ユートピアの崩壊 ナウル共和国―世界一裕福な島国が最貧国に転落するまで

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制作 : 林 昌宏 
  • 新泉社 (2011年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787710178

ユートピアの崩壊 ナウル共和国―世界一裕福な島国が最貧国に転落するまでの感想・レビュー・書評

  • 1968年に独立し、リン鉱石によって一人当たりGDP世界一の国が、国・個人とも放漫財政の末にリン鉱石を掘り尽くし、21世紀初めには世界最貧国に!豊かな時代は想像を絶するような不労所得の億万長者が頻出し、暇を持て余す贅沢三昧の消費者だった衝撃的実話。農業も全く廃れた。あたかも宝籤にあたって放蕩三昧した後の姿に似ている。そして今は過去の飽食による糖尿病で死ぬ人が多い。貧しさが逆に食生活の改善、釣りなどの身体の運動になり、救いになっているという強烈な皮肉!2次採掘が始まりつつあることに希望が持てたことが救いか?リン採掘後の荒れた地面が働くことを放棄した人たちの現在を象徴している。中東の産油国ドバイなどには他山の石になるし、日本も教訓にするべき点がある?日本の資源は国民の勤勉さだったが・・・。「日本、荒廃した島-資本主義文明がいかにして裕福な国を破綻させたか」の可能性は冗談ではない。

  • 大分前にこの本の存在を知り、古本屋で見つけて即購入。
    南の島でリン鉱石バブルで一時世界で一番金持ち?になった島の物語。バブル中に稼ぐ手段を作れなかった島は没落するが、難民受入ビジネスでちょっと誤魔化し、それでもやっぱり没落したお話。大きな祭りだったんだろうな。

  • “アホウドリの糞でできた国”とよばれたナウル共和国。昔から渡り鳥のすみかで、その鳥たちの糞が土壌と混ざり合ってできる“リン鉱石”は肥料の原料となり、この国をみるみる豊かにしていった。リン鉱石の採掘によって国民の生活ががらりと変わっていく様子はまるで作り話のよう。しかしそんな状況がいつまでも続くわけがなく・・・。

  • オセアニアに浮かぶナウル共和国の繁栄と没落の歴史。
    リン鉱石で巨額のマネーが流れ込み、多くの国民がリッチになった。しかし、マネーが国民を堕落させ、政治家による無計画な投資と文化の喪失、リン鉱石の枯渇、糖尿病など成人病の蔓延を生んだ。この崩壊の歴史はオイルマネーで盛り上がる中東諸国でも肥満と糖尿病が増えている。同じようにならないとよいが。

  • オーストラリア北東の島国ナウルが世界的金持ち国から、わずか数十年で経済的に困窮する国に成り下がったしまったという嘘のような本当の話。
    「資源国の罠」というがまさしくナウルがそれにあたる。
    そして窮したナウルが取った道とは、また最後に一発勝負した先とは。
    まさしく絶句である結末。訳テンポもよくうん、うーーーむと考えながら読めた。

  •  白井市より小さい(人口は1/6),世界最小の共和国。20世紀,燐鉱石(グアノ)に依存してきた経済は,資源枯渇であえなく破綻した。グローバル化が一国の経済と文化を破壊した,その顚末。一級品の題材を読みやすくまとめている良い本。
     独立後,70年代を中心とする黄金時代。燐鉱石のもたらす収入で,夢の社会福祉制度ベーシックインカムが成り立っていた。分不相応な不労所得は,国民を怠惰にし,無茶な浪費と糖尿病を蔓延させた。鉱山や飲食店で働くのは,中国人。島に一本しかない道路を,ナウル人の高級車が駆け抜ける。
     金持ち国家には,「お友達」が近づいてくる。資源枯渇を見据えて海外に投資もした。しかし凋落にはなすすべもなかった。90年代には国家の収入は激減し,銀行は破綻。国民の貯金は失われた。
     経済が破綻したナウルは,不正行為に手を染める。パスポートを事実上無審査で発行し,タックスヘイブンへの転身で資金洗浄に手を貸した。国際的な批判が高まると,難民受け入れで収入を確保。捕鯨,国家承認など,国連での発言権を利用して,大国から援助を引き出すことも忘れない。…しかし,この転落ぶりには戦慄した。最近では再採掘という少し明るい話題も出ているようなのが救いではあるけれど。
     「終わりは来る」と思っていても,人間ってこうなのか,と思う。ナウルは消滅こそしていないが,ダイヤモンド『文明崩壊』にはそういう事例が多くあった。そういう人間の弱さ・愚かさを,人類全体にあてはめて考えると,やはり絶滅という未来しかないのだろうな。それが近い未来にならないように,歴史に学ばなくては。

