〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性

  • 500人登録
  • 3.99評価
    • (52)
    • (33)
    • (54)
    • (0)
    • (0)
  • 40レビュー
著者 : 小熊英二
  • 新曜社 (2002年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (966ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788508194

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
立岩 真也
オルテガ・イ ガ...
有効な右矢印 無効な右矢印

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  •  かなりの力作。いままでの政治思想史では左翼(革新)が民主主義、右翼(保守)が愛国=ナショナリズムを担ってきたというのが定説だった。しかし筆者は50年初頭までは民主と愛国は決して分断された物ではなく、統合された一種の「ナショナリズム」が存在していたという。その代表例が今日では批判的に見られる丸山眞男だったという。
     進歩的知識人、戦中派知識人、戦後知識人で代表的な人物の思想を克明に描き出すことで日本の政治思想の軌跡を描き出すことに成功していると思われる。

  •  戦後日本の思想の流れをまとめた本。「民主」と「愛国」。2つがどうくっつき、どうはなれていったのか?どのようにナショナリズムを形成していったのか?丸山、江藤、吉本、小田などの戦後思想人の分析からつぶさにみていく。
     これらの思想対立は各人の戦争の体験の有無(またはどのような状況下で戦争を体験したか)によってかわっていくことが明らかになった。
     戦後思想の言葉はその時代には適したのかもしれない。しかし、現在はどうであろうか?意味が違うものになってくるはずだ。ここからテクストを読み替え、新たなナショナリズムの意味付けをしていく必要がある。
     靖国、憲法9条、在日、新しい教科書...今日、いろいろな問題が渦巻くが、本書からそのヒントを得られるかもしれない。
     この辺の部分は学校の社会科では飛ばされることが多いので、若い人は特に読んでほしいところ。

  • 子供を育てる中で「イヤなことは無かったことにする」文化に突き当たり、それが何に由来するのか探っていたら「戦後」に辿り着いた。
    自分の暗部を直視して消化することを続けなければ、同じ情景を何度でも繰り返すことになる。

  • 以前挫折したが(長すぎる…)もう一度チャンレンジ。それでも結局1ヶ月くらいかかって読んだ。途中で何度も挫けそうになった。

    55年までの「第一の戦後」の誤解…という理解は、かなり面白かった。「第二の戦後」にあたる人が、自分の生きている時代の言葉に拘束されて過去を批判することに無自覚である、という指摘は、痛快でもあるし、身につまされるものでもあるなあ。気をつけたい。

    多種多様な戦争体験をそれぞれ重視しつつ、なおかつひとつのその時代の「心情」に迫ることは、とても難しいことだと思う。とはいえ、各人バラバラな体験を、追体験していくことの困難さを「第二の戦後」世代の批判として向けつつ、「第三の戦後」世代である著者は、「第一の戦後」世代と「第二の世後」世代の追体験を敢行しようとする。要は、著者が吉本や江藤に「戦争体験がないじゃないか」と批判することは、著者に対しても「お前も戦争体験してないし、安保も体験してないじゃないか」と同じ刃を向けられることを意味していないのだろうか。

    ただ、そういう批判があったとしても、「追体験しようとする営み」そのものが大切なのかな、とは思う。人間の認識は不完全、と著者も書いていたけどそれはまったくその通りで、だからこそ、諦めてしまうのではなく、努力を続けることが、他者とのつながりを生む上でも重要になってくるんだと思う。

    そういうことを書いていたような気もするが、なにせ読むのに時間がかかったので、内容をまるで理解していないのだった…。

    それにしても、史料がたくさんですごい。史料が体系化・理論化されているのかどうかはよくわからんが、とにかくなんだかよくわからんがすごい迫力で迫ってくることは間違いない。鋭利な刃物でスパっと切られる、というより、鈍器でボコボコに殴られる、という感じかもしれない。

  • 丸山真男、竹内好、加藤周一、江藤淳…。「戦後」日本の代表的な知識人の言説のありようを辿ることができます。読後、壮大なストーリーを踏破したような充実感を覚えます。

  • 江藤淳について詳しく、ページ数も割かれているとの情報を得て手に取る。
    戦後思想史について知りたいとする欲望に応える本では。

  • 大著『1968』と同じく、分厚い本だ。
    しかし、身に沁みる内容だね。
    特に、戦艦武蔵に乗ってた渡辺清が実体験した、天皇の戦争責任について記述は、考えさせられる。

  • 戦後20年くらいの社会と思想状況が立体的に見えるようになりました。800ページ、正直疲れた(@_@)

  • 戦後知識人と1970年までの思想解説。丸山真男はジョンレノンで吉本隆明はミックジャガーだと思っていたけど、丸山真男があしたのジョーで、吉本隆明は星飛雄馬だったと初めて理解しました(笑

全40件中 1 - 10件を表示

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性に関連する談話室の質問

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性を本棚に「読みたい」で登録しているひと

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性を本棚に「積読」で登録しているひと

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性の作品紹介

今回は、太平洋戦争に敗れた日本人が、戦後いかに振舞い思想したかを、占領期から70年代の「ベ平連」までたどったものです。戦争体験・戦死者の記憶の生ま生ましい時代から、日本人が「民主主義」「平和」「民族」「国家」などの概念をめぐってどのように思想し行動してきたか、そのねじれと変動の過程があざやかに描かれます。

 登場するのは、丸山真男、大塚久雄から吉本隆明、竹内好、三島由紀夫、大江健三郎、江藤淳、さらに鶴見俊輔、小田実まで膨大な数にのぼります。現在、憲法改正、自衛隊の海外派兵、歴史教科書などの議論がさかんですが、まず本書を読んでからにしていただきたいものです。読後、ダワー『敗北を抱きしめて』をしのぐ感銘を覚えられこと間違いありません。

ツイートする