道具と人類史

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著者 : 戸沢充則
  • 新泉社 (2012年7月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787712103

道具と人類史の感想・レビュー・書評

  • 資料番号:011478401
    請求記号:210.2ト

  • 2012年に亡くなった考古学の重鎮、戸沢充則氏の遺稿を集めたエッセイ集。新泉社の「遺跡を学ぶ」シリーズは氏の発案だったとは知らなかった。たびたび私も感想を書いているが、素人が読んで面白い遺跡報告書はこのシリーズを嚆矢とするだろう。

    勅使河原彰氏が巻末に小評伝を書いている。そこに「戸沢充則は、学問を背負う研究者が社会の中で自己責任を果たすために、積極的に社会にコミットすることを実践的な行動で示してきました。文化財保護運動は当然のこととして、1960年代の紀元節復活問題、1970年代の元号法制化問題、1980年代の核兵器廃絶の運動、1960年代から今日まで続く歴史教科書問題などで、つねに主体的に関わるとともに、その時々に適切な発言をし、社会にコミットしてきた数少ない考古学者の一人です。(126p)」と書いている。戸沢充則氏は佐原真、近藤義郎と同様に「未来の人類史」のために考古学をやっている学者だった。

    原発事故に対しても「文明の進歩の
    おごった結果の事故ですよ。ところが、「文明の進歩は、人類にとって本当は危険かもしれない」という問題を1番追求してきたのが考古学者なんです。それなのに、具体的なことは何ひとつ提言できなかった。考古学とは何だったのか‥‥。市民のために歴史を描く学問として構築し直さないと」(132P)と言っている。

    戸沢充則氏の専門は石器時代と縄文時代である。私の好きな弥生時代研究では思いつかない視点もあった。22pには、数万年前の石器つくりの再現を丁寧に描写している。それは現代に生きる匠と同じかそれ以上の技術と智恵を必要とするだろう。石器時代の人類が現代の我々よりも劣っているという認識を改めるに十分な「実証」である。また、こんな指摘もあった。

    不思議なことに地球上のある一地域に起こった新しい石器技術は、まったく離れた別の地域でもほとんど時をおかずに開発された。それは石器技術に対する人類史的な共通のこだわりによるものだろう。だとすれば人類500万年の歴史が未来にむけて永遠であるためには、現代においても技術は全地球人の共有の財産でなければならない。(25p)

    人類をどのように定義するのか。未だ確かな答えのない重要なテーマがある。人類は道具を使い、それによって鍛えられてきた生物なのかもしれない。道具の使い方(例えば原発)は、いつの時代でも人類の永遠の課題である。
    2013年6月27日読了

  • 先日亡くなった戸沢先生の著書。ちょうど学長の時に専攻生だった私にとってはかなり懐かしかったぁ。鷹山の発掘には参加しなかったけど、、、
    「彼らはきっと二十一世紀の人間として必要な『人類史的歴史観』を身につけた若者に育つだろう」―すっかり考古学から離れて、そんな自信はなくて期待を裏切ってる感があった。
    戸沢先生の大きさをしみじみ感じて最後にはなんだか泣けた

  • 文明の進歩は人類の衰退につながる?
    今まで考えたこともなかった逆転の発想でした。物を作る人と使う人のココロが一致しなければ道具はその様相を変えるのです。
    (匿名希望 教育学部 国語)

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道具と人類史の作品紹介

石器にはじまる道具と技術の進歩が、今日の高度な科学技術を生みだし、産業社会の繁栄をもたらしたが、道具を作るこころと使うこころがいつも正しくかみ合うような人類の英知こそが、確かな二十一世紀への展望をもつことにつながるものと信じて疑わない。

道具と人類史はこんな本です

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