  • 1970年代に資源で一山あてて富を得た国がBIに無償医療に...とした結果破綻した実話。

  • 南太平洋に浮かぶ珊瑚礁の島、世界で最小の国、ナウル共和国。この島は渡り鳥によって作られた高純度のリン鉱石により一時期、世界で最も裕福な島になり、そして資源の枯渇によって財政破綻を経験した。働かずして全てを与えられた国民は、車で一周するのに30分もかからない島で高級車を買いあさり、その車が不調になると修理もせずに道端に乗り捨て新車を購入し、最高の医療を得ていた・・・。信じがたい島の歴史と生活は、ドバイなど石油によって国民の生活が潤う国々の未来にも示唆を与えるようだ。そして、ナウルの未来はいかに。経済と政治が地に落ちた後は、「家事」すらできない島の人々を教育するところから始めなくてはいけない。資源の尽きたナウルに手をさしのべる国は、国連での発言権が欲しい台湾や、捕鯨の票が欲しい日本、難民問題を解決したいオーストラリア等であった。世界でもっとも小さい島国をめぐる出来事は、幸福とは何か考えさせられて、非常に興味深かった。

  • 「現代において物々交換が復活するのは、社会がどん底に陥ったときである」
    それがナウルの現状だ。

    リン鉱石という資源ひとつで世界一裕福な国になったナウル共和国。
    そのナウルが政治の失敗や人間の弱い部分などより最貧国に転落した。


    そんな絶望の物語である反面、最後にはかすかな変化が見えた。


    政治の失敗だとかテクニカルな部分も重要な話だが、
    絶望の中にもかすかな光は見えてくるもんなんだなっていうことを感じて最後は少しスッキリできた。

  • ナウル共和国の盛衰をルポ風にまとめてあります。
    ドキュメンタリー作品のついで、みたいな感じで作られたようなので、
    写真等視覚に訴える部分は良かったと思いますが、
    もう少し深い考察が欲しかったかな。

  • 世界で三番目に小さい人口一万たらずの国。リン鉱石の採掘で莫大な富を得た後に資源の枯渇や需要供給のバランスが崩れて、借金大国に。
    小さくても独立国であるから、国連の一票を持つ国に対して大国の思惑が絡まってくる。いろいろなことを考えさせられる。

  • ナウル
    人口約1万人
    太平洋に浮かぶミクロネシアの国 
    バチカン市国やモナコ共和国と並ぶ小さな国

    アホウドリの糞が化石化した,リン鉱石の輸出で,1970年代には世界でもトップクラスの富裕国となる
    面積約20平方kmの島にベンツやランボルギーニが輸入された...

    しかし20世紀末にリン鉱石は枯渇
    豊だったころの外国への投資もそのほとんどが失敗
    現在は世界の中でも最貧国の一つに数えられる

    私たちはこの国から何か教訓を得ることができるだろうか…

  • 小さな島にリン鉱石がみつかったことから
    急速に豊かになり、
    国も国民も欲望に任せてとことん浪費。

    ほとんど金融の知識もない国が
    寄ってきた金融詐欺師に騙されて巨額の海外投資をし、
    元本をすべて失う。

    数十年でリンが尽きてしまい、
    借金で国が運営できなくなる結末を迎える。

    あげくには、パスポートを無審査で発行したり、
    マネーロンダリングの温床になったり
    各種犯罪のよすがを提供することになってしまった。

    『いったん物質的に満たされると、自らの文化を疎かにし、過去の教訓を忘れ去り、自らの住環境を顧みない。こうした人間の性こそがナウルの歴史でしょう。ナウル人であろうが、西洋人であろうが、中国人であろうが、この点においては、われわれ全員が同じなのではないでしょうか』

