸術文化の効果
第8章 教育達成過程での家族の教育戦略とジェンダー――文化資本効果と学校外教育投資効果のジェンダー差を中心に
第9章 ジェンダーと文化――なぜ男の子はスポーツで、女の子はピアノなのか
第10章 バウンダリー・ワークとしての友人選択とハビトゥス――友人選択の基準にみる象徴的境界とライフスタイルの諸類型
第11章 階級のハビトゥスとしての文化弁別力とその社会的構成――文化の評価システムと社会階層
あとがき