社会理論入門―ニクラス・ルーマン講義録2 (ニクラス・ルーマン講義録 2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787709004

作品紹介・あらすじ

ビーレフェルト大学において1992/93年冬学期に開講された「社会」とは何かを徹底的に問うた入門講義(全13回)の全訳。ルーマンの問題意識、それへの取り組み、さらにその取り組みを積み重ねていく過程が、つぎからつぎへと語られていく。

感想・レビュー・書評

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  • さすがルーマン、重かった。
    社会というシステムの最小単位は人ではなくコミュニケーション(人と人の差異)
    自己記述の話がすきだ。
    循環命題とバランスについて。
    歴史的学習や知識の体系化の重要性を再認識。

    メモ
    積極的立場の獲得←変化の準備の必要性

    自分自身から常に引用し、外部からは刺激をうけるだけで論駁される事のない循環的理論モデルによってどのような学問成果が得られるかはまだわかっていない。

    示したいこと
    社会が世界を記述し、社会自体と人間を記述するそうした意味論、運命、不幸、不正などを理解しうるものを試みる意味論が決して任意に定式化されるものではない。

    システム論、社会は差異
    一定の性質を持った対象+差異
    差異とは多様性のコアか?

    ある面における差異の内側
    社会が何を行い、どのように作動し、いかに観察し、どうコミュニケートするかを見る傍で社会自身を生み出す。

    締め出し効果: 境界の反対側が社会の自己記述の中にいかにして現れるか。私たちはこのことを社会の中に立ち戻ってコピーできるか?

    社会の中でのコミュニケーション的手段をもって、人間に、個人に、また環境に対して配慮できるか?

    包括的システムという概念
    ・伝統からは何も学ぶところがない?
    ・経験的研究方法、典型的なプロジェクト形成的研究はこの問題に対して十分でない.

    不健全で人為的、狭量、重箱の隅を突く感じ。

    ルーマンは経験論に関してかなり否定的なようだ。

    ルーマンにとっての問題
    予測に対する要求よりもむしろ複雑な諸概念の記述形式。政治的経験や発展に反応できる相互依存。

    予測の問題
    一定状況下において影響を及ぼす諸パラメーターの限定の問題。

    バシュラールの考えに基礎
    認識論的障害-歴史的な認識の遮断。時間軸が潰して見える。

    ユークリッド:人は絶えず受容し、学習する
    放棄し、忘れ、相対化しなければならないことを表すためにそれを用いる。

    社会は人間から成り立っているのか?
    システムと環境
    環境無くしてシステムなし。

    ・社会の地域化の問題ー多くの社会が存在する
    コミュニケーションを経由してすべての認識が構築され、そしれコミュニケーションを経由してのみ社会共鳴がある。

    合意が形成されていればコミュニケーションはとうに終わり、単なるおしゃべりだけのユートピアになっていくのでは?

    すべての人が元来NOといいたがっているにもかかわらず、制度化された手段を用いてYESというように仕向ける?見せ掛けだけの合意。長続きするか?

    確実性を確保するためのテクノロジーやリスク回避のためのテクノロジーが膨大に必要となる。

    リスク計算の信頼度の計算。。のための計算。。。みたいな感じか。これが当初のテクノロジーコストよりも大きくなる。

    コミュニケーション市場への依存。

    これらのことなった事柄に対して統一的分母を見出すことは著しく困難。

    電話-時間と空間の差を限りなくゼロに近づける。

    自然が何かわからなくなってくると、演出された本物らしさを目指して観光事業などが生まれる。

    シンボリックに一般化されたコミュニケーションメディアーー権力、真理、芸術、お金---かなりの確率で起こりうるNOをYESに変換することに役立つ仕組み。

    政治的紛争のコンテクスト
    ⒈個々の階層に道徳的義務を思い起こさせる道徳的議論
    ⒉現実の苦しみを引き合いにだして理想化された古い秩序を思い起こさせる議論

    世界が別の方法で秩序づけられるということまでは考えられず、考えられたのは完全な秩序としてかつて妥当していたはずのものに向かって後進するという意味での革命

    18世紀までのヨーロッパ
    社会的なものと道徳的なものが一致
    近代ー
    何が良いかなんて一体だれが規定するの?
    それまでは良き人の規定あり。同時に多くの矛盾を引き受けると爆発する?