    このように本書は結んである。

    「リン鉱石」を「石油」に置き換えたら、
    ナウルの変遷は近視眼的な人類の今後を暗示していると思われてならない。

  • ナウル共和国。バチカン市国、モナコ公国に続き、世界最小の共和国ということで名前は知っていた。南洋の穏やかな国のイメージをもっていた。
    その歴史がこんなショッキングなものとは。

    良質なリン鉱石が採れたばかりに、島全土で乱開発が進み、1人あたりGNPが日本が1万ドル弱、米国1万4千ドル程度だった1980年代初頭に、ナウルは2万ドルを誇るまでになった。

    漁業による自給自足の経済から、突然、リン鉱石の輸出により何もしなくてもベーシックインカムで金が勝手に口座に振り込まれるように。
    だから、働いて稼ぐことを知らない。

    一周30分で回れる狭い国土に不要だと思える高級外車を買い漁り、食事は外食しか行わなくなり、海外にショッピングに出向き散財した。

    リン鉱石が枯渇し、国に唯一あった国立銀行も破綻して預金の引き出しも出来なくなった今では、
    働いて稼ぐ経験をしたことがない彼らは、生きていくには漁業による自給自足の生活に逆戻りするしかない。かつての遠い祖先が行っていたように。

    富は失っても、いまだにダントツで世界一の肥満国(2008年のWHOの調査によると、国民の79%が肥満)であり、多くの国民が糖尿病で苦しむ。

  • 本書の筋や主張は読んでもらったらわかると思うが、へーっておもったことの一つは日本が様々な国に経済援助をしていることの理由の一つは捕鯨の、国連での議会での承認を得るためなんだ、ってこと。

  • 1970,80年代頃に世界一の一人あたりGDPを享受したオセアニアの島国が、政府高官が自分の食事のために釣りをしなければならなくなるほどの最貧国に転落するまでのルポ。

    渡り鳥の中継地点にあったナウル共和国は、渡り鳥の分が蓄積し、グアノというリン鉱石(肥料になる)が大量に蓄積されていた。(同じくグアノが蓄積していた南米の地域でも街が一気に出来て、一気に寂れて、ということがあったようだ。「空気を変える錬金術」参照のこと。)

    リン鉱石の輸出で超大金持ちに。大学留学無料、病気になったらオーストラリアの病院に無料で入院、家のトイレ掃除も国が家政婦を手配してくれる、くそ小さい島なのに一家に何台も車、その車もちょっと故障したら人にあげてしまう、オーストラリアドルをティッシュペーパーに、、、というように、最盛期には成金、バブルという言葉も生やさしいような状態だったらしい。

    リン鉱石を売ってできたお金を元手に、海外投資ラッシュ。メルボルンの再高層ビルをたてたり、病院を買収したり、オセアニア最大の航空会社を所有したりしていたようだが、コンサルや金融屋さんがたかり、スイスやバミューダ海峡あたりの銀行やらを通して元本さえもあた方もなく消えたらしい。

    リン鉱石がそこをついてきてからは、マネーロンダリングしやすいようにして汚いカネが流れてくるようにしたり、密造パスポートを売ったり、オーストラリアが国外退去させたい難民を受け入れる代わりに財政支援を取り寄せたり、まぁ、超ブラック国家に。。。

    しかも何もしなくても大金持ちになる経験をしてしまって体動かす習慣がなくなってしまったがために、なんと世界一の肥満率を誇っているようで、島唯一のお医者さんでさえも糖尿病だという。ちなみに肥満率は78.5%。あの超肥満大国USAでさえ30~35%というから驚きだ。

