19世紀ロマン派を代表するフランスの作曲家、指揮者、そして音楽評論家。1803年にフランス南部、ラ・コート・サンタンドレに生まれ、69年にパリで65年の生涯を閉じる。ベルリオーズの父親は医師で、決して音楽的な家庭環境ではなかったが、彼は子どもの頃からフルートやギターに親しんだ。その後パリで自らも医学を学ぶが、音楽に心を捕らわれ、パリ音楽院でル・シュールの教えを受けた。27歳のときの作品である『幻想交響曲』(1830年初演)は、いわゆる「標題音楽」の試みであり、女優ハリエット・スミスソンへの恋が原動力となって書かれたといわれる。その他『イタリアのハロルド』(1834年初演)、『ファウストの刧罰』(1846年初演)、そして彼が情熱を注ぎ込んだ大作オペラ『トロイアの人びと』(第2部だけ1863年初演)などが特筆すべき作品だが、『トロイア』は彼の存命中に全曲上演されなかった。また著作としては有名な『回想録』(2巻、1870年)の他に、『近代楽器法と管弦楽法大論』(1844年、改訂版1856年)があり、彼が新しいオーケストラの色彩を開発したことは大変重要である。
「2007年 『音楽のグロテスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」