アフリカン・アメリカン児童文学を読む 子どもの本という「励まし」 (神奈川大学人文学研究叢書 47)

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  • 青弓社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787292650

作品紹介・あらすじ

拉致、奴隷化、尊厳の剥奪、隔離、共同体内での分裂など、複雑で艱難辛苦の連続だった歴史をもつアフリカン・アメリカンが書く児童文学は、多様性の希求やルーツの受容、他者との連接を目指してきた。社会的に「見えない」子どもの感情を可視化し、抑圧された環境下でも協働して人間らしく生き延びようとした集団の強さを描く作品は、あらゆる子どもへの「励まし」の役割も担う。

1920年代にアフリカン・アメリカンの子どもへの「励まし」の土台を作った雑誌「ブラウニーズ・ブック」、キング牧師の思想を継いでアメリカの人間像の多様性を訴えた作家ミルドレッド・テイラーの「ローガン・サーガ」、奴隷制時代の過去の記憶と現代を生きる子どものサバイバルを結び付けて描いたヴァジニア・ハミルトンの『偉大なるM・C』『マイゴーストアンクル』『ジュニア・ブラウンの惑星』、逃亡奴隷の支援ネットワーク「地下鉄道」の「車掌」を務めたハリエット・タブマンの2つの伝記、ハーレム地区の複雑な人間関係と利害を超えた結び付きを描いたウォルター・ディーン・マイヤーズの『ニューヨーク145番通り』ほか、多数の作品を取り上げてアフリカン・アメリカン児童文学の軌跡をたどる。

奴隷制度や人種差別の苦痛を描きながらも、それを「生き延びた」ことの強さにあえて焦点を当て、現代を生きる子どもに新たな視点と励ます力を与えるアフリカン・アメリカン児童文学がもつポテンシャルを描き出す。

目次
序 章 アフリカン・アメリカン児童文学と「励まし」
第1章 アメリカのなかの他者
第2章 アフリカン・アメリカン児童文学の輪郭
第3章 「ブラウニーズ・ブック」の意義――「励まし」の萌芽
第4章 「わたしには夢がある」への応答
第5章 歴史の受容
第6章 ネットワークの形成
第7章 言葉の力

感想・レビュー・書評

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  • ダ・ヴィンチ20228掲載 評者:あつしな・るせ

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著者プロフィール

東京都生まれ。神奈川大学外国語学部教授。専攻は英語圏児童文学・文化。共著に『マイノリティは苦しみをのりこえて――アメリカ思春期文学をよむ』(冬弓舎)、『子どもの世紀――表現された子どもと家族像』(ミネルヴァ書房)、論文に「イギリスファンタジーにおけるポストコロニアリズムの問いかけ――サバルタンとしての借り暮らしの小人」(「児童文学研究」第45号)、「ディズニーの長編アニメ映画における王国――Frozenのアレンデルを中心に」(「白百合女子大学児童文化研究センター研究論文集」第22号)、“The Child within Alice: Boys' Characteristics and the Mockery of Male Adults”(「英語圏児童文学研究 Tinker Bell」第64号)、「太平洋戦争下の翻訳児童文学への「児童読物改善ニ関スル指示要綱」の影響――The Chinese Ink Stick(1929)と『支那の墨』(1942)を手がかりに」(「白百合女子大学児童文化研究センター研究論文集」第24号)など。

「2022年 『アフリカン・アメリカン児童文学を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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