ライトノベルとは、何なのか。
ライトノベルを定義づけるのは難しい。そもそも、いわゆる“文学”と”ライトノベル”を分けることができるのか。なんだって、今はブンガクサクヒンと呼ばれている小説だって、発表された頃は娯楽を提供するだけだ、と下に見られていたものもあっただろう。そんなことを言いだすと、ボーダーなんて溶解して、定義なんて崩壊してしまう。
確かに、中心部のラノベは「萌え」ありき、キャラクターありき。だから、イラストが重要。挿絵も入っている。けれど、周縁部に位置する越境作家たちは、ラノベとして出た作品を、一般向けに再販する。そのとき、イラストの表紙はオシャレなものに替えられ、挿絵はなくなる。さらに、一般的な小説が、漫画家やイラストレーターの描くカバーに替えられて、いわゆる“ラノベ読者”向けに売られる。そもそも一般的な文庫のレーベルだって、内容を考えると、軽すぎない? と思う小説も入っているし、ラノベと見まがうイラスト表紙を付けているものもある。さあ、ライトノベルって何?
結論まで辿りついた感じはせず、それで? とも思ったけど、研究対象にして、これまでの言説をまとめたのは好印象。