    道徳的行為を法的に規定できるかは今なお一つの問題。

    民衆に失望し、民主主義から民主主義批判者になった左派は今や市民社会を語る。鋭い批判やな-!

    個人主義ー自立
    アラベール 1079-
    自分自身との間で合意を形成することが一つの役割

    これまでとは全く異なる時間との関係
    古い概念
    一貫性/不変/本質はいつも同時的

    現代: 過去と未来の区別から出発
    今どのように決断するか?過去どのように決断したか?ということだけが問題になる。

    過去を振り返って革新的と見なせる立場を見つけたいと思うならば、直線的な時間のうちに探してみれば良い。

    新しいものが重要になったのはいつか?
    いかなるコンテクストにおいてか?
    リスクという概念はいつ生まれたか?
    現在の未来感覚が中心テーマとなったのはいつ?

    移行期のゼマンティック

    人々がもはや古い世界のうちにではなく、古い秩序を使うことができないにもかかわらず、いかなる社会に生きているのか、いまだわからずにいる状態。

    今、社会をまるで初めから作らなければならないかのように未来に向けて進歩等に向けて語られているものが多数ある

    昔、愛と結婚は無関係だった。17世紀頃から愛の概念が小説などに発見される。家庭の中で学ばれるものではない。


    拡張された意味での愛
    芸術理論にも似たところ。詩学ー人の望むまま空想やフィクション、虚構によって詩作してよいか?
    真実や現実の世界に関わっていなければいけないのか?

    社会生活のうちでは美的な可象が必要

    包括的社会理論でかけがちな主体、個人
    ーー自己記述概念で補充

    非理性的な人によって引き起こされる事柄が問われるときにそこに見るべきものが隠される

    これらは少数派で排除されがち。(日本だと逆な気がする)

    個別性を認めた法構造を獲得
    合法的に振舞っている限り非理性的、非道徳を許す。
    主観的権利侵害を基盤とするので集合善で行われるという意味ではない。

    人格性/権利を個々人に帰属させ、法にとりこむ一方で経済や道徳、親密関係や教育に非理性的な自由を認める。

    ーー理性を強調してもそこにつねに問題があるという事実に直面した際の一つの問題回避手段に過ぎない。

    ある人が理性的とみなすことを他の誰かが絶対に認めそうもないとき、どうするか?

    理性的合意に達したあとにそれを合意と認めない人がいること。結局階級や教育に依存するのでは?

    上下から内外の区別に焦点は移った。

    過去において妥当とされていたものが未来にも妥当するかますます疑問

    重要なのは何かが決定されている時点
    --不明確な副作用や原理上不確実な未来が付随、

    人々は積極的な意味である立場に立ちたいと思う場合、それからまた別の立場を狙う一つの立場を常に持つように自分の人生を考えねばなりません。これがなくなると依存的に。

    理論は意欲といきすぎた意欲のバランスを互いにとることによってその位置が決まる。

    理論は常に自分自身と関わり、そのつどそれ自身の部分を使って働き、その一部をもって他の部分を提示するものですが、いつも自分の中を循環している。

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著者プロフィール

ニクラス・ルーマン(Niklas Luhmann) 
ビーレフェルト大学名誉教授。1968年から1993年までビーレフェルト大学社会学部教授を務めた。著書は『社会システム』の他、『社会の……』や『社会構造とゼマンティク』のシリーズなど多数。1927年-1998年。


「2020年 『社会システム 下 或る普遍的理論の要綱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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