    資源に依存して苦労せずに金が入ってきても碌なことにはならんね

  •  ナウル共和国という島国が繁栄し崩壊へ至る過程とその状況、人々の生活が丁寧に描かれていた。自分の日々の生活を振り返る必要性を感じた書籍である。
     特に文化が失われることの危険性を改めて実感した。リン鉱石資源の輸出により、経済的に繁栄したのだが、急速に文化が衰退した。職への関心、食生活の変化。それによる糖尿病。ナウル共和国と同じ健康状況がドバイにも表れている指摘は驚くべきものだった。
     日本が同じような状況にはならないと思われるとの記載があった。日本が同じような変化を起こさないように、また自分自身がそうならないように文化を大切に生活したいと感じた。

  • 2011/12/17
    読みたい

  • かつてリン鉱石の産出地として富を築いた小さな島国、ナウルの歴史。
    歴史書というよりは歴史を説明しつつの紀行文っぽいかも。

    ナウルは珊瑚礁にたまった鳥の糞(が変化したリン鉱石)が土台の島。
    リン鉱石によって一時は莫大な富を築いたが、資源の枯渇によって衰退する。

    ナウルのやりかたはどうにも場当たり的だ。
    永遠に掘削を続けることはできないと理解していたにもかかわらず、無謀な投資をしたりひとつの産業に依存し続けるところを見ると、もっとうまくやれないものかと思う。
    が、石油やチョコレートやダイヤモンドに共通する、先進国の搾取やら上層部の無駄遣いやらを見ると、「ナウル人がのんびり屋さんすぎるから」とは言えない。
    バブルで浮かれちゃったり、先より今を楽しんだりするイメージは「おのぼりさん」や「お人よし」っぽい。
    逃げ場のない狭い島の中で生きていくには明るくなるか暗くなるかしかないのかもしれないとも思う。
    どうにもならないがゆえの「どうにかなるさ」

    「ナウルのこと」ではなく「ナウルの例(他山の石)」として読んでしまうのが悲しい。
    自分も、多分著者や訳者も。


    悪くないんだけど所々著者の視点がナチュラルに支配者側思考。
    フランス人だから仕方ないのか?
    あと訳者が履歴を見ると紹介したいものを訳す意志をもってやってるっぽい。
    それ自体は良いんだけど、著者へのインタビューではそれが悪く表れてしまっている。
    自分の聞きたいことを言わせようとしているみたいで嫌だ。
    「著者も指摘しているように」ってそれお前が言ったセリフだろうが。

  • ナウル共和国は太平洋に浮かぶ小さな島。人口一万人程度で世界有数の小さな国は、島内で産出されるリン鉱石のために他の国とは異なる歴史を持つ。ナウルのリン鉱石は純度が高く化学肥料の原料となるため、土壌の痩せているオーストラリアの農業に欠かせないものだった。諸外国の支配から脱し、共和国の独立に成功したナウルは、以降リン鉱石の輸出がもたらす莫大な資金を湯水のごとく使った。労働することをやめ、海外の不動産を買いあさり、農業をやめて食料品をすべて輸入に頼るという有様。しかし、やがてリン鉱石は枯渇したため資金の流入が止まり、かつての世界一裕福な国は、難民の受け入れやマネーロンダリングで食いつなぐ最貧国へと転落した。絵に描いたような現実は、アリとキリギリスみたいな話だ。その前に気付けよと思ってしまうが、今の日本の政治が閉塞状態でなかなか有効な手が打てないのと同じように、当事者は遠い未来まで見通すことが出来なかったのだろう。
    リン鉱石の発掘と輸出再開に国の再起をかけるが、国民の5人に4人が糖尿病を煩うなど目の前の課題も多いとのこと。

  • こんな国があるとは知らんかった!

  • 人口減や政治の失敗によって国が消滅する可能性も十分ありうることが、実話に基づくだけに非常に良くわかった